住所には正式な書き方があることをご存知ですか。
私たちが普段書いている住所は、実は簡略化されたものであることが多いのです。
特にマンション名やアパート名は、長すぎたり外来語であったりすることが多いため、つい省いてしまいますが、場合によっては省かずきちんと書いたほうがいいのです。
どういう時に省かず書いたらいいのか、また正式な書き方とはどういうものなのかをご紹介してまいりましょう。
住所の正式な書き方は住民票に基づいている
普段何気なく書いている住所ですが、正式な書き方とそうでない書き方があることをご存知でしょうか。
「○○町3-2-1」というように、数字と数字をハイフンで結んでいるのは、実は正式な書き方ではありません。
この場合「○○町3丁目2番1号」が正式な書き方です。
「番」と「号」はセットになっています。
あるいは「○○町3丁目2番地の1」もしくは「○○町三丁目2番地1」という場合もあります。
「番地」と「号」はセットにはならず、「番地」の後の数字には何も付かないのが普通です。
「丁目」の数字は漢数字、それ以外はアラビア数字が正式な書き方ですが、最近はすべてアラビア数字という場合もあるようです。
マンションやアパートに住んでいる場合は、この後にマンション名、アパート名が入り、部屋番号を書きます。
例えば「○○町3-2-1-201」なら「○○町三丁目2番1号エンゼルマンション201」、もしくは「○○町三丁目2番1号エンゼルマンション201号」が正式な書き方です。
住所の正式な書き方はすべて住民票の住所に基づいています。
マンションやアパートの部屋番号に「号」が付くか付かないか、「××丁目」の「××」がアラビア数字か漢数字か、「△△番地」か「△△番」かなど、細かい表記の違いを住民票で確かめておくといいでしょう。
住民票の住所にマンション名が入っていないこともある
住所の正式な書き方は、住民票の住所欄に記載されているものです。
しかし、マンションやアパートに住んでいるにもかかわらず、住民票にマンション名やアパート名が書かれていない場合があります。
これは番地や号数でそのマンションやアパートが特定できるため、マンション名やアパート名を記載する必要がないと判断されているからです。
したがってマンション名、アパート名がなくても正式な住所となります。
たとえば「○○町3-2-1-201」なら、「○○町三丁目2番1号201号室」のように記載されています。
正式な住所は住民票通り「○○町三丁目2番1号201号室」で大丈夫です。
マンション名やアパート名を書けば親切ですが、公的な文書の住所欄には、マンション名やアパート名のない正式な書き方をしておいたほうが無難といえるでしょう。
住民票の住所欄にマンション名やアパート名が記載されていれば、住所の正式な書き方もマンション名やアパート名を入れた形になります。
たとえば「○○町3-2-1-201」なら、「○○町三丁目2番1号エンゼルマンション201」のように記載されています。
これは、同じ番地に他にも建物があり、マンション名を入れることではじめてそのマンションが特定できることを示しています。
したがって正式な住所を書く際は面倒でも省かず、きちんと書くようにしましょう。
住所の正式な書き方は地域によって違う
住所の正式な書き方は、全国で統一されているわけではなく、地域によって違いがあります。
たとえば「○○町3-2-1」という住所の正式な書き方は、地域によって次のように異なります。
・「○○町三丁目2番1号」
・「○○町3丁目2番1号」
・「○○町三丁目2番地の1」
・「○○町3丁目2番地の1」
・「○○町三丁目2番地1」
・「○○町3丁目2番地1」
・「○○町三丁目△△番地××」
さらに「○○町3-2-1-201」といったようにマンションやアパートに住んでいる場合も、正式な書き方は地域によって次のように異なります。
・「○○町三(3)丁目2番1号エンゼルマンション201」
・「○○町三(3)丁目2番1号エンゼルマンション201号室」
・「○○町三丁目2番1-201号」
なぜこのような違いが起こるのか、説明いたしましょう。
住所の正式な書き方は住居表示の改正とかかわりがある
住所の正式な書き方は、地域により大きく次の二通りに分かれます。
たとえば「○○町3-2-1」なら、
A:「○○町三(3)丁目2番1号」
B:「○○町三(3)丁目2番地の1」、「○○町三(3)丁目2番地1」、「○○町三丁目△△番地××」
Aは1960年代に施行された住居表示の改正に伴い変更された表記の仕方であり、Bはそれ以前の表記です。
かつては土地の区割りを基にした地番制度がそのまま住所としてまかり通っていましたが、市街地の整備や開発が進むにつれ建物と土地との関係が複雑になり、郵便物が届かないなどの不都合が生じるようになりました。
そのため導入されたのが、市区町村ごとに区分けされた住居表示です。
それまでの土地を基準にした番号制度から、新たに建物を基準にした番号制度へと変更されたのです。
しかし地域によっては住居表示が及んでいないところもあり、そうしたところでは従来の土地を基準にした表記の仕方となっています。
Aのタイプであれば、「丁目⇒番⇒号」と合理的に整っていますが、Bでは「の」が間に入るか入らないかの違いがあったり、場合によっては数字自体が変わる可能性もあります。
またマンションやアパートに住んでいる場合も、住所の正式な書き方に違いがあります。
「○○町3-2-1-201」なら、「○○町三(3)丁目2番1号エンゼルマンション201」や「○○町三(3)丁目2番1号エンゼルマンション201号室」といったようにマンション名、アパート名が記載されるのが一般的です。
しかし、Bタイプの地域ですと、「○○町三丁目2番1-201号」のようにマンション名アパート名が記載されず、ハイフンの後に直接部屋番号をつなげて号をつけるところがあります。
いずれにせよ公的な文書に住所を記す場合、住民票にどのように記載されているか、あらかじめ確かめておいたほうがいいでしょう。
マンション名も省かず正式な書き方をしなければいけないのはどんな時?
普段私たちが書きなれた住所は、たいてい簡略化されたものです。
多くが数字と数字の間をハイフンでつなぎ、マンションやアパートに住んでいてもマンション名やアパート名を書かず、部屋番号に「号」や「号室」を付けたものを記載したり、「号」や「号室」すら付けず部屋番号の数字だけ書いたりしています。
それでも郵便物はきちんと届きますし、生活上何の不便もありません。
しかし、正式な書き方をした住所を伝えなくてはならない場合があります。
その多くが次のような公的な文書に記載する場合です。
・就職活動中の履歴書
・婚姻届
・不動産関係の書類
「○○町3-2-1-201」なら、「○○町三丁目2番1号エンゼルマンション201」といったように、丁目、番や番地、号、マンション名やアパート名などを面倒だからと省かず、しっかりと記載するようにしましょう。
わからなければ住民票で確かめておくのが無難です。
住民票は住んでいる自治体の役所で300円で取得できます。
またはインターネットの地図検索サービスを利用しても正式な書き方をした住所が表示されます。
ただし表示される地域は限られているため、できれば住民票を取得したほうがいいでしょう。
履歴書などの住所欄にはフリガナを書く欄がありますが、都道府県、市区町村まではフリガナをつけるのが原則です。
それ以降についても読みづらい地名やマンション名には、フリガナをつけておくことをおすすめします。
誰が見ても正しい住所が一目でわかるような書き方をしましょう。
マンション名やアパート名をつけると長くなってしまう場合には、2段に分けて書いて構いません。
適切な箇所で区切って書くようにしましょう。
マンション名は普段から省かず書いたほうがいい
正式な書き方でなくとも住所を記入する必要のある時は、できるだけマンション名、アパート名を省略せずに書きましょう。
特に郵便物や宅配物は、誤配送を防ぐ意味でも、マンション名やアパート名をきちんと記入しておいたほうが無難です。
たとえば「○○町3-2-1-201」なら「○○町3-2-1エンゼルマンション201」と書けば十分です。
また宅配や郵便以外にも、マンション名アパート名を書いたほうがいい場合があります。
たとえば年賀状です。
特に目上の方やお世話になった方の場合、マンション名やアパート名を省いて書くと、失礼な印象を与えかねません。
結婚式や何かの催し物の招待状を送るとき、又はその返信を送るときも、省略せずにきちんと書きましょう。
また就職活動中に限らず、たとえアルバイトであっても履歴書には省略せず書いたほうが好ましい印象を与えます。
丁目、番地は書かずハイフンでつなげても、マンション名アパート名は省かず書くと、きちんとした人だと思わせられるので、TPOをわきまえて使い分けるようにするといいでしょう。
住所の正式な書き方は住民票の記載通りに!
就活中の履歴書など公的な文書に住所を記載する際はできるだけ正式な書き方をしましょう。
住所の正式な書き方は、お住いの自治体の住民票に記載されています。
事前に確認しておくといいですね。
また正式な住所でなくとも、マンション名やアパート名は省かずに書くと、誠実な人柄が伝わります。
好印象を与えたいときは省略せず書くようにしましょう。