アパートにはたくさんの人が住んでいます。
そのため、「近隣住民の生活音が気になる」「自室の音が騒音になっていないか心配」とお考えの方もいることでしょう。
そこで、今回はアパートの構造における防音性や、壁や床への防音対策についてご紹介していきます。
アパートでの暮らしがより良いものになるように、この記事を参考にしていただければ幸いです。
建物に採用される4つの構造
賃貸住宅であるアパートは、どのような構造で造られているのでしょうか。
まず、賃貸住宅で採用される主な構造と特徴をご紹介します。
●木造
日本の建築構造で多く見られるのが木造です。
建築コストを抑えて造れるため、家賃が相場よりも低いケースが多いようです。
ただ、木という素材を利用しているため、壁や床の防音性には欠ける部分があります。
●鉄骨造
建物の軸ともなる骨組みに、鉄骨が使われているのが鉄骨造です。
鉄骨の太さによって呼び名が変わり、6mm未満であれば「軽量鉄骨造」、6mm以上であれば「重量鉄骨造」と呼ばれます。
振動に柔軟に対応してくれるため、耐震性は強いと言えるでしょう。
●RC造
RC造は、鉄筋コンクリート造のことを指します。
鉄筋で枠型が造られ、そこにコンクリートを注入し固められます。
耐震性・耐火性・防音性に優れた建物の構造です。
●SRC造
SRC造は、鉄骨鉄筋コンクリート造のことです。
RC造の構造に鉄骨がプラスされているため、RC造よりもさらに優れた性能を保持しています。
4つの構造をご紹介しましたが、一般的にアパートの構造で多いと言われているのが木造と鉄骨造です。
対して、RC造とSRC造はマンションなどの高層階の建物に採用されることが多いようです。
壁や床から騒音が伝わる?アパートの構造が防音性の違いを生む!
アパートには、木造や鉄骨造の構造が選ばれることが多いというお話をしました。
これは、アパートの防音性が低いということに繋がります。
その理由は、気密性の低さです。
気密性とは、空気が侵入しないほど密閉されていることを指します。
木造や鉄骨造は骨組みに木や鉄を使われていますが、その間は空間になっています。
その空間を挟み込むように壁材や床材が使われるのですが、そこにはやはり隙間が生まれてしまいます。
このことから、コンクリートを流し込み隙間を生まない構造のRC造やSRC造に比べると、やはり気密性の面では劣ってしまうのです。
とくに木造のアパートでは、音による影響が顕著に表れるようです。
これは、壁材や床材の厚みが原因となっています。
骨組みが鉄骨である鉄骨造は、壁材や床材を厚くしても耐えられるほどの強度を有しているため、木造よりは防音性を増すことができるのです。
とはいえ、RC造やSRC造よりも木造や鉄骨造の方が防音性が低いという事実は変えられません。
そこで試してほしいのが、賃貸住宅であるアパートでもできる防音対策の実践です。
賃貸住宅では壁や床に傷を付けない防音対策を実践しよう!
実際にアパートの壁や床へ防音対策を実践する前に、まずは賃貸住宅ならではの決まりがあることを知っておきましょう。
賃貸住宅では、原則的に室内の設備に傷や汚れを故意に付けてはいけません。
防音対策を行うためだったとしても、壁に釘を打ち付けたり、床に傷や汚れをつけてしまったりする方法を選んでしまうと、退去時に修繕費用を求められる可能性があります。
これは、賃貸住宅に課せられている、原状回復の義務によるものです。
国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というものが発行されており、賃貸住宅を退去す際の費用の負担についても定められています。
そこには、賃借人の故意や過失による建物への損耗は、賃借人が修繕費用を負担すると決められています。
このことから、アパートの防音対策を行うときも、壁や床に傷や汚れが付かない方法でなければなりません。
アパートの退去時に高額な修繕費用を請求されないためにも、原状回復のことを念頭に置いた防音対策を行っていきましょう。
防音対策を考える前に!アパートで気になる音とは?
木造や鉄骨造で造られたアパートでは、原状回復のことも考えながら防音対策を行いましょう。
それでは、アパートではどのような音が騒音となってしまうのでしょうか。
音の伝わり方は2種類に分けられます。
それが、空気の振動で伝わる空気音と、壁や床などに直接振動が加わることで発生する固体音です。
アパートで気になる音としていくつか例を挙げていきましょう。
〈空気音〉
・人の話し声
・テレビやスピーカーからの音
〈固体音〉
・足音
・排水音
・床に物を落としたときの音
・電化製品の振動音
このように、アパートで暮らしていると、どうしても生活音は発生してしまいます。
発生した音は、壁や床を通して上下左右の部屋まで伝わり、騒音となってしまうでしょう。
そこで考えてほしいのが、アパートの壁や床への防音対策です。
アパートでは複数の人が暮らしているため、音を完全に遮ることは難しいですが、少しでも改善が見られるように対策を行いましょう。
アパートの壁に行う防音対策
それではさっそく、防音対策を実践していきましょう。
まずは、アパートの壁にできる防音対策です。
〇壁の前に厚みのある家具を置く
本棚やタンスなど厚みのある家具を壁の前に設置することで、家具自体が防音の役割を果たしてくれます。
本や洋服などを隙間なく収納することで、より防音の効果を感じられるはずです。
〇防音パネルの設置
簡易的でより防音の効果を実感したいなら、防音パネルの設置がおすすめです。
防音性能に優れたフェルトやゴムなどの素材が使われており、音の侵入を防ぐだけでなく、自室の音漏れも軽減してくれます。
アパートで防音パネルを設置するのであれば、賃貸住宅用につくられた壁に傷を付けることのない防音壁を選びましょう。
そうすることで、部屋を退居する際も跡を残すことなく撤去できるはずです。
次項では、アパートの床に行うための防音対策についてご紹介します。
アパートの床への防音対策も行おう!
次に、アパートの床への防音対策について考えましょう。
床の防音対策では、音を発生させないことを目的としてご紹介していきます。
〇厚みのあるカーペットやマットを敷く
床から伝わる音として気になるのが足音です。
足音による階下への騒音を防ぐためには、厚みのあるカーペットやマットを敷いてみてください。
こうすることで、何か物を落としたときでも、大きな音が発生しにくくなるでしょう。
〇家具や電化製品の床との接地面にフェルトゴムを貼る
椅子や洗濯機などは、床を通して音が響きやすいです。
そんなときは、椅子の脚や洗濯機の下に吸音材としてフェルトゴムを貼ってみてください。
椅子の脚にフェルトゴムを貼ることは、音だけではなく動かしたときに床に傷がつくことも予防してくれるので、2重にメリットがあると言えるでしょう。
傷の付かない防音対策で過ごしやすいアパートの生活を手に入れよう!
アパートは構造の違いにより防音性が低いケースも多いです。
そのため、アパートでの生活音が騒音となってしまうこともあるようです。
今回はそのような騒音に悩んでいる方に向けて、アパートの壁や床にできる防音対策をいくつかご紹介しました。
どの防音対策を行うときも、アパートの設備に傷や汚れがつかないように注意をしながら実践しましょう。