無事アパートの賃貸契約が締結され、借りることが決まれば、その後賃貸借契約書を渡されるかと思います。
入居中も大切に保管しておく書類ですが、あまり活躍がないことからどこに保管したかを忘れ、なくしてしまったというケースに遭遇することもあるかもしれません。
それではもし、アパートの契約書をなくしたら、契約は無効になってしまうのでしょうか。
この記事でご説明していきます。
アパートの契約書とは
はじめに、アパートの契約書についてお話をしていきましょう。
アパートの契約書はパートを借りるための契約書のことで、正式には「賃貸借契約書」と呼ばれています。
アパートの賃貸契約を締結し、無事に借りることになれば、入居期間中はこの契約書の保管をしておくことになるでしょう。
契約書を保管しておくことで、さまざまなことに役立ちます。
というのも、アパートには自分以外にも多くの人が入居していますよね。
他人同士が同じ屋根の下で生活をするわけですから、何気なく行なっていたことがトラブルに発展することも十分にあり得るのです。
そんなトラブルなどが発生したときに、この契約書が役に立つというわけです。
契約書の中には、「使用上の禁止事項」なども記載がされています。
アパートの禁止事項に該当する行為を行った場合、それはすみやかに止めなければなりません。
場合によっては「強制退去」ということもあり得るので、入居前には必ず確認しておきたいものです。
さらに貸主との間に、契約更新などについてトラブルになることもあるでしょう。
そういった際にも、賃貸借契約書の中に記載されている「契約更新の条件」を確認すれば、トラブル解消に導いてくれるかもしれません。
おそらく賃貸契約時にこのような話を聞くとは思いますが、うっかり忘れてしまうこともあると思いますので、何かトラブル、もしくはアパートにおける疑問点などがあった際には契約書を確認すると良いでしょう。
なかには、「契約書をなくしたら賃貸契約は無効になる」と不安に思う方もいるようですのですが、実際はどうなのでしょうか。
これについては後ほどお話しします。
アパートの契約書はいつ、誰から渡される?
アパートの入居中は賃貸借契約書を保管することになりますが、ではこの契約書はいつ、誰から渡されるのでしょうか。
一般的には、不動産会社から賃貸契約締結後に渡されることが多いです。
宅建業法では「宅建業者が賃借の契約を締結をしたら、遅滞なく契約内容を記載した書面(契約書)を交付すること」と定められています。
契約書は、契約後から1~2週間経って渡されることもあれば、アパートの鍵の受け渡し時に契約書も一緒に渡されることもあるようです。
「いつまでに渡す」と明確に定められていないので難しいところではありますが、契約してから3週間以上経った場合は一度不動産会社に連絡してみると良いかもしれません。
また、契約書は届いたものの、「退去の前になくした!」ということがあるかもしれません。
その場合はどうなるのか、次の項でお話ししていきます。
契約書をなくしたらアパートの賃貸契約は無効になる?
トラブルなどが発生したときに役立つアパートの契約書ですが、もしなくしてしまった場合、アパートの契約は無効になってしまうのでしょうか。
役立つとはいえ、滅多に使用する機会もないでしょうから、どこに保管したかを忘れ、「なくした!」ということもあるかと思います。
「契約書を紛失=契約の証拠がなくなる」ということでもありますから、そういう意味では「賃貸契約をしていないと見なされてしまう」と考える方もいるかもしれません。
そんなとき、アパートから追い出されてしまうと不安に感じるかもしれませんが、契約書をなくした程度では退去を迫られることはないでしょう。
契約書はあくまで「賃貸契約の証明書」のようなものですから、契約そのものということではないのです。
ですから、思いがけず契約書をなくしてしまっても、賃貸契約が無効になってしまうことはないので安心してください。
アパートの契約書を保管しておくべき理由
例えなくしたとしても、賃貸契約自体が無効にならないのであれば、「保管しておかなくても…」と思う方もいるかもしれません。
しかし、契約書は保管しておくべきといえます。
最初にお伝えしたとおり、ほかのアパートの入居者や大家さんとトラブルになってしまった場合に役立つというのも理由のひとつです。
自分の立場を守るためにも、契約書を保管しておくことは大切です。
ほかにも契約書の中には、「賃料改定」や「退去時の原状回復のルール」などが記載されています。
これらもアパートのトラブルでは起こりやすいものですが、実際に遭遇しないとあまり考えることはないですよね。
そのようなときにすぐに確認するためにも、やはり手元に契約書があると良いといえるので、しっかり保管しておきましょう。
契約書をなくしたら再発行はしてもらえる?
実際に賃貸借契約書をなくしてしまう借主の方も多いので、ここで契約書をなくした場合、契約書を再発行してもらえるのかについてお話をしていきます。
結論から申しあげれば、原則として、賃貸借契約書の再発行はできません。
その理由は、もし契約書を再発行すれば、契約書の発行日が紛失した元の契約書と違ってしまい、契約の内容を正確に証明する証拠とならないからといえます。
そのため、多くの不動産では、契約書の再発行に応じないことのほうが多いようです。
それでは、契約書をなくした場合はもうどうすることもできないのでしょうか。
契約書の内容だけを確認したい場合は、アパートの大家さんにお願いすることをおすすめします。
というのも、契約書は借主にだけ渡すのではなく、貸主である大家さんにも不動産会社は渡しているのです。
ですから、何かトラブルや疑問点を確認するために契約書が必要なときは、大家さんが保管している契約書をコピーさせてもらうと良いでしょう。
大家さんも契約書をなくした場合はどうする?
借主だけでなく、貸主である大家さんも契約書をなくしている場合もあるでしょう。
もし双方が契約書をなくした場合は、どうすれば良いのでしょうか。
その場合は、仲介の不動産会社にお願いすると良いでしょう。
不動産会社にとっても賃貸借契約書は重要書類のひとつで、アパートの賃貸契約時から5年間保管義務があります。
この期間内であれば、契約書がなくて困っている事情を話せば、不動産会社も契約書のコピーに応じてくれるでしょう。
そのため、大家さんもなくしてしまっていた場合は、不動産会社にも相談してみることをおすすめします。
ただし、不動産会社に契約書のコピーをお願いした場合、手数料が発生することもありますのでご注意ください。
とはいえ、一番は自分がなくさずに契約書を保管することですから、契約書をどこに保管するかはきちんと決めておきましょう。
もし契約書をなくしたら!アパートの大家さんや不動産会社に相談しよう
アパートの契約書をなくしてしまうこともあるでしょうが、なくしてしまったからといって契約が無効になることはありません。
しかし、原状回復や万が一のトラブルのときには手元にあると安心ですので、大家さんや不動産会社に頼めばコピーをしてもらえることもあります。
ですからもし契約書をなくしてしまっても慌てず、まずは大家さんなどに相談することからはじめてみてください。