所有する土地の用途が変わっても、自動で登記上の地目が変更されることはありません。
この場合、自分で「地目変更登記」の手続きを行わなくてはなりません。
ではこの登記を行う際、必要となる書類や費用はあるのでしょうか。
この記事では地目変更登記の流れなどについてお話ししていきますので、地目変更登記を行う際の参考にしてみてください。
地目変更登記をするには?一般的な手続きの流れ
土地にはひとつひとつ地目がつけられています。
そのため、ご自身が所有する土地にも地目がつけられていることでしょう。
ちなみに地目とは、簡単にご説明すると、土地の用途を示したもののことをいいます。
家が建っていればその土地の地目は「宅地」となり、家畜を放牧しているような土地であれば「牧場」の地目となっているでしょう。
このように、土地それぞれがどのように使われているかを表すものを「地目」といいます。
これは法務局の登記官によって判別され、認定されることになります。
しかし、何らかの理由で土地の用途が変わることもあるでしょう。
もし土地の用途が変わってしまった場合は、登記上の地目を変更しなければなりません。
自動的に登記上の地目が変更されることはありませんから、自分で手続きを進めます。
では、どのように地目変更の登記を進めるかというと、下記が一般的な手続きの流れとなります。
1、工事着工の準備を行う
2、変更したい地目と土地の現況地目を一致させる
3、必要な書類を用意する
4、地目変更登記申請書を作成する
5、地目変更登記の申請をしに行く
具体的な内容については、次の項からお伝えしていきましょう。
また、地目変更登記を行うにはどのくらいの費用がかかるかも気になると思いますので、これについては後ほどご説明します。
地目変更登記を行うタイミングはいつ?
先ほどお伝えした地目変更登記の流れを、もう少し具体的に見ていきましょう。
はじめに行うのは、工事着工の準備をすることです。
着工準備は、建築確認の申請や開発許可の取得、農地転用の申請などを、状況に応じた法規制をクリアしていくことをいいます。
変更したい地目によっては、土地の工事が必要となるでしょう。
その着工準備にまずは取りかからなくてはなりません。
そして工事を行い、変更したい地目に土地の現況地目を一致させます。
これらが一致したときが、地目変更登記を行うタイミングといえます。
例えば、地目が「畑」の土地を農地転用し「宅地」に変更する場合であれば、変更したい地目は「宅地」で、現況の地目は「畑」です。
そのため、農地転用の許可を得て住宅などの建物が建ったときが、「畑」から「宅地」に地目変更するタイミングとなるのです。
もっと細かくいえば、住宅などの建物を建てるために「宅地」に地目変更したい場合は、建物の土台の基礎さえでき上がっていれば、地目変更ができることが多いようです。
ですから、建物の基礎ができた時点で地目変更登記の手続きをしても、建物がまだ建っていなくても地目変更が認められるケースが多いとされています。
とはいえ、一般的な地目変更を行うタイミングは、建物が完成した時点のようです。
実際に建物が建っていれば、問題なく「宅地」に変更することができるでしょう。
地目変更ができるタイミングを迎えたら、次は必要な書類を用意することになります。
費用についても後ほどお話ししますが、次の項では地目変更登記に必要な書類をご紹介します。
地目変更登記に必要な書類
変更したい地目に現況の地目が一致したら、地目変更登記を行いましょう。
一度、登記申請をしたことがある方ならご存知かもしれませんが、登記する際は必要な書類を用意しなければなりません。
そのため、地目変更登記を行う場合でも、必要書類を用意します。
地目変更登記に必要な書類は、つぎの2つのみです。
・地目変更登記申請書
・登記事項証明書などの土地資料
状況によっては、下記の書類が必要になることもあります。
・農地転用関係書類(農地転用を行う場合、添付書類として提出します)
・代表者資格証明情報(法人の地目変更の場合に必要になることがあります)
これらが追加されることもありますので、確認しておくと良いでしょう。
必要書類にお話をしましたので、次は地目変更登記に必要な費用についてお話をしていきましょう。
地目変更登記をする際に費用はかかる?
地目変更登記に必要な書類についてお話をしたところで、続いては必要となる費用についてご説明していきましょう。
必要となる費用は自分で登記申請する場合と、専門家に依頼する場合で大きく違います。
まず自分で行う場合に必要な費用は、「実費程度」といわれています。
実費は基本的に、土地の登記事項証明書などの書類を取得するための費用を指します。
登記事項証明書などは1筆の土地あたり千円程度で取得できますので、トータルでも数千円であることがほとんどのようです。
登記と聞くと、登録免許税がかかるのではと思うかもしれませんが、地目変更登記の場合はかかりません。
というのも、土地の地目変更登記は、所有者の意思とは関係なしに必ず行わなくてはならない登記とされています。
このような申請義務のある登記には、登録免許税がかからないことがほとんどのようです。
そのため、地目変更登記を自分で行う場合は、実費程度で済むのです。
ではもし、専門家に依頼する場合はどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
次の項でご説明します。
専門家に依頼する場合はどのくらいの費用がかかる?
それではもし、地目変更登記を専門家に依頼する場合はどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
まず依頼する専門家は「土地家屋調査士」の資格を有する方です。
この資格は、土地などの表題に関する登記申請や、登記関連の測量業務などに精通している国家資格です。
地目変更登記の際、こちらの資格を持つ方にお願いすれば、問題なく登記申請ができることでしょう。
とはいえ、専門家に依頼するとなれば、それなりに費用はかかってきます。
依頼する土地家屋調査士によって違いはありますが、多くは5万円程度の費用とされています。
ただこの金額は、1筆の地目変更登記の場合の目安です。
複数の地目変更登記を行う場合は、調査する土地の数も増え、書類の記載内容も増えますから、費用が加算されることがほとんどです。
3筆、4筆の場合は7~8万円ほどになるともいわれていますので、節約できるなら多少の手間がかかっても良いという方でしたら、専門家に頼らず自分で登記申請を行ってみても良いかもしれません。
ただしここでお伝えした金額はあくまでも目安ですので、正確な金額を知りたいという方は、土地家屋調査士事務所に確認してみると良いでしょう。
もうひとつ必要な費用とは?登記申請に行く際の注意点
地目変更登記を行う際に必要な費用はもうひとつあり、それは「交通費」です。
地目変更だけでなく登記を申請する際は、ある場所まで行かなくてはなりません。
どこで登記申請の手続きをするかというと、その土地を管轄する法務局です。
この法務局までの交通費はもちろん自費ですから、車のガソリン代や電車賃などの交通費が必要となるでしょう。
ただし法務局に行く際に注意しなければいけないのが、管轄の法務局がどこかということです。
同じ都道府県内でも法務局はいくつか支局があり、各支局で管轄する地域が分かれています。
そのため、対象の土地がどこの法務局で管轄しているかを調べなくてはなりません。
法務局のHPを見ればわかると思いますので、事前に管轄の法務局を特定しておきましょう。
登記申請の手続き自体は難しいことはなく、用意した書類を法務局の申請窓口に提出すればOKです。
補正事項などがなくスムーズに手続きが行われれば、だいたい1週間程度で地目変更登記は完了となるでしょう。
必要書類などだけでなく管轄の法務局の特定も忘れずに!
所有する土地の用途が変われば、地目変更登記を行うことになります。
登記簿の情報は自動的に変更されませんので、自分で行うにしても専門家に依頼するにしても、自分で進めなくてはなりません。
この記事で地目変更登記の流れや必要な書類・費用についてお伝えしましたので、ぜひ参考にしてみてください。
もし行うことになった場合は、事前に管轄の法務局がどこなのかの特定も忘れずにしておきましょう。