マンションなどの集合住宅では、誰しもが当事者になり得る「騒音トラブル」をよく耳にします。
そのため、物件を探す際には「防音性」を重視する方も多いです。
音に悩まされることなく暮らしたいという理由から、最上階の角部屋を選ぶ方もいらっしゃいます。
実際のところ、マンションの最上階の角部屋では、騒音は気にならないものなのでしょうか。
マンションで騒音に悩まされたくない!
多くの方が生活をしているマンションでは、壁や床を伝わって日常の生活音が聞こえてくることは珍しくありません。
音を気にするあまり、時には、何気ない些細な音にまでも神経を尖らせてしまうことがあるかもしれません。
また、そのような何気ない音が騒音問題へと発展してしまうケースもあります。
「騒音」は、悩まされる側にも、悩ます側にもなる可能性があります。
「落ち着いた環境で暮らしたい」「周囲の居室の方に迷惑をかけたくない」「音に気を使わず生活をしたい」というのは多くの方が切望することです。
そのため、物件選びの際「防音性」を重視し、最上階の角部屋を希望する方もいらっしゃるでしょう。
実は、防音性が高いと言われる物件にはいくつか特徴があります。
次項では、その見分け方についてお話ししますので、物件選びの際の参考にしてください。
避けたい騒音トラブル!防音性のある物件の見分け方
この項では、防音性の高い物件の見分け方についてお話しします。
どのような点で判断したら良いのか見てみましょう。
◆構造
いくつかある構造の中でも「鉄筋コンクリート造(RC)」と「鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)」が、防音性が高くなります。
鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートが互いの弱点を補完しあって高い耐久性を実現しています。
鉄筋鉄骨コンクリート造は、大型マンションに多く採用される工法で、鉄筋コンクリート造の耐久性と鉄骨造のしなやかさを併せ持っています。
基本的な防音性能はどちらも変わりありません。
◆壁の仕様
鉄筋コンクリート造でも、5階以下の低層マンションに多い構造の「壁式構造」であると、より防音性が高いです。
柱と梁が少なく、空間がすっきりしていて間口が狭いのが特徴です。
また、マンションの場合、壁の厚さは150mm以上が基本ですが、防音性を意識した場合200mm前後あると安心です。
◆隣接する住居の間取り
隣接する住居とどのように接しているかも重要なポイントです。
例えば、隣接する住居との壁が互いに収納スペースになっている場合、収納する荷物で吸音効果が期待でき、防音性が高くなります。
逆に、居室同士が隣り合っている間取りでは、防音性は低くなります。
では、隣接する居室が少ない「最上階の角部屋」の騒音はどうなのでしょうか。
「角部屋」は騒音が少ない!?メリット・デメリット
賃貸物件でも分譲物件でも、最上階の角部屋は人気が高いです。
それもそのはず、最上階の角部屋は隣接する住居が下階と片隣だけであるため、騒音リスクが低いと考えられるからです。
ここでは、「角部屋」であることに注目して、騒音に関するメリットとデメリットをご紹介していきます。
《角部屋の騒音メリット》
●隣の住居からの生活音が少ない
先ほども述べましたが、隣接する住居が片隣だけなので、両隣が隣接する場合に比べて必然的に聞こえてくる生活音が少なくなります。
自分自身も片側の住居にだけ注意を払えば良いので、ストレス減にも繋がります。
●階段やエレベーターの騒音が少ない
角部屋は階段やエレベーターから離れた場所に位置する物件が多いです。
そのため、階段を上り下りする足音やエレベーターの稼働音といった騒音が軽減されます。
《角部屋の騒音デメリット》
▲窓からの騒音
角部屋は2面採光、または3面採光の物件があり、窓が多い特徴があります。
明るくて広々とした印象にはなりますが、窓が多い分遮音性が低くなります。
そのため、外の騒音がうるさく感じられるかもしれません。
マンションの前に大きな道路や学校、飲食店などがある場合には注意が必要です。
「最上階」は騒音が少ない!?メリット・デメリット
続いては、「最上階」であることに注目して、騒音に関するメリットとデメリットをご紹介します。
《最上階の騒音メリット》
●上の階からの騒音がない
最上階であることの最大のメリットとも言えます。
当然のことですが、上の階は存在しないので、頭上からの足音や掃除機などの物音などにストレスを感じることがなくなります。
《最上階の騒音デメリット》
▲下の階からの音は響く
下の階からの騒音は最上階であっても変わりません。
せっかく防音対策を施したマンションの最上階に住んでも、下の階からの泣き声や足音などは響きやすい傾向があります。
このように、最上階の角部屋であれば騒音が軽減されることがあっても、必ずしも騒音がないとは言い切れません。
マンションの立地条件や隣接する住居にどのような方が住むかも大きく関係してきます。
最上階の角部屋!騒音以外のメリットとデメリット
ここでは、最上階の角部屋のメリットとデメリットを騒音以外に関する部分で見てみましょう。
《最上階の角部屋メリット》
●眺めが良く開放感がある
階層が高いほど、視界を遮るものがなくなり、眺めが良くなります。
また、周辺に建物がなければカーテンを開けっぱなしで生活してもそれほど気にならず、開放感を得られるでしょう。
●資産価値が高い
最上階の角部屋は、新築・中古を問わず人気があります。
そのため、経年してから売却に出しても、想像以上に高値で売れることも期待できます。
●日当たり・風通しが良い
階層が高いほど周辺建物の影がかからないので、冬でもポカポカと日当たりが良く、洗濯物も乾きやすいです。
また、窓が多いので、お部屋の換気がしやすく風通しも心地良いでしょう。
《最上階の角部屋デメリット》
▲家賃が高い
最上階の角部屋は人気が高いので、ほかのお部屋に比べてどうしても家賃は高くなります。
▲夏暑く冬寒い
外気の影響を受けやすいため、夏は暑く冬は寒く、室内温度が安定しない傾向があります。
▲エレベーターが来るまで時間がかかる
階層が高いほど、エレベーターが最上階まで昇り降りする時間がかかります。
特に、朝の通勤通学の時間帯などは、エレベーターがなかなか来ないということもあります。
物件を決める際は、このような点にも注目してみてください。
最上階の角部屋でも騒音対策を!
最後に、マンションでできる騒音対策についてお話しします。
最上階の角部屋でも騒音対策をすることで、騒音リスクをさらに下げることができます。
◆足音の対策
クッション性の高いスリッパを使用すると、スリッパ特有の「ペタペタ」という足音を軽減させることができます。
また、防音マットやカーペットを敷くことも、階下へ音が響かない対策として有効です。
もし、上階の方の足音が気になる場合は、天井にグラスウールや発泡ウレタンでできた吸音材を貼り付けてみましょう。
◆生活音
テレビやステレオは壁から少し離して設置しましょう。
また、隣の居室からの音が気になる場合は、その壁側に家具を配置すると、家具が音を吸収してくれて騒音を軽減できます。
◆家電の音
冷蔵庫や洗濯機は振動音が響くため、市販の防振シートなどを使用することをおすすめします。
また、隣や階下から早朝や深夜に家電音が聞こえてくる場合には、不動産会社や大家さんへ相談してみましょう。
トラブルにならないような配慮のもと、注意をしてくれるでしょう。
最上階の角部屋でも騒音がないとは言い切れない
マンションでの騒音問題を避けたい一心から、最上階の角部屋を選ぶ方も多くいらっしゃいます。
しかし、実際のところ、騒音リスクは下がるものの騒音が絶対にないとは言えません。
構造、立地条件、間取りなどから騒音リスクの有無を把握し、最上階の角部屋のメリット・デメリットを踏まえた上で物件を選びましょう。
また、対策をすることで騒音を軽減させることができるので、積極的に取り入れ、ストレスのない心地良い暮らしを実現しましょう。