DIYが盛んになり、簡単なインテリアからリフォームまで手掛ける人が増えてきました。
なかには、外構工事をしてフェンスや玄関までのアプローチ、駐車場を作る器用な方もいます。
しかし、外構工事には届け出が必要なものもあります。
今回は、木造車庫を建てようと考えている方に向けて、必要な届け出や基礎知識をご紹介していきます。
木造車庫をDIYしたい!まずは法律をチェック!
ネットを見ていると、木造の車庫をDIYしたという例がいくつも出てきます。
個性的で素敵な車庫の画像を見ていると、DIYが得意な方なら「自分でも作ってみたい!」と思われる事でしょう。
しかし、車庫を建てるにはいくつかのルールがあります。
そのルールとは、「建築基準法」「都市計画法」という法律です。
柱と屋根だけのカーポートであっても、壁やドア、シャッター付きのガレージであっても、建築基準法では建築物という扱いになるので、そこには法律が関わってくるのです。
つまり、人が住まない車庫であっても、新築住宅と同じ手続きが必要という事になります。
この手続きは、防火地域と準防火地域では必ず必要となります。
しかし、建築基準法6条の2項にもあるように、防火地域か、あるいは準防火地域外では、床面積の合計が10m²以内なら不要です。
まずは、自分の住んでいる地域が防火地域や準防火地域であるかどうか確認してください。
次に車庫の大きさについて見てみましょう。
木造車庫をDIYしたい!どれくらいの大きさにする?
自宅の庭に木造車庫をDIYする場合、どれくらいのスペースが必要なのでしょうか?
国土交通省の駐車スペースの指針は、次の通りです。
・軽自動車:幅2m×奥行3.6m(床面積7.2m²)
・小型乗用車:幅2.3m×奥行5m(床面積11.5m²)
・普通乗用車:幅2.5m×奥行6m(床面積15m²)
また、車庫を建てる場合は次の通りです。
・カーポート:幅2.5m×奥行5m(床面積12.5m²)
・ガレージ:幅3m×奥行6m(床面積18m²)
ドアの開閉スペースなどを考慮すると、最低でもこれくらいのスペースは必要という事になります。
2台分の場合は、幅を倍にしてください。
なお、高さは2.1m以上です。
自動車ごとの床面積を見てみると、10m²以下は軽自動車の駐車スペースのみです。
したがって、カーポートタイプでも、ガレージタイプでも、車庫を建てるときには届け出が必要という事になります。
木造車庫をDIYしたい!車庫に対する緩和措置
木造車庫をDIYするときに問題となるのは、「建ぺい率」と「容積率」です。
敷地に対する建物の建築面積が「建ぺい率」、敷地に対する建物の延べ面積が「容積率」となります。
何が問題になるのかというと、車庫も建物なので、これらの制限の対象になるのです。
しかし、緩和措置もあります。
建ぺい率の緩和措置は次の通りです。
・4メートル以上外壁のない部分が連続してある
・柱の間隔が2m以上ある
・天井の高さが2.1m以上ある
・地階を除く階数が1
以上の場合、車庫の柱から1mまでの部分は建築面積に算入されません。
カーポートタイプの車庫の場合は、ほぼ条件を満たすので緩和措置が受けられます。
しかし、ガレージタイプの車庫の場合、壁で囲うことになるため、上記の緩和措置を受けられません。
次に容積率の緩和措置です。
・自動車車庫等の床面積は、敷地内の建築物の延べ面積の5分の1を限度として、延べ面積に算入されない
カーポートタイプ、ガレージタイプのどちらにしても車庫なので、緩和措置が受けられます。
木造車庫をDIYしたい!内外装の制限
車庫を建てる場合には、内装や外装に制限があります。
ガレージタイプの木造車庫をDIYする場合、外装や骨組みは木でも、内装は防火材料でなくてはなりません。
木造であれば、内装も木の良さを活かしたいところですが、木の部分を出して良いのは、天井と壁の面積の10分の1以内と定められています。
内装の不燃材料は、建設省告示第1400号及び1401号により、コンクリートやモルタルなどになります。
また、外装にも制限が掛かる場合があります。
前述した「防火地域」や「準防火地域」では、自治体によって違いはありますが、火災が起きたときに延焼を防ぐ目的で、内装だけでなく外装も不燃材料を使わなければなりません。
木造の素敵な車庫を建てようと思っても、建てられない地域があるので、事前にチェックしておきましょう。
しかし、DIYがいけないわけではないので、不燃材料を使えば車庫を建てる事はできます。
木造車庫をDIY!費用はどれくらいかかる?
このように、ひと口に木造車庫をDIYすると言っても、さまざまな課題があります。
すべての課題をクリアして、DIYで木造車庫を建てる場合、費用はどのくらい掛かるのでしょうか?
通常、カーポートタイプを設置する場合、業者に頼むと1台用で約10万円、2台用で約20万円ほど掛かり、ガレージタイプでは1台用で約45万円、2台用では約100万円掛かると言われています。
しかし、木造車庫をDIYした方のブログを見てみると、ガレージタイプの1台用を20万円ほどで建てた方もいました。
その方の場合は、基礎工事から手作業で行い、8坪(26.6m²)のガレージタイプの車庫を完成させたそうです。
それまで、大きなものを建てた事は全くなく、日曜大工程度の経験しかなかったと言います。
しかし、ホームセンターで手に入る2×4材を使って、安く簡単にできるように素人ながら図面を起こし、大まかな材料を算出し、無駄なく車庫を完成させました。
ここでポイントなのが、長さの決まっている2×4材を組み合わせて作る事を考えるというところです。
これなら素人でも楽に設計ができます。
それだけでなく、材料が無駄にならず、材木をカットする手間も省けるので、より経済的に車庫を建てる事ができます。
木造車庫をDIY!基礎工事は業者へ依頼もあり
車庫をDIYするときに一番大切で手間が掛かるのは、基礎工事です。
基礎工事では、土を掘ってならし、採石を敷き、鉄骨の網を張り、コンクリートを流し込み、表面を平らにしてから、周りを型枠で囲って30cmほどの壁を立てます。
このとき、土を掘り返し、電線や配管などにあたってしまったら、工事はとても大規模なものになってしまいます。
この基礎工事からDIYできれば、費用をかなり抑える事ができますが、そこまではなかなか難しいという方は、基礎工事だけ業者に任せてはいかがでしょうか。
基礎がしっかりできていれば、安心して木造車庫を建てられます。
大事なところはプロに任せて、あとは自分で工夫して車庫を作りましょう。
DIYだからこそできる、木目を生かした外装の塗装や個性的なドア、母屋に合わせたデザインなど、自由自在です。
内装も自分好みにできるので、使いやすい棚を作ったり、インテリアに凝るのも良いですね。
そして、なんと言っても、自分で作った車庫は愛着が持てます。
単なる車置き場以上の、ちょっとした秘密基地のようになるでしょう。
木造の車庫をDIYする前にチェックしよう!
ご紹介したように、車庫を建てるには事前のチェックが必要です。
素人のDIYだからと甘く考えていると、大変な事になります。
届け出を怠る、違法な建物を建てた場合などには罰則を受ける事もあります。
決められた届け出をきちんとして、適正な車庫を建てましょう。