マンションの名義変更をする際には、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
売買、相続、贈与、離婚などさまざまな理由で名義変更が行われる不動産について、手続きの流れや必要な書類をご紹介します。
贈与税についての特例もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
マンションなど不動産の名義変更は時間と手間がかかる
マンションだけに限らず不動産の名義変更は、すぐに手続きが終わるものではなく、一般的には一ヶ月ほどかかるものです。
相続ともなると、必須書類を揃えるだけでも4週間程度かかる場合がありますし、そうでなくても1週間から2週間くらいかかることが多いでしょう。
自分自身で作成することが求められる書類もあります。
書類集めや作成、そして提出まで自分で行うこともできますが、かなりの時間と労力がかかるため、専門家に依頼することが多いでしょう。
司法書士に依頼すると、費用が5万円以上かかることがほとんどですが、ミスを防ぐことができますので安心して手続きを済ませられます。
司法書士事務所は、インターネットで調べればすぐに出てきますから、問い合わせて相談してみるといいでしょう。
次項からは、マンションの名義変更が必要になる理由別に、流れや必要な書類についてご紹介します。
マンションの売買で名義変更!手続きに必要な書類
まずは、マンション不動産売買によって名義変更の手続きが必要になるケースについて見ていきましょう。
簡単な流れとしては、下記の通りです。
・契約
・戸籍謄本や住民票を取得、買主の確定
・名義変更の申請に必要な書類を作る
・登紀簿謄本を取得、売主の確定
・売主が不動産を引き渡す
・買主が支払いを行う
・決済
・法務局に申請
<手続きに必要な書類>
●売主側
・印鑑証明書(取引日より3ヶ月以内に取得)
・固定資産税評価証明書
・住民票か戸籍の附表(登紀住所が変更されている場合)
・登紀済権利書か登紀識別情報通知
・本人確認書類(運転免許所など顔が分かるもの)
●買主側
・印鑑証明書(取引日より3ヶ月以内に取得・現金購入の場合は不要)
・住民票
・本人確認書類(運転免許所など顔が分かるもの)
不動産売買による名義変更は、決済と同じ日に法務局で手続きを行い、売主・買主ともに書類の所得費用が数千円かかります。
また、買主は登録免許税、不動産所得税なども負担する必要があります。
マンションを遺産相続で名義変更!相続人すべての書類を収集
次に、遺産相続によるマンションの名義変更の手続きについてご説明します。
・不動産のことを調べる
・登紀簿謄本を取得、所有者の確定
・戸籍や住民票を取得、相続人の確定
・固定資産税の評価証明書を取得し、相続登紀申請書類を作る
・法務局へ申請
・登紀が完了したことを確認
<手続きに必要な書類>
●相続人
・遺産分割協議書
・法定相続人すべての戸籍謄本
・相続人すべての印鑑証明書
・住民票(マンションを取得する相続人)
・固定資産税の評価証明書
・登紀事項証明書
相続登紀は、早めに手続きを行うことがすすめられていますが、期限についてはっきりとした決まりはありません。
とはいえ登紀が済んでいないと売却は不可能なので、売りたいと考えている場合にはできるだけ早急に済ませておくことが求められます。
必要なお金は、書類の取得費用や登録免許税です。
相続人が多ければ取得費も増えますし、マンションの評価額によって税金の額も変わってきます。
贈与による名義変更の手続き!贈与税を確認
続きまして、贈与によるマンションの名義変更についてご紹介します。
・登紀簿謄本を取得で所有者を確定
・戸籍や住民票の取得で受贈者(ゆずり受ける人)を確定
・「生前贈与」などによる名義変更申請書類を作り、法務局へ申請
<手続きに必要な書類>
●受贈者
・住民票
●贈与者
・印鑑証明書(取引日より3ヶ月以内に取得)
・固定資産税評価証明書
・登紀済権利書か登紀識別情報通知
・住民票か戸籍の附表(登紀住所が変更されている場合)
※贈与者と受贈者で「不動産贈与契約書」を作成する
生前贈与についても名義変更をする期限は定められていませんが、当然のことながら、手続きしなければ受け取っていないとみなされます。
当事者同士で合意があったとしても、それを証明することはできません。
どちらかに不測の事態があった場合は、相続人が必要になり、手続きが大変になるおそれがあります。
贈与契約があれば、名義変更は早めに済ませておいた方が得策です。
費用は、やはり書類の取得費と税金がかかります。
税金は、贈与税として受贈者に支払う義務があります。
(年間110万円をこえる贈与)
その他に受贈者は取得税、登録免許税なども納付します。
離婚時にマンションの名義変更手続き!協議離婚と裁判離婚では異なる
離婚によるマンションの名義変更の手続きについてもご説明します。
・夫婦で財産分与について話し合い、合意に至る
・登紀簿謄本の取得で「もとの名義人」の確定
・戸籍や住民票の取得で「新名義人」の確定
・名義変更の申請書類を作り、法務局へ申請
<手続きに必要な書類>
話し合って離婚が成立した場合と、裁判所で争って離婚が成立した場合では、必要な書類が変わってきますのでご確認ください。
■協議離婚の場合の書類
●贈与者
・印鑑証明書(取引日より3ヶ月以内に取得)
・固定資産税評価証明書
・登紀済権利書か登紀識別情報通知
・住民票か戸籍の附表(登紀住所が変更されている場合)
・離婚日の記載が確認できる戸籍謄本
●受贈者
・住民票
■裁判離婚の場合の書類
●受取人
・住民票
・固定資産税評価額証明書
・和解調書や調停調書など
※贈与する側には、必要な書類はありません。
マンションの名義変更は贈与税に注意!配偶者控除や相続時精算課税が助けに
最後に、マンションの名義変更の手続きについて、参考になる情報をいくつかお伝えします。
〇贈与税の特例として配偶者控除がある
結婚後20年を超えている夫婦の間で、これからも住み続ける場合に限り、2000万円までの金額が控除されます。
もしマンションの評価額が2000万円以上でも、「半分の割合だけ贈与」ということであれば贈与税はかかりません。
土地のみ、家屋のみなどのように贈与を行うことで贈与税が免除される特例がありますが、贈与後の翌年に申告する必要があります。
なお、別荘や収益物件(賃貸など)の場合はこちらは当てはまりません。
〇相続時精算課税がある
親が60歳以上で、子供が20歳以上の場合、この特例を利用することにより2500万円までは贈与税がかかりません。
祖父母から孫への贈与についても認められています。
2500万円を上回れば、こえた分の金額に対して20%の贈与税がかかってきます。
贈与後、翌年には申告が必要ですし、贈与者が亡くなった後の手続きで清算を行う必要がありますので、しっかりと確認することが重要です。
この2つの特例の他にも、定額贈与や計画贈与、連年贈与など、贈与を分割して行うことにより莫大な金額の贈与税を免れられる方法があります。
ただし、分割する前の評価額で計算されてしまう場合もありますので、専門家にご相談ください。
名義変更に必要な書類を確認
名義変更の理由によって、必要になる書類は異なります。
もとの所有者は、印鑑証明書や固定資産税評価証明書、住民票、登紀済権利書など多くの書類を取得し、新所有者は住民票などを用意します。
書類取得費用や税金がかかる他、専門家に依頼すればその分のお金も発生します。
必要な書類は、法務局(新不動産登記法の施行に伴う登記申請書等の様式について)で説明されていますので、手続きの前にしっかりと確認しておくことをおすすめします。