住宅地にも多くある、私道にまつわるトラブルは後を絶ちません。
権利に関するトラブルを始め、ご近所トラブル、子供に関するトラブルなど、原因はさまざまです。
ここでは私道について知っておくと役に立つ知識と、トラブルを起こさないための方法についてお話します。
子供にも教えたい私道のこと
子供は小学校に入ると、急に行動範囲が広がり、子供同士で遊ぶようになります。
友達同士で近所のいろいろな場所へ出かけたりする機会も増えるでしょう。
親の目の届かない場所へ行くことが増えると、心配なのはトラブルです。
入ってはいけないところへ入り込んでしまったり、危険な場所へ近付くとトラブルに繋がります。
安全に遊ばせるためにも、日頃から親がさまざまなことを教えておく必要があります。
中でも私有地や私道のように、一見ただの道路や空き地に見える場所であっても、土地所有者の許可がなければ入れない場所も存在するので、注意が必要です。
道路は全てが誰もが通ることができる公道と、個人や企業といった所有者がいる私道があることを、子供にも教えておくことが必要です。
子供の行動範囲を親子で確認し、私道や立ち入り禁止の場所を見て回るのも良いでしょう。
大人が知っておきたい私道のこと
私道は所有者がいる道ということは知っていても、どんな規制があって、所有者にどんな権利があるのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか。
物件や土地購入する際に、私道に関するトラブルに巻き込まれないためにも、知っておくと役に立ちます。
・所有者の権利
私道とは、道として使われていても所有者の土地です。
そのため、今現在私道として使われていても、将来的に廃止して建物を建てることも可能です。
自分の土地ですから、人や車の通行を制限したり、禁止することもできます。
知らずに入ってしまうとトラブルに繋がるので気を付けましょう。
・私道であっても例外がある
例え私道であっても、特定行政庁が道路位置を指定した位置指定道路や、開発許可を得た開発区域内にある開発道路は例外です。
建築基準法上、必要とされ作られた私道に関しては、所有者であっても廃止することができません。
また、この場合の私道は、一定の公共性が法律で認められているので、第三者であっても通行することができます。
そのため、子供が通っても、特に問題ない私道と言えるでしょう。
私道付き物件購入でトラブルを避けるために必要な権利
公道のみに囲まれていれば遭遇しないような問題に、遭う可能性があるのが私道トラブルです。
私道に面した物件や土地の購入を検討している方は、契約前に確認してほしい権利があります。
・車が通れるかどうか
私道は、自分に所有権がなくても、通行承諾権を得ることで通ることができます。
通常であれば私道を通らなければ物件に入れない場合、通行承諾は貰えるのですが、私道の所有者によっては車の通行は禁止していることがあります。
うるさいから、子供に危険が及ばないように、などなど理由はさまざまですが、所有者がいる以上権利を貰わなければ従うしかありません。
購入前に通行承諾が貰えるのか、車が通っても良いのか、確認が必要です。
・ライフラインを確保できるか
私道のみに面した物件や土地を購入してしまうと起こり得るトラブルです。
私道には、掘削承諾という権利が存在し、この権利を貰わなければ、住宅設備に必要なガス菅や、水道管を引き込むことができません。
すでにライフラインが確保された物件を購入する場合でも、年数の経過により修理や交換が必要になることもあります。
この時、掘削承諾を持っていなければ、許可なく道路を掘って工事を行うことができないので、契約の時点で確認しておきましょう。
私道付き物件で起こりやすいご近所トラブル
私道付きの物件は、私道を通る区画に住んでいる人同士で、一部ずつ私道を所有する場合が多くあります。
つまり私道を複数の世帯で共有している状態です。
そのため、私道にまつわるご近所トラブルに遭う可能性があります。
・私道を私物化するトラブル
自身の敷地内ではないにも関わらず、私道に車を駐車し、「私道なんだからいいだろう」と思っている方は少なくありません。
本来、複数の所有者がいる私道の場合、私道は共有スペースなので、私物化してはいけません。
ましてや駐車をしているせいで、人や車の通行を妨げる場合は大きなトラブルに発展する場合があります。
車を駐車する以外にも、敷地内からはみ出して私道に植木鉢を置くなど、私道を私物化する住人がいるとトラブルに繋がります。
・子供に関するトラブル
「私道だから侵入してくる車も少なくて安全」「家の前の道路で遊ばせれば親の目が届いて良い」などの理由から、私道で子供を遊ばせる人が多くいます。
子供を私道で遊ばせることで、騒音と受け取られトラブルになったり、ボールを車や外壁にぶつけてしまうなど、トラブルに発展することがあります。
私道は子供の遊び場?マナーとモラルを忘れずに
先にお話したように、私道に面した物件に住んでいると、家の前の私道で子供を遊ばせることもあると思います。
確かに私道は交通量もほとんどなく、安全な場所かもしれません。
しかし私道とはいっても、共有している私道に関しては、自分だけのものではないので、子供を遊ばせることによってトラブルになってしまう場合もあります。
住宅地で見かけることも多い、私道に面した横並びの分譲地や、私道を囲むようにして区画整理された分譲地では、私道に面して車庫を作る人がほとんどです。
私道でボール遊びをして車にぶつけてしまったり、よその家の門にぶつけるといった事が起こり得ます。
私道と住宅が近ければ近いほど、住んでいる人によっては、子供が遊ぶ声が聞こえるだけでも迷惑に感じる人もいるのです。
基本的に私道は道路なので、元気いっぱい子供を遊ばせたければ公園に連れて行くのが一番です。
もし私道で遊ばせるのであれば、マナーとモラルを守り、近隣住民に迷惑にならないよう配慮が必要になります。
当事者はわからない?!子供絡みのトラブル原因
私道のみに関わらず、賃貸物件においても、子供絡みのご近所トラブルは後を絶ちません。
そしてその大半は、当事者にしてみれば迷惑になっていると思っていない場合が多いのです。
私道で子供を遊ばせる時、トラブルへと発展させないために、どのようなことが迷惑をかけるのか知ることが大切です。
・子供だけで遊ばせること
私道であっても近隣の家の車の出入りや、宅配業者のトラックが通ることはあります。
子供だけで遊ばせると、通行の妨げになるだけでなく、接触事故になる可能性もあり、迷惑なだけでなく危険です。
・自転車や足こぎ車に乗ること
子供が私道で補助輪付きの自転車や、足こぎ車に乗って遊ぶことがあるでしょう。
それらの走行音も、乗っている時間や乗り方によっては、近隣に迷惑をかける場合があります。
普通の自転車とは違い、アスファルトと車輪の擦れる音が響きやすいため、長い時間乗り回していれば騒音になり兼ねません。
補助輪なしの自転車であっても、むやみやたらベルを鳴らしたり、急ブレーキをかけて遊んでいれば、近隣住民にとっては迷惑です。
・ボールを使って遊ぶこと
先にもお話したように、私道でのボール遊びは、近隣住民の車や外壁にぶつけてしまう可能性もあり、明らかな迷惑行為です。
ボールはどこへ飛んで行くかわかりません。
「気を付けて遊べば大丈夫」ということはありません。
私道であっても道路!遊び場にするのはやめよう
お話してきたように、例え私道の一部を所有していたとしても、好き勝手になんでもして良いわけではありません。
子供は親の背中を見て大きくなります。
私道に当たり前のように駐車したり、植木鉢を並べているようであれば、子供にとって私道は自分の家と変わらない場所と認識されるでしょう。
常にマナーとモラルをもって行動することで、トラブルは避けられるはずです。