アパートやマンションのベランダには、隣戸との間に仕切り板のようなものがあります。
この仕切り板は隣戸とのプライバシーを守るほか、火災や地震といった非常時の避難経路の確保という2つの役割りがあるのです。
しかし、必要でなければ蹴破ることはないため、非常時にはどう動けばいいか分かりませんよね。
そこで今回は、いざというときが来ても慌てないように、仕切り板からの避難方法をお伝えします。
アパートによって名称が違う仕切り板の役割り
ベランダにある仕切り板ですが、アパートやマンションによっては以下のように、さまざまな名称で呼ばれています。
・隔て板(へだていた)
・隔板(かくはん)
・蹴破り戸
・ベランダ隔て
・戸境の扉
・パーテーション
・間仕切り
どれも隣戸とのプライバシーを守り、非常時の避難経路になるものです。
いくつか呼び名があることから混乱しないよう、当記事では仕切り板としてご説明していきます。
ベランダにある仕切り板は、普段プライバシー保持のための役割りが多く担っています。
一枚の板のように感じますが、住まいの境界線にもなっているものです。
隣を気にせずに洗濯物を干せるのも、仕切り板があるからといってもいいでしょう。
また、非常時には仕切り板を蹴破り、避難経路にもなる重要なものです。
しかし、実際に仕切り板を蹴破ったことがあるという方は、少ないのではないでしょうか。
まずは、非常時でも冷静に判断できるように、仕切り板からの避難方法を確認していきましょう。
ベランダにある左右の仕切り板!どちらを破る?
非常時のときでも慌てないように、仕切り板をどう蹴破るかをみていきましょう。
まず、アパートの部屋の位置によっては、右と左に仕切り板があるかと思います。
こういった場合、どちらの板を破れば階下に避難できるのかをチェックしておきましょう。
仕切り板には、「非常の際は、ここを破って隣戸へ避難して下さい」「この付近に物を置かないで下さい」などと表示されています。
この表示にしたがって仕切り板を破れば、避難経路につながるというわけです。
ただし、状況によっては避難経路に向かっていくと危険な場合もあります。
避難経路側で火災が起きたら、避難する方向も変わりますよね。
表示されている仕切り板を破れば避難経路につながるということを頭に入れながら、状況によって冷静に判断しましょう。
もしも仕切り板に表示がない場合は行き止まりとなり、隣戸からベランダの仕切り板を蹴破り、こちらに避難してくる人がいるかもしれません。
仕切り板の近くにいると蹴破った欠片が飛んできて危ないため、注意しましょう。
仕切り板は頑丈!ベランダに靴を常備しておこう!
避難する方向が決まったら、仕切り板の反対側の安全をチェックしてからベランダの仕切り板を蹴破り、避難します。
素足ではうまく力を入れて蹴破れず、蹴破っているときにケガをしてしまうこともありますから、日頃から固い靴をアパートのベランダに置いておくといいですね。
避難するときも、靴を履いているのといないのとでは、大きな差があります。
固くて丈夫な靴を履き、仕切り板の下側のボードを強く蹴りましょう。
すぐに割れなくても、通常2~3回ほどでヒビが入るはずです。
打ち破るまでに数十秒かかることもありますが、焦らず繰り返し蹴ることが大切です。
蹴破るときのコツは、片方の手はベランダの手すりに、もう片方の手は壁に当てて、ご自身の体を支えます。
体を支えることで、脚に力が入りやすくなります。
そして、片脚で仕切り板を思いっきり蹴ってください。
仕切り板に靴の底が水平当たるように、何回か蹴り破りましょう。
かならず靴底を使って、蹴ってください。
アパートの住人同士で声を掛け合う
仕切り板を何回か蹴っているとヒビが入り、さらに蹴るとギザギザとした鋭利な角ができます。
蹴ったあとは足が通過しているため、足を引き抜くときは注意しましょう。
また、穴が開いたと慌てて通ってしまうと鋭利な角でケガをしてしまいますから、鋭利な角も打ち破り、人が通れるくらいまで穴をあけるようにしてください。
慌てず、体全体が無理なく通れるまで穴をあけて避難します。
ここまでアパートのベランダにある仕切り板の蹴破り方を解説してきました。
しかし、実際に行ってみると難しいものです。
非常時という状況もあり、慌ててしまうのも無理ないでしょう。
また、子どもや女性、ご高齢の方にとっては、仕切り板を脚で破ることはもっと大変なことかもしれません。
脚で仕切り板を蹴破ることができるか心配な方は、キッチンにあるフライパンや鍋といった、固い物を使う方法も覚えておきましょう。
子どもや女性、高齢者の方たちが多いアパートでは、避難時に声を掛け合いながら避難することも大切です。
避難を妨げるものをベランダに置かない
非常時に冷静に判断するためには、今お住まいのアパートでどう避難するかをイメージすることが大切です。
ベランダにある仕切り板をどう蹴破るか、蹴破るためになにか必要なものはないかなど考えてみてください。
また、避難の妨げにならないよう、仕切り板の前に物を置かないようにすることも大切です。
テーブルやイス、収納ラックなど、大きな荷物が仕切り板の近くにあると、蹴破れたとしても避難することができません。
ガーデニング用の鉢植えを置いていると、蹴破った拍子に鉢植えも割れて、飛び散ったかけらでケガをすることもあります
隣戸から避難してくることを想定し、仕切り板の近くにものを置かないよう、徹底しましょう。
これで非常時でも慌てずに対応できるはずです。
しかし、アパートやマンションはたくさんの人が住んでいます。
では、仕切り板の向こう側、つまり隣戸のベランダに避難を妨げるものがベランダに置かれている場合、どのよに対処したらいいのでしょうか。
アパートのベランダは共有部分
仕切り板を蹴破って無事避難するためには、ベランダに余計なものを置かないということも重要になってきます。
ただし、こちら側が意識していても、隣戸の住人も同じ意識とは限りません。
仕切り板の近くに物がたくさんあると、蹴破れたとしてもスムーズに避難できませんよね。
アパートの住人が逃げ遅れてしまうことも考えられますから、基本的にアパートやマンションのベランダにものを置くことはできないとしています。
ベランダは共有部分であり、テーブルやイスといったものを置くことは原則禁止です。
しかし、直接隣の住人に伝えてしまうとトラブルに発展しやすくなるため、もしも避難の妨げになるようなものが置かれていたら、アパートを管理している大家さんや管理会社に相談してみましょう。
ただし、ものを全く置いてはいけないという解釈ではありません。
エアコンの室外機や物干し竿などは、ベランダに置いていても問題ないですよね。
避難時に妨げるものでないか、常識の範囲内であるかを考えることがポイントです。
非常時に対応するための心構え
仕切り板の蹴破り方をお伝えしましたが、大切なことは非常時にどう動くかを想定し、イメージすることです。
実際にどう動いて避難するのかを、家族で話合っておきましょう。
イメージすることで必要な物や動き方がわかります。
日常を安心して暮らしていくためにも、防災意識を高めましょう。