マンションは複数世帯が同じ建物で暮らすため、どうしても騒音問題は起きてしまいがちです。
騒音問題は、集合住宅で一番多いトラブルと言っても過言ではないでしょう。
トラブルに巻き込まれないために、床に遮音・防音対策をして、騒音を極力出さないように工夫することをおすすめします。
そこでこの記事では、マンションの床の騒音について、さらには遮音・防音対策方法についてお話ししていきます。
マンション階下への騒音は「床衝撃音」
マンション階下への騒音、つまり床を伝って聞こえる騒音は「床衝撃音」と言われています。
その床衝撃音は下記の二つに分けられています。
●重量床衝撃音(LH)
部屋の中で走ったり、高いところからジャンプすることで響く衝撃音です。
「ドンドンドンドン」や「ドーン」というような重たい音です。
●軽量床衝撃音(LL)
何かものを落としたときに響く衝撃音です。
例えば、お皿を落としたら「ガシャーン」と鳴りますが、重量床衝撃音と比べると軽い音です。
それぞれ遮音等級が定められており、遮音等級が「L-40」の重量床衝撃音は少し聞こえはするもののかすかに聞こえる感覚、軽量床衝撃音はほとんど聞こえないというレベルになります。
しかし、「L-50」の遮音等級となると重量床衝撃音は小さく聞こえる程度なものの、軽量床衝撃音ははっきりと聞こえるというレベルとなります。
床に対する遮音・防音対策を行う上で、「遮音等級」について知っておくことは重要です。
また、音の種類が重量衝撃音か軽量衝撃音かで、床に対する遮音・防音対策の方法は異なってきます。
マンションの床や天井の構造の違いで騒音が響きやすい可能性も!
マンションによって、床や天井の構造に違いがあります。
その違いによって、騒音が響きやすいか響きにくいか関係してくる可能性があります。
例えば、マンションの床が「二重床」だとします。
二重床とは、コンクリートスラブの上に遮音置床を設置し、その上に仕上げ材を貼りつける工法です。
そのため、床が二重にあるということになります。
直張り工法の床は、コンクリートスラブの上にシンダーコンクリートを敷いて仕上げ材を貼りつけます。
これだけを聞くと二重床の方が遮音性や防音性に優れているようにも思えますが、二重床の場合はコンクリートスラブと遮音置床の間に空間が生じるので、場合によっては「太鼓現象」が起きてしまうのです。
太鼓現象とは、空間が生じることで太鼓のように音が響いてしまう現象のことをさします。
このことは天井でも同じことが言えます。
重量床衝撃音は遮音・防音対策が難しい
重量床衝撃音に関しては、床のコンクリートスラブにどのようなものが使われているのか、また厚さなどによって遮音性が変わります。
床が柔らかくて薄く、軽い材質であればあるほど音が響いてしまいます。
重量床衝撃音は、音の振動がマンションの構造体から伝わってくるため、マンションの床構造を変えない限りは完全に遮音することは難しいと言われてるのです。
しかし、完璧とはいきませんが、遮音・防音対策を行うことはできます。
マンションの床の多くは、フローリングです。
このフローリングが衝撃音を伝えやすくもあるため、まずはフローリングの上にマットなどを敷いてみましょう。
ただし、薄いカーペットだと重量床衝撃音にはあまり意味がありませんので、できるだけ厚めのマットなどを敷くことをおすすめします。
これだけでも、多少の床衝撃音を和らげることができるのではないでしょうか。
軽量床衝撃音の遮音・防音対策方法
軽量床衝撃音は重量床衝撃音とは異なり、マンションの床の上にマットなどを敷くことでかなり遮音・防音効果が期待できるとされています。
しかし、どんなマットやカーペットでもいいわけではありません。
昨今では、吸音効果の高いマットやカーペットがあります。
そのような商品はLL-40~LL-45ほどの遮音等級となるので、フローリングのまま生活するより、軽量床衝撃音はだいぶ緩和されます。
また、床材がクッションフロアの場合はさらに注意が必要です。
クッションフロアの遮音等級はLL-60~LL-70となります。
つまり、床に何かを落としただけでも、階下の方にとってはかなりうるさく感じるほどの騒音となります。
万が一、騒音が気になる場所の床材がクッションフロアであれば、上に何か敷いたりなどの遮音・防音対策を行うことをおすすめします。
小さな子供がいるご家庭での遮音・防音対策とは?
小さな子供がいると、いくら注意しても走ったり飛び跳ねたりしてしまいます。
走ったり飛び跳ねたりして出る音は重量床衝撃音なので、階下にかなり響きます。
先述したように、マンションの床構造次第で音の響き方に大きな違いがあることは否定できませんが、最低限できる対策はしておくことをおすすめします。
●ジョイント式コルクマット
子供がいるご家庭では、ジョイント式コルクマットは定番ですよね。
部屋の大きさに合わせて簡単にカットできるだけではなく、汚れても簡単に掃除できるのが子育て世帯では便利な商品です。
また、比較的安価なので、手軽に遮音・防音対策を行うことができます。
●防音ラグ
遮音性能検査を経て販売されている防音ラグは遮音・防音性が高く、厚みもあるので、子供が万が一転んでも安心なつくりになっています。
●防音マット
トレーニングジムやライブハウスなどにも使われている防音マットは、階下への騒音を軽減することが期待できます。
商品によっては、幼児施設に採用されるような高性能のものもあります。
マンションでの生活は騒音を出さないと意識することが大切!
マンションのすべての床に遮音・防音対策したいところではありますが、実際問題そうもいきません。
洗面所や廊下などに防音マットなどを敷くことは難しいですよね。
また、床の隅々まで防音マットなどを敷いてしまうと、ドアの開閉ができなくなるという点もあります。
そのため、マンションで生活するうえでは、極力騒音を出さないことが大切なのです。
子供に走り回らないなどと言い聞かせるのはもちろんですが、自分自身の足音にも注意が必要です。
自分では普通に歩いているつもりでも、階下の方からすると、ドンドンとかなり響いて聞こえているかもしれません。
そうすると、階下の方と騒音トラブルにもなりかねません。
ですから、できるだけパタパタと音が鳴らないようなスリッパをはいたり、つま先から着地するように歩くことを意識するようにしましょう。
一般的に、歩くときはかかとから着地するかと思いますが、その普通の歩き方は階下に音が響きやすい歩き方でもあるのです。
少しでも騒音を出さないようにするためには、自分自身も意識することが大切です。
また、余談ではありますが、床だけではなく壁から伝わる騒音問題もあります。
その場合は、隣戸との壁に大きな家具を置いたり、壁に吸音材を貼りつけたりして遮音・防音対策を行うことで、騒音の軽減が期待できます。
壁からの騒音が気になる方は、床と同様に対策を施しましょう。
床に遮音・防音対策をしつつ騒音を出さないように意識することが重要!
マンションでは、床の構造次第で階下への音の伝わり方に差が出てしまいます。
特に重量床衝撃音の場合は、顕著にその差が現れます。
マンションの床構造を変えるのは難しいですから、ここでご紹介したような遮音・防音対策を行うことをおすすめします。
それに加え、自分自身でも極力騒音を出さないように意識して生活することも重要だと言えます。