土地を売るなら!公示価格と実勢価格を知り公正な取引を

  • 2019年12月14日
  • 2019年7月23日
  • 土地

土地の公示価格や実勢価格と聞いても、あまり馴染みがないかもしれません。

しかし、土地を売買する際に、「この土地の値段は何を基準に決められているのだろうか」と、ふと疑問に思ったことはありませんか?

そのような時に、参考となるのが公示価格と実勢価格です。

公正な取引で、この二つの言葉の意味を理解しておくと便利なので、是非参考にしてみてください。

土地の公示価格とは?実勢価格と何が違うの?

土地の公示価格とは、国が土地の取引をするのに目安として出している数字です。

公共事業用地の取得をする時の価格の基準にもなっています。

そもそも、なぜこの公示価格という言葉が生まれたのか、ということにも触れておきましょう。

1960年前後に地価高騰があり、公共用地の取得費の増大、利益を狙った土地取引等の国民経済などから、国民生活に多大な影響が出てしまいました。

そこで、「合理的な土地価格を提示できるために」と、1970年に地価公示法に基づいて地価公示が行われました。

しかし、公示価格は国家機関による大まかな目安であり、毎年3月下旬の発表をもとにしていて時価ではないことから、あまりあてにならない一面もあります。

とは言え、土地の価格は経済・社会動向に影響を及ぼすため、人口の増加、交通網の整備、商業施設などの増加による地域経済の動向を示す目安となります。

この土地の公示価格を決めるには基準地価という目安があり、この基準地価が公示価格よりも高額になると、その土地の価値が上がっているとみなされます。

逆に、下がってしまうと土地の価値が下落していることになります。

それでは、公示価格と合わせて実勢価格という言葉の意味を次の章で学んでいきましょう。

土地の実勢価格とは!公示価格よりも適正?

実勢価格とは、「これくらいの金額でこの土地は売れるだろう」という現実的な取引価格のことをいいます。

例えば、マンションを売却する時に参考にするのが、過去のそのマンションで取引された事例と経済情勢や金利などですが、その価格を実勢価格というのです。

しかし、日本の不動産取引市場では、プライバシーへの配慮や守秘義務が守られているため、取引価格が市場に出回りにくい傾向があります。

よく言われているのが、実勢価格は公示価格の1.1倍から1.2倍ということです。

さらに、人気のある土地はそれ以上に高額になります。

もしも、できるだけ適正な実勢価格を確認したい場合は、その土地の公示価格を把握しておくことで、不動産会社が提示してきた査定額が妥当なものかを見極めることができるでしょう。

もうひとつ押さえておきたいキーワード「路線価」

ここまで、公示価格と実勢価格について説明してきましたが、もう一つ覚えておきたい「路線価」についてお話します。

路線価は税金の目安となる価格で、相続税や贈与税、固定資産税を計算する時などに、この路線価を基に計算します。

相続で土地をもらった時に、翌年の確定申告で税金を納める必要がありますが、その時にどれくらいの税金がかかってくるのかを調べるために、この路線価が目安となるのです。

路線価は、公示価格の7~8割と低めに設定されていますが、これは「納税者の負担を考慮して」ということです。

そのため、もし土地の売却を考えている時には、誤って路線価を基準に売却価格を決めてしまうと、相場よりも安くなってしまうので気を付けましょう。

路線価は、毎年7月にその年のものが発表されるので、相続や贈与があった年の路線価を参考にします。

しかし路線価がない土地もあります。

それは、市街地以外の宅地や山林、農地などに多く見られます。

その場合は、固定資産税評価額をもとに計算します。

路線価は、相続税や贈与税、固定資産税を計算する時に使われる目安であることを覚えておきましょう。

土地を売る時には実勢価格を操作されたりしないのか?

ここまでで、公示価格と実勢価格、そして路線価の内容がわかりました。

「実際に売買で使用されるのは実勢価格」と書きましたが、極端な価格でも業者の言い値に応じ成立したならば、それが実勢価格となります。

そうなると、業者によっては「土地の相場を操るのでは?」という疑念が湧いてしまいます。

しかし、そのような詐欺まがいの取引が行われないように、税金という仕組みによってある程度守られている部分があります。

不動産の取引を繰り返すたびに、不動産所得税・消費税・登録免許税を納める必要があります。

そうなるとおかしな価格での売買を行うたびにこれらの税金を払うことを繰り返す方が最終的に損をすることになるので、実勢価格を不正に操作することはしにくいと言えるのです。

公示価格と実勢価格に差が生じてしまう原因

公示価格と実勢価格の特徴が分かってきたところで、なぜこの二つの間に差が生じてしまうのか疑問に思いませんか?

それには、3つのポイントがあります。

①実勢価格は売主と買主により決まる

値上げなどの事情により、相場よりも高い金額で買収されることや、特殊な事情が考慮される取引で実勢価格が決まることがあるので、そうなるとどうしても公示価格との差が出てしまいます。

また、公示価格は不動産鑑定士により精査され公的機関が管理している価格ですが、実勢価格といのは不動産業者による視点で決める価格であることも理由の一つに挙げられます。

②土地価格への変化の対応

先述したように、公示価格の発表は年に一度なので、1年間の価格変化に対応できないという難点があります。

③公示価格の標準地が特殊な土地であったことで生じる誤差や、建設する建物の価値などから逆算して土地価格を決定する

建蔽率や容積率が適応せず、実勢価格で評価額が低くなって公示価格との差が生まれてしまうケースや、その土地に建つ建築物の販売価格の利益から利回りを計上して、土地の価格を出す計算方法をした場合です。

このような理由が、公示価格と実勢価格との間に乖離率を生じさせてしまう原因と考えられます。

「土地総合情報システム」を利用しよう

周辺の道路が整備されたり、便利な複合施設などが多く建ち並んだりすると、その近隣の土地の価値が上がったりします。

そのように、価値が変わるという点では、私たちの身近でいつも価格が変化している商品があります。

それは、電化製品や野菜、肉、魚などで、これらも実勢価格という考え方になります。

よく時価という言葉を使うのではないでしょうか。

これらの商品は、価格に幅があっても同じ商品を扱っているので、高いか安いかを判断するのは容易です。

しかし、土地に関しては、同じ商品は二つとしてないので、実勢価格は取引の平均値と考えておくことが無難なのです。

そして、公示価格と比較してみるのもいいでしょう。

それらを心得た上で、実勢価格を自分で調べる方法があります。

それは、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」を利用する方法です。

こちらは、日本全国の土地取引の実勢価格を知ることができ、坪単価や土地の総額だけでなく、土地の形状や面積、土地の利用目的、建蔽率や容積率まで閲覧できるものです。

ただし、不動産取引が盛んに行われている都会では簡単に調べられるのですが、取引の少ない地方の実勢価格は調べることができないのが現状です。

もし該当する地域であれば、このシステムを利用してご自身で前もって調べてから取引を開始することをおすすめします。

土地の売買は信頼のできる不動産業者に依頼しよう

土地は、公示価格と実勢価格によってある程度の価格が決められていることがわかりました。

そのため、不正をはたらきにくいようになっていますが、公正な取引を望むには自分自身でも知識を積んでおくことが必要です。

そして、信頼できる不動産業者に出会えたら、公示価格や実勢価格について下調べしてあることを一言伝えて取引に臨みましょう。