住まいの中の、いわゆる居室と言われる場所は、ある程度の使用方法が決まっています。
一方、使用方法次第でどのようにも変化する場所として挙げられるのが納戸です。
クローゼットとしてなど、様々な納戸の使用方法が考えられます。
以前より個性が求められつつある住まいは、他家との違いを図るためにも納戸の使用方法はポイントと言えるでしょう。
今回は、納戸の使用方法に加え、クローゼットについてもご紹介していきます。
納戸と各居室の違い
リビングであれば、その住まいの住人が集まってくつろぐ部屋であったり、寝室であればその名の通り睡眠を取るための部屋となります。
これらは、特に説明がなくとも、ほとんどの方がその位置づけを理解していると言えます。
しかし、これらとは違い、場所としての名があるにも関わらず、その位置づけを理解していない方も多いのが納戸ではないでしょうか。
ここでは、納戸についてご説明していきましょう。
納戸は、先ほど触れたリビングや寝室などの、いわゆる居室と定められている場所とは違います。
それには、建築基準法が関係しています。
建築基準法で定められている居室の定義は、継続的に住むことにふさわしい場所であるかなどが考慮されます。
また、居室と定められる場所には、窓の存在も不可欠です。
さらに、窓があったとしても、その大きさが部屋の床面積の7分の1を超えるものでなければなりません。
これらの条件を満たしていない場所は、居室とは呼べないのです。
そのため、納戸という呼び名が付けられています。
居室としての条件を満たしていない納戸ですが、その使用には汎用性があります。
クローゼットとして使用するなど、好みに合わせられる点が見直されているのです。
知らない人が多い?納戸とクローゼットの違い
居室の一角などに設けられている場所として挙げられるのが、クローゼットです。
一見、納戸とこのクローゼットを比べてみると、大きな違いなどがないようにも感じますよね。
では、クローゼットと納戸の違いはなんでしょうか。
まずクローゼットですが、衣類の収納に特化した場所と位置づけられます。
ハンガーパイプなどが設置されていたり、より衣類の収納に適した場所であることが求められます。
一方の納戸は、居室としての定義には当てはまりませんが、前述したように汎用性の高い場所と言えます。
使用方法の自由さがあり、場合によっては居室のように使用することも可能でしょう。
昨今の建築業者の中には、この納戸の汎用性に注目し、新築の間取りなどにあえて納戸をすすめる傾向もあるようです。
クローゼットとウォークインクローゼットの違い
クローゼットには、納戸と違い衣類の収納に特化した機能が求められるということはお話しした通りです。
また、クローゼットの中でも、ウォークインクローゼットやウォークスルークローゼットが人気です。
クローゼットもウォークインクローゼットも、見た目は大きな違いはありません。
しかし、ポイントとなるのが、その中に人が入れるほどの大きさがあるかどうかという点です。
クローゼットは、人が入ることができなくても、衣類の収納ができればその定義に当てはまります。
一方のウォークインクローゼットは、人がその中に入って衣類を選んだり、着替えるなどの動作が難なくできることが求められます。
また、クローゼットと違い、ウォークインクローゼットはその広さから、ハンガーパイプをL型に設置することも可能です。
衣類は季節によっても様々な種類があるため、L型のウォークインクローゼットであればより多くの衣類収納ができるでしょう。
さらに広いウォークインクローゼットの場合、ハンガーパイプを人の通り道を挟んで設置することもできます。
ウォークインクローゼットとウォークスルークローゼットの違い
家族の人数が多い場合などには、衣類の収納にも広さが必要でしょう。
また、衣類だけでなく、多くのバッグや帽子などの衣類関連アイテムも一緒に収納できればより便利です。
その場合には、ウォークスルークローゼットがおすすめです。
ウォークスルークローゼットとウォークインクローゼットの大きな違いは、出入り口の数です。
1箇所から出入りするウォークインクローゼットと違い、ウォークスルークローゼットの出入り口は2箇所になります。
通り抜けることができるため、移動もスムーズに行えます。
また、出入り口が2箇所あることから、人はもちろん、空気も通り抜けられるため、通気性が確保でき、衣類の状態を保つことにも繋がります。
この点は、高温多湿になりやすい日本の気候にも適していると言えます。
次項では、納戸をクローゼットとして使用することの利点についてご説明していきましょう。
納戸をクローゼットとして使用することが適している理由
納戸を、クローゼットとして使用する方が多いのは述べたまでです。
それには、納戸特有とも言える特徴が関係しています。
納戸には、窓の設置は義務付けられていないため、窓が設置されていない、もしくは建築基準法の定義を満たしていない小さなサイズのものが設置されている場合が多いでしょう。
窓は外からの光を取り入れる重要な役割を担いますが、一方で衣類にとってはそれが難点となることもあります。
衣類全般に言えることですが、植物などと違い、強い光に長時間当てることは望ましくありません。
外からの光を長期間受け続けることで、衣類の変色などが見られることもあります。
そのため、大きな窓の近くなどに衣類を収納することは避けたほうが望ましいです。
つまり、納戸のような比較的光が差し込みにくい場所での保管が、衣類には適していると言えるのです。
納戸をクローゼットとして使用し、衣類を収納することは衣類の品質を保つためにも良いことと言えます。
子育てに違いが出る?納戸を子供部屋に
クローゼットと違い、別の用途で納戸を有効的に使用している方もいます。
ここでは、子供部屋としておすすめな納戸の使用方法をご紹介しましょう。
子供がいる住まいでは、子供に関するおもちゃなどが多く、収納に困っているという声も聞かれます。
また、片付けてもすぐに散らかってしまうなど、整理整頓も難しいと言えるでしょう。
しかし、整理整頓などに関しては大人と子供で感覚が違うため、大人が思っているほど故意に散らかしているわけではないことが多いです。
そのため、多少散らかしていたとしても、おおらかに見守ることができたら良いですよね。
そこで、納戸を子供部屋として使うことを考えてみましょう。
納戸は人目に付きづらい場所に位置していることが多いため、子供部屋として使用すれば多少散らかしていたとしても気になりません。
急な来客があった際なども、慌てて片付ける必要もないでしょう。
「子供ならでは」とも言える感覚を大切にすることにも繋がると言えます。
子供と大人の感覚の違いを理解し、子供に合わせた環境を作ることは、より良い子育てにとっても大切なことですね。
納戸の使用は快適さも心掛けて
納戸は、その汎用性の高さを生かした様々な使用方法が考えられます。
クローゼットはもちろん、子供部屋のような居室として使用するのも良いでしょう。
しかし、納戸は居室としての定義を満たしていないため、快適に過ごせるように自分で工夫する必要があります。
熱などもこもりやすいため、クーラーや扇風機の設置など考える必要があります。
また、納戸のような狭い場所であっても、定期的に掃除を心掛け、清潔に保つことも大切ですね。