マンションの管理会社を変更するには?その流れとポイント

マンションの総会や理事会で、管理会社の見直しを求める意見が出されることがあります。

また、管理会社の変更について、現在進行形で検討している理事会もあることでしょう。

管理会社を変更するとなった時、どのような流れで進めていけば良いのかご存知でしょうか。

この記事では、管理会社を変更するための流れから、そのポイントまで詳しくご説明していきます。

マンション管理会社を変更する理由とタイミング

そもそも、マンション管理会社の変更を検討するきっかけとは何でしょうか。

その理由はマンションによって様々ですが、中でも特に声高に上がるのは、フロント担当の「対応の悪さ・遅さ」です。

これは、管理会社を変更する上で最も多い理由と言われ、この不満が居住者から顕著に見られた時が管理会社を見直すタイミングと言えます。

また、対応の悪さ・遅さ以外にも、管理会社の見直しが求められる具体的なきっかけは以下の通りです。

・積極的な提案やサポートがない
・管理費や小規模修繕費の見積額が不透明
・工事の提案に際し、1社だけの見積もりしか出されない
・建物の破損、設備の故障への対応が遅い
・管理委託費が割高

上記の理由は、管理組合としてのマンションの管理維持に関わるだけでなく、住民としての安心した暮らしが脅かされるリスクも伴います。

そのため、このような管理会社への不満が、理事会だけでなく住民全体で一致しているのであれば、早い段階から管理会社の変更をしていくことが望まれます。

マンション管理会社を変更するメリットは?

マンション管理会社の見直しに関して、いよいよ現実味を帯びてきているのであれば、管理会社の変更に伴うメリット・デメリットについてもよく知っておくことが大切です。

まず、管理会社を変更するメリットには、主に以下の3つが挙げられます。

①管理委託費の削減

分譲時から管理会社の見直しを行ったことがない場合、多くの場合は管理委託費を削減することができます。

と言うのも、マンションの分譲時には、管理委託費が高く初期設定されているからです。

これには、分譲の時点ですでに系列会社、もしくは関連会社が管理することが決まっていることから、他の管理会社との競争がないことが理由として挙げられます。

つまり、マンションが新たな管理会社を募集する際は、各管理会社が少しでもコストを下げようとするため、管理委託費の削減が期待できるというわけです。

②管理委託項目や仕様の改善

管理委託項目の金額や仕様について、管理会社の変更案が出ない限りは、見直す機会がほとんどないと言えます。

最終的に管理会社の変更に至らなかったとしても、管理委託項目を見直すきっかけになるので、適切な金額・仕様かどうかをしっかりチェックしましょう。

③管理の質の向上

マンションの維持運営は、管理組合(住人)が主体となって行っていきますが、その管理費・修繕積立金などの管理や提案は、実質的に委託された管理会社によって行われます。

これら費用を適切に管理し、かつマンションの清掃・設備メンテナンスをしっかり行える管理会社を選考することができれば、管理の質の向上が望めます。

マンション管理会社を変更したい!そのデメリットは?

では次に、マンション管理会社を変更するデメリットについて、2つに分けて見ていきましょう。

①業務引継ぎへの懸念

マンションの管理規約は、国土交通省が提示する「マンション標準管理規約」に則しているため、どのマンションでも原則的な規則が変わることはありません。

しかし、管理組合と管理会社では、その間で常に継続して審議・検討している事項があります。

そのため、引継ぎが中途半端になってしまうと、管理業務の持続性が失われてしまいます。

管理業務の引継ぎは、管理会社はもちろん、管理組合も責任を持って行うようにしてください。

②管理の質が下がる場合も

管理会社の選考に際し、見積額ばかりに目が行ってしまうと、管理の質が下がる場合があります。

管理会社を変更する目的を忘れず、その改善・解決を踏まえた選考をしていきましょう。

マンション管理会社を変更するための選定・選考

これまでに、マンション管理会社の変更について、メリット・デメリットを見てきました。

では、それらも踏まえ、実際に管理組合の意見も一致した場合、管理会社の変更に向けてどのようなステップを踏んでいけば良いのでしょうか。

まず、次に進めていきたいのは、変更する管理会社の選定・選考です。

その具体的な流れについて、以下で詳しく見ていきましょう。

①選定と現地調査

まず、管理会社の選定では、一般的に複数社(3~5社)に対して見積依頼が行われます。

この見積依頼にあたっては、依頼する各管理会社の現地調査が必要になり、マンションの現状を把握することで正確な見積を算出していきます。

また、複数社に依頼するので、それぞれで現地調査の日程調整をしていきますが、多くの場合、できるだけ1日で全社の現地調査が済むように、1日の中で時間をずらした調整が行われます。

②選考とプレゼン

現地調査後は、各管理会社の提案書・見積書をもとに、理事会で管理会社の選考を行います。

選考する管理会社が多い場合、ある程度絞り込んだのちに、各管理会社に対してプレゼンを依頼します。

プレゼンは理事会の中で行われますが、居住者に向けたプレゼンも設けることができれば、住民全体がより納得した選考を行うことができるでしょう。

なお、前述したように、選考するにあたっては見積額だけで比較するのではなく、マンションが抱えている現状(問題点)の解決が望めるかどうかをしっかり見極め、慎重な審議をしていくことが求められます。

総会で管理会社変更の承認を得よう

理事会で各管理会社のプレゼンを吟味し、1社に絞ることができたら、次に行うことは「総会の開催」です。

と言うのも、マンション管理会社と正式に契約し、変更するためには、管理組合で承認される必要があります。

総会は年に1度開催されるため、それに合わせて管理会社変更の審議を行っても良いですが、「臨時総会」を開催して審議することもできます。

では、臨時総会の流れを以下で詳しく見ていきましょう。

まずは、理事長から改めて管理会社変更の経緯について説明します。

特に、プレゼンへの組合員の参加が少なかった場合は、全体把握・理解のために念入りに経緯説明をするようにしましょう。

そして、新しい管理会社との管理委託契約締結の議案審議、新しい管理会社による重要事項説明が行われ、承認へと進んでいきます。

管理会社変更の承認では、一般的に普通議決(過半数の賛成)が採用されていますが、各マンションの管理規約をあらかじめ確認しておきましょう。

新しい管理会社と契約へ!引継ぎは確実に

総会での承認後、現行管理会社と管理委託契約の解約が済めば、晴れて新しいマンション管理会社と契約を交わすことができます。

変更に際する新しい管理会社への引継ぎは、基本的に管理会社双方で行われますが、引継ぎの漏れを防ぐため、理事会立会のもとに行うことが望ましいと言えます。

現段階で審議している事項をしっかり引継ぎ・共有しておくことで、業務の永続性に努めてください。

また、引継ぎを行う具体的な重要書類・物品は以下の通りです。

・竣工図面
・過去の総会議案書、議事録の原本
・修繕履歴資料
・通帳
・印鑑
・共用部分の鍵

上記は管理組合にとって重要な引継ぎ書類・物品なので、理事長、もしくは役員立会のもとに行うのが良いでしょう。

特に、重要物品である共用部分の鍵は、引継ぎ後のトラブルに発展しやすいため、念を入れた確認をしてください。

マンションをより良い住まいにするために

管理会社を変更するためには、理事会の意見だけではなく、管理組合員である住人の声を聞くことからステップを踏んでいきます。

管理会社の現地調査や選考、総会など、踏んでいくべきステップも多いため、特に理事会は業務に多忙になります。

しかし、マンションが抱えている問題を解決できる管理会社選びができれば、より安心して暮らせるマンションにすることができるでしょう。