大家さん必見!アパート立ち退きの流れ~補償はどう行う?~

何らかの理由で、アパートの入居者に立ち退きをお願いする場合、どのような流れとなるのでしょう。

ここでは不動産投資初心者の大家さんに向けて、アパートの立ち退きの流れについてご説明していきます。

立ち退きをお願いする際の「補償」についても触れていますので参考にしてみてくださいね。

アパートの立ち退き依頼には正当な事由が必要

賃貸物件であるアパートの立ち退きを入居者にお願いする際は、正当な事由が必要になります。

例えば、以下のような場合です。

●入居者の家賃滞納(入居者都合)

入居者にたびたび家賃の支払いを請求しても応じてもらえない場合は、立ち退きの正当な事由となります。

●アパートの老朽化(貸主側都合)

アパートがかなり古く危険な場合などは、立ち退きの正当な事由となります。

基本的にアパートなどの賃貸借契約では、原則、貸主側と借主側両方の合意がなければ契約の解約はできないことになっています。

つまり、「あの入居者はマナーが悪く気に入らないから」などというような理由では、立ち退きを強制することは不可ということになります。

また、貸主側の都合で立ち退きをお願いする場合は、賃貸借契約満了日の半年から一年前までに行わなくてはならないと借地借家法で定められています。

それでは、立ち退きをお願いする場合の補償はどうしたらいいのでしょうか。

次の項でお話ししていきましょう。

アパートの立ち退きの補償はどうしたらいい?

アパートの立ち退きをお願いする事由が、家賃滞納などの借主所以のものではなく、アパートの老朽化などの貸主都合による場合は、入居者の方に補償をする必要が出てくる場合があります。

補償の内容としては、

●引っ越し費用

●新居で支払う敷金や礼金などの費用

などです。

これらの補償は必ずしも支払うべきものと定められているものではありません。

しかし、貸主側の理由で入居者の方に上記のような費用の負担が生じてしまうのは申し訳ないですよね。

ですから、「立ち退き料」として支払う必要があるのです。

それでは、主に入居者都合と貸主側都合の2パターンある立ち退き事由それぞれについて、さらに詳しく解説していきましょう。

まず、次項では入居者に立ち退きの原因がある場合からお話ししていきます。

立ち退きの補償必要なし!入居者に立ち退き事由がある場合の流れ

アパートの主な立ち退き事由のうち、入居者に原因がある場合の流れからご説明していきましょう。

このケースは、もちろん補償の必要はありません。

まず、一番多いケースが「家賃滞納」です。

他には、アパートを別人にまた貸ししているなどといったケースです。

これらのケースは、入居者と貸主の信頼関係がすでに壊れてしまっていると推定できるので、立ち退きを伝えることができるのです。

立ち退き事由に当てはまる家賃の滞納は3ヶ月以上と言われています。

この間、貸主側から再三家賃の支払いを求めてもなんの回答もなかった場合は、立ち退きを求めることができます。

ただし、立ち退きを強制執行する場合は法的手段を取ることになります。

しかし、それはあくまでも最終手段ですので、できれば入居者と話し合いで解決できるようにしたいものです。

家賃滞納が理由で立ち退きを強制執行する際の流れは、以下の通りになります。

①催告書の発送

②家賃未払いに関して起訴を提起

③第一回口頭弁論

④判決

⑤入居者へ判決の郵送

⑥判決確定

⑦強制執行の申し立て

⑧執行官との打ち合わせ

⑨催告期日→強制執行

立ち退きの補償が必要な場合も!貸主側に立ち退き事由がある場合

この項では、アパートの立ち退きのうち貸主側都合の場合についてご説明していきます。

まず、基本的に貸主側都合の立ち退きは入居者に強制することはできません。

つまり、入居者と話し合いが必要になります。

また、貸主側都合の立ち退きに関しても基本的に正当な事由がなければいけません。

例えば、アパートが古くて危険という場合などがそうです。

しかし、正当な事由がなくても立ち退きをお願いできる場合があります。

それは、立ち退きの補償額を高額に設定する場合です。

正当な事由がなくても、補償額を高額にして、入居者が立ち退きに合意すれば問題はありません。

それでは、貸主側都合の立ち退きの流れをご説明しましょう。

次の項で詳しく解説していきます。

貸主側都合のアパート立ち退きの流れ

①入居者に立ち退きのお願いをする

・立ち退きをお願いする理由を伝える
・立ち退きに対しての謝罪を行う
・立ち退きしてもらうために補償を行うと伝える
・これまで入居してくれていたことへの感謝を伝える

②入居者と補償について交渉する

・立ち退きすること自体への補償金の交渉
・新居への引っ越し代金の補償の交渉
・新しい引っ越し先を探すこと

③アパート退去の準備を行ってもらう

借地借家法では、貸主側と入居者側両方の同意がなければ賃貸借契約の解約を行うことはできないと定められています。

ですから、貸主側都合の立ち退きの場合はあくまでも入居者に「お願い」をする形になります。

入居者とトラブルを起こすことのないように、誠実な対応をするようにしましょう。

はやく立ち退きをしてほしいからと言って、貸主が強制的に退去を押し通そうとすることは、お互いのためにならないのでやめましょう。

立ち退き交渉で押さえておきたいポイント

アパートの立ち退き交渉はトラブルが起きやすい側面があります。

そこで、立ち退き交渉で押さえておきたいポイントをお伝えします。

まず、立ち退き交渉は感情的にならず冷静に行うようにしましょう。

家賃滞納などの入居者に問題がある場合以外は、貸主側が立ち退きを「お願い」するので、できだけ丁寧な対応を心がけてください。

話し合いがうまく進まないからといって感情に流されると、思わぬトラブルになる可能性が大いにあります。

常に冷静さ・平常心を忘れないようにしましょう。

次に、立ち退きに関する予算は多めに見積もっておくようにしましょう。

立ち退きには補償料だけではなく、立ち退きの話し合いをする際に発生する費用も生じます。

できれば、家賃一年分とその他の費用を合わせて多めに予算を組んでおきましょう。

さらに、立ち退きの話し合いの内容は必ず記録に残しておきましょう。

立ち退き交渉ではトラブルがつきものですので、今後のことを考えて記録を残しておくことをすすめます。

具体的には、立ち退き交渉を行った日時・話し合いの内容などを残します。

万が一、トラブルの末に裁判にでもなってしまった場合に証拠として提出することができます。

最後に、入居者との間で話し合いがスムーズにいかない場合は、第三者を入れて話し合いをするようにしましょう。

入居者と貸主側だけだと感情的になりやすくても、第三者を入れることで冷静に話し合いができるようになります。

これらのように、立ち退き交渉ではおさえておきたいポイントがいくつかあります。

立ち退き交渉を行う際は、しっかりと準備して話し合いに臨むようにしましょう。

アパートの立ち退き交渉は冷静に

アパートの立ち退きでは入居者都合と貸主側都合に分かれますが、交渉の際はいずれにしても冷静に行う必要があります。

話し合いがスムーズにいかない場合は、はやめに第三者を入れて交渉をすすめるようにしましょう。

また、立ち退き交渉を行う場合は、事前の準備が不可欠です。

しっかりと準備をし、ここに記載した立ち退き交渉の流れに沿って平常心で臨みましょう。