家族から譲り受けた土地の地目が「田」である場合、住宅は建てられるのでしょうか?
ここでは、住宅を建てたい土地の地目が田である場合に知っておいていただきたい情報について解説していきます。
譲り受けた土地やこれから新たに買いたい土地の地目が田であるならば、必見ですよ!
地目が「田」の土地は「農地」!
家族から譲り受けたり、新たに買いたい土地の地目が田である場合、その土地に住宅は建てられるのでしょうか。
そもそも、地目とは土地の登記簿に記載されているその土地の利用状況を区分したものになります。
例えば、住宅が建っている土地であれば「宅地」、農耕地で用水を利用して耕作する土地を「田」、農耕地で用水を利用しないで耕作する土地を「畑」などとして区分されています。
その地目は23種類に分かれています。
その中でも、「田」や「畑」は「農地」に区分されます。
「農地」に区分される土地には自由に住宅を建てれられない仕組みとなっています。
日本国土の面積が小さく、食糧供給の基盤となる優良農地を確保するという理由からです。
地目が田で農地に区分される土地に住宅を建てたい場合は、いったいどうしたらいいのでしょうか。
地目が田の土地に住宅を建てるには?①
結論からいいますと、地目が田の土地に住宅を建てることは可能です。
しかし、それにはいくつかの要件があります。
まず、地目が田である土地は、地目を宅地に変更する必要があります。
このことを「農地転用」といいます。
しかしながら、農地転用しなくても住宅を建てることもできます。
それは、その土地の地域の都市計画法によって、どの土地がどのような区分になっているのかによります。
つまり、農地転用して地目を変更してから住宅を建てなくてはならない土地もあれば、地目が田でも住宅を建てられる地域もあるということになります。
さらにくわしく解説していきましょう。
まず、一般的に農地は以下の3つに区分されます。
●市街化区域
農地が市街化区域にある場合、住宅を建てることができます。
市街化区域は、「住宅を建ててこの地域を市街化していきましょう」という区域だからです。
つまり、市街化区域にある農地は、農地転用しなくても住宅を建てられるということになります。
地目が田の土地に住宅を建てるには?②
●市街化調整区域
農地が市街化調整区域にある場合、許可が下りなければ住宅を建てることができません。
市街化調整区域は、「できるだけこの地域に農地を残しましょう」という区域だからです。
つまり、市街化調整区域にある農地は、農地転用をする必要があります。
(市街化調整区域は原則的に住宅の建築は不可となっているので、農地転用の他に別途「建築許可」も必要となります。)
●農用地区域
農地が農用地区域にある場合、住宅を建てることは基本的に不可となっています。
農用地区域は、「農地を残しましょう」という区域だからです。
ただし、「除外申請」を行うことで住宅の建設が可能になる場合もあります。
除外申請に関しては各都道府県や地域によって異なりますので、行政機関に確認するようにしてください。
このように、地目が田のような農地に住宅を建てたい場合は、その土地が都市計画法のどの区域に区分されているかで大きく対応が異なります。
住宅を建てたい農地が、どの区分に当てはまるのか確認してみましょう。
地目が田の土地に住宅を建てても地盤は大丈夫?
地目が田である場合、もともとは田んぼとして使われていたことが想像できます。
そうすると、その土地に住宅を建てても地盤は大丈夫なのか心配になると思います。
しかし、もともと田んぼとして使用していた土地でも問題なく住宅を建てることができます。
基本的に、住宅を建てる際には地盤調査を行います。
その土地に住宅を建てても、耐えうる強度があるか判断するためです。
そして、その地盤調査で地盤改良が必要と結論づいた際には地盤改良を行います。
具体的には、コンクリートを混ぜることによって地盤を固めたり、杭を打ったりします。
そうすることにより、もともと田んぼだった土地でも安心して住宅を建てることができるようになるのです。
ただし、もともと田んぼとして使用していた土地は土を入れ替えてしまうことをおすすめします。
こうすることで、住宅により適した地盤となります。
地目が田の土地に住宅を建てる際の注意点
ここからは、地目が田である土地に住宅を建てる際の注意点についてお話しします。
地目が田である場合、先述したようにその土地が都市計画法のどの区域に区分されているかによって対応が異なってきます。
もしも、市街化調整区域に当てはまる場合は、申請して許可が下りるまでに時間がかかります。
さらに、もともと田んぼの土地なので、地盤改良にも時間がかかることが多いです。
つまり、地目が宅地の土地よりも往々にして時間がかかってしまうという点があるのです。
現在賃貸暮らしの方の場合は、新居への入居が遅れる分、家賃の支払いも増えることになりますね。
また、費用に関しても注意点があります。
もともと田んぼの土地に住宅を建てるとなると、地盤改良が必要になるケースが多いです。
しかも、地盤が弱いほど地盤改良工事の費用はかさみます。
地目が田である土地を譲り受けたり安く購入したとしても、このように宅地ではかからない費用がかかってしまうことも多いので、念頭に置いておくように注意しましょう。
登記地目と現況地目の違いとは?
最後に、「地目」についてもう少しお話をしておきましょう。
地目は、「登記地目」と「現況地目」に分かれています。
土地の登記事項証明書に記載されている地目が登記地目、実際にその土地の状況の地目が現況地目となります。
つまり、登記上の地目と現在のその土地の状況の地目とで分かれているということになります。
土地や住宅を保有していると固定資産税の支払いが義務付けられていますが、その際の計算は現況地目で行われることになります。
ですから、登記地目と現況地目が異なっていたとしても特に問題が生じることはありません。
しかし、不動産登記法の定めにより、地目の変更は変更のあった日から一か月以内に申請を行わなくてはならないことになっています。
ですから、地目が田の土地に住宅を建てる際にはすみやかに地目変更の申請を行うようにしましょう。
さらに、住宅を建てる際に金融機関の住宅ローンを利用される場合は特に注意が必要です。
特に、市街化調整区域に区分されている地目が田の土地に関しては、担保価値が低く判断される傾向にあるのです。
つまり、住宅ローンの支払いができなくなってしまった時の担保となる土地の価値が低くなってしまうため、金融機関は積極的に融資してくれるケースが少ないのです。
登記地目と現況地目が違う場合は、すみやかに申請を行うようにしましょう。
地目が田の土地でも住宅は建てられる!
譲り受けた土地などの地目が田だとしても、その土地に住宅を建てることはできます。
しかし、都市計画法上、その土地の区域が何に当てはまるかで対応は異なりますのでよく確認するようにしましょう。
また、もともと田んぼであった土地は軟弱な地盤が多いです。
住宅を建てる前には、しっかりと地盤調査と地盤改良工事を行ってもらうようにしましょう。