不動産登記申請の際、住民票を添付することは多くあります。
近年では住民票取得時に個人番号の記載が可能なことから、「登記申請の際も個人番号が記載されていた住民票のほうが良いのでは?」と思う方もいるでしょうが、実際はどうなのでしょうか。
この記事では、登記申請の際の住民票についてのお話しをしていきます。
不動産登記とは?申請先はどこ?
土地や建物を取得した場合などは、不動産登記を行うことになります。
この不動産登記がどのようなものかというと、不動産の物理的状況と権利関係などを記録したものです。
具体的にどのような内容が記録されているかというと、
・土地もしくは建物の面積がどれくらいか
・土地もしくは建物の所有権は誰にあるのか
・抵当権が設定されているのかどうか
などです。
これは法務局が管理する登記簿に記載がされており、一般公開もされています。
そのため、対象の不動産の所有者は誰なのかが、第三者であっても確認することが可能です。
そんな不動産登記を申請するには、一般的には法務局の窓口で申請します。
申請の際は必要書類を添付しなくてはなりませんが、多くの不動産登記では住民票を用意することになります。
住民票は各市区町村で取得することになり、そのとき「住民票に個人番号の記載があったほうが良いのか」で悩むこともあるでしょう。
これについては後ほどご説明します。
次の項では不動産登記で住民票を添付する理由についてみていきます。
不動産登記で住民票を添付する理由
さまざまな種類のある不動産登記では、多くの場合で住民票を添付することになるでしょう。
不動産登記に住民票が必要な登記は
・土地や建物の所有者になったときの登記
・住所を変更したときの登記
などです。
これらのような登記では、「住所証明書」として住民票の添付を求められることがあります。
不動産の売買取引によって所有権が移転する登記などでは、新たに所有権を持つ人が本当に実在する人であるかを証明するために、住民票などの住所証明書の添付が必要です。
加えて、登記上の住所と実際の住所が異なっていないことを確認するためにも必要なものなのです。
こういった理由で、不動産登記の申請の際、住民票の添付が必要となることが多いようです。
そんな住民票ですが、近年では個人番号の記載も可能となっています。
不動産登記時に添付する住民票は、個人番号の記載があったほうが良いのでしょうか。
次項でお伝えしていきます。
登記に添付する住民票には個人番号の記載はあったほうが良いの?
近年では住民票に個人番号を記載することもできる住民票ですが、不動産登記時には個人番号の記載があったほうが良いのでしょうか。
個人番号があったほうが良いか悩んでしまうと、「とりあえず記載しておくか」とする方もいることでしょう。
ところが、添付する住民票の個人番号については、法務局のHPで以下のような内容の記載がされています。
「不動産登記申請時には、個人番号が記載されていない住民票を添付するようにしてください」
そのため、個人番号の記載がない住民票を用意しなければなりません。
しかし中には、うっかり個人番号の記載がある住民票を取得してしまったというケースもあるでしょう。
できれば手元にある住民票を利用したいと思うでしょうが、個人番号の記載が入った住民票でも登記申請をすることはできるのでしょうか。
次の項でご説明していきます。
もし個人番号が記載されている住民票を添付してしまったら?
不動産登記の申請時に添付する住民票には、個人番号が記載されていないものであることが必須です。
とはいえ、うっかり個人番号の記載がある住民票を取得してしまったケースもあるかと思います。
また、以前に取得した住民票を使おうとしたら、個人番号が記載されたものだったということもあるでしょう。
住民票の取得にはお金がかかりますから、できれば手元にある住民票を利用したいですよね。
では、このような個人番号が記載された住民票を添付した場合、どうなるのでしょうか。
この場合、当然ながら登記申請はできません。
そのため、再度住民票の取得をしなければならなくなります。
中には、住民票の個人番号の部分をマスキングする方もいるようですが、これでも登記申請は無効となります。
完全に住民票の個人番号欄は空欄でないといけませんので、住民票を取得する際はこの点に注意するようにしましょう。
個人番号以外にも!登記時の住民票で確認したい項目とは
不動産登記の申請で添付する住民票を取得する際、個人番号以外にも確認したい項目があります。
それは、「住民票に本籍を記載するかどうか」という点です。
住民票の取得時、個人番号同様、本籍の記載をするかのチェック欄があります。
もしチェックを入れていなければ、本籍は未記載となります。
では不動産登記で添付する住民票には、本籍の記載があったほうが良いのでしょうか。
それは、どの種類の不動産登記をするかで変わります。
例えば、相続登記で新たな不動産を取得する場合には、本籍が記載された住民票を用意しなくてはなりません。
また、所有権移転登記などの登記でも本籍が記載された住民票が必須とされていますので、住民票取得の際は本籍を必ず記載することに注意しなければなりません。
ところが、不動産登記の中でも住所変更登記をする場合には、必ず本籍が記載されていなければいけないということはないようです。
この登記の場合は、登記上の住所から現住所にいたるまでの変更履歴を証明するために住民票が必要となります。
そのため、住民票に本籍が記載されていなくても問題はないそうです。
このように不動産登記の種類によって、本籍の記載が必要かも変わりますので、前もって確認しておくようにしましょう。
コピーはNG!登記時に添付する住民票の注意点
登記申請時には、個人番号や本籍の記載に注意して住民票を取得することが大切です。
最後に、不動産登記申請の際に注意したい点をお話ししていきます。
それは、「コピーは不可」ということです。
登記の必要書類を確認していると、よく「住民票の写し」と記載されていることがあります。
このとき、「住民票のコピー」と勘違いする方もいるようなのです。
しかし、「写し」と「コピー」では意味合いが大きく異なります。
まず各市区町村で取得する住民票というのは、「原本の写し」とされています。
住民票の原本は役所で保管されており、登記などで住民票が必要なとき、その原本自体を取得することはできなく、原本を写したものを取得することになります。
この取得したものが「住民票の写し」で、これ自体は原本と同じ役割となりますので、登記時にもこれをそのまま添付すれば問題ありません。
ところが写しをコピーと勘違いし、役所で取得した「住民票の写し」をコピーし、これを登記時に添付したとします。
そうなれば、やはり登記申請は無効となってしまいますので、再度住民票の写しを持参して提出することになるでしょう。
何度も法務局に行くのは手間がかかりますから、1回で済むようにこういった点にも注意して登記申請を行うようにしてください。
添付する住民票に注意して登記申請を行おう
不動産登記では、住民票の添付が必須となる登記が多くあります。
添付する際には、個人番号の記載がない住民票でないと、登記申請をすることができませんのでご注意ください。
また、住民票の「写し」を「コピー」と間違える方もいるようですので、くれぐれも取得した住民票のコピーを提出しないよう、この点にも注意して登記申請を行いましょう。