何十年と住み続けた家が住みづらくなってきたと思った場合、建て替えやリフォームを検討しはじめることでしょう。
住宅の建て替えやリフォームは、費用面において違いが出てきます。
この記事では、建て替えやリフォームにかかる費用を中心にお伝えしていきます。
住宅の建て替えやリフォームを考え始めるきっかけとは?
住宅の建て替えやリフォームをするきっかけは、大きく分けると3つです。
①住宅の寿命
何十年と住み続けている場合、設備が古くなり住宅の寿命を感じるようになります。
キッチン・トイレ・バスルームなどは設備が古くなるとともに不具合が出たり使いづらくなってくることでしょう。
また、そういった設備関係はもちろん、外壁や屋根といった部分の定期的なメンテナンスを怠ってきてしまうといざメンテナンスしようと思ったとき、かなりの費用がかかることになります。
②間取りの使いづらさ
家族構成の変化によっても間取りが使いづらいと思いはじめます。
子どもが巣立つことにより、空き部屋が増えたり、孫が遊びに来るようになったりすると、現状の間取りでは使いづらいと感じるようになることもあるようです。
③耐震対策
日本では阪神淡路大震災や東日本大震災などをはじめとした大震災が起き、地震への備えという関心が高まりつつあります。
1981年に建築基準法改正により新耐震設計基準導入され、旧耐震の住宅は、耐震診断を受けるよう勧められています。
もし耐震診断の結果によっては、耐震リフォームか建て替えといった選択肢で迷うことになるでしょう。
上記のようなきっかけで、住宅の建て替えかリフォームかで迷うことになります。
では、次項から建て替えとリフォームについてくわしくお伝えしていきます。
住宅の建て替えにかかる費用とは?
まず、住宅の建て替えにかかる費用からご説明します。
●建築費用
建て替えの建築にかかる費用です。
●解体工事費用
建て替えるために建物の取り壊しと、土地の整備をするためにかかる費用です。
●引っ越し費用(2回分)
古い住宅を取り壊す際に引っ越しをし、建て替えが終わったあとに引っ越しする費用の2回分必要になります。
●仮住まいの家賃(約4~8か月分)
取り壊しから完成までの建て替えの期間、仮住まいを用意しなければなりません。
多くの場合、賃貸物件に仮住まいすることになるでしょうから、家賃がかかることになります。
また、仮住まいに入居の際には「敷金・礼金」などがかかることも忘れないようにしましょう。
●登記費用
建て替えの際にはこれらの登記が必要となりますから、それぞれに登記費用がかかります。
・建物滅失登記
・建物表題登記
・所有権保存登記
・抵当権設定登記(住宅ローンを利用する場合)
費用が安く済む?住宅のリフォームとは?
ここではリフォームについてくわしくご説明します。
リフォームには、
・部分リフォーム
・全面リフォーム
があります。
部分リフォームとは、キッチン・バスルーム・トイレや、屋根・外壁など、住宅において部分的なリフォームのことをいいます。
一方、全面リフォームとは、柱は梁などの構造体を残して解体し、新しく間取りや内装、設備を取り入れることをいいます。
このどちらかにするかで、かかる費用が大きく異なってきます。
まず、部分リフォームは、住み続けながらリフォームをすることが可能の場合が多く、その場合は部分的なリフォーム代や解体処分費しかかかりません。
つぎに、全面リフォームは構造体を残して解体する大規模なリフォームとなるので、建て替えほどではありませんが、それなりの費用がかかります。
そして、リフォーム内容によっては仮住まいに住まなければならないこともあります。
その場合は、前項でご紹介した建て替えと同じような仮住まい費用がかかることになります。
一方、全面リフォームでも部分リフォームのように住み続けながらリフォームできる場合もあり、それなら仮住まい費用がかからないので費用を安く済ませることができます。
建て替えと全面リフォームのメリットとは?
ここでは、建て替えと全面リフォームのメリットについてみていきましょう。
●建て替えのメリット
・敷地内の土地の形状をいかして新たに住宅を建てることができる
・行政から検査済証が交付されるので、安全性が保証される
・希望の間取りを実現しやすい
・地震対策において地盤改良も比較的簡単にできる
●全面リフォームのメリット
・柱は梁などの構造体を残すので、思い入れのある住宅の余韻を感じられる
・構造体を残すので、解体費、処分費などの費用が安く済む
・税金の軽減が可能(不動産取得税、固定資産税、都市計画税、登録免許税など)
・構造体が残っているので工事期間が短い
・仮住まいを必要としないリフォームの場合、仮住まい費用がかからない
自由に設計したいというのであれば、建て替えのほうがおすすめです。
一方、思い入れのある住宅をすべて取り壊すのに抵抗があるなら全面リフォームがいいかもしれません。
建て替えと全面リフォームのデメリットは?
前項では、建て替えと全面リフォームのメリットをお伝えしましたが、ここではデメリットについてみていきます。
●建て替えのデメリット
・新たに建てるため、建築にかかる費用が高い
・すべて取り壊すため、解体・処分費がかかる(特にRC構造の解体費は高額になる)
・仮住まいの費用がかかる
・工事期間が長い
・税金がかかる(不動産取得税、固定資産税、都市計画税、登録免許税など)
・「再建築不可物件」は法律によって建て替えができない(リフォームの選択となる)
●全面リフォームのデメリット
・構造体を残しているので、大規模な構造変更は難しい
・間取りの自由度がかぎられている
・老朽化、劣化具合などによっては作り替えたり改修が必要になるため、追加の費用がかかる場合もある
・仮住まいを必要とするリフォームの場合、仮住まい費用がかかる
建て替えの場合は、住宅を全て解体してから新たに建てるので、費用が高くなることは必須でしょう。
そのことから建て替えより全面リフォームのほうが安く済むと思われますが、リフォーム内容によっては、建て替えのように仮住まい費用がかかったり改修費用が必要となったりする場合もあります。
住宅のリフォームは工事費用の補助をしてもらえる?
住宅の長期寿命化につながるリフォームに対しては、補助金や助成金といった制度があります。
「長期優良リフォーム」と呼ばれる補助金を国が実施しています。
・耐震性向上
・劣化対策
・断熱性向上
などのリフォーム工事を実施することで、「長期優良住宅」に認定してリフォームにかかる費用を補助してくれます。
また、国だけでなく、地方自治体にも補助金制度があります。
・耐震補強
・バリアフリー化
・省エネ化
などのリフォーム工事を実施することで、リフォーム費用を補助してくれます。
これらを上手に使ってリフォームにかかる費用を安くすることもできます。
また、リフォームだけでなく建て替えでも補助金や助成金制度を利用することができます。
これらの補助金や助成金といった支援制度の内容は、各地方自治体や年度によって違いがあるので、利用を検討する場合は、その都度最新の情報を確認するようにしましょう。
建て替えとリフォームはどちらにもメリット・デメリットがある
建て替えとリフォームで迷う場合、かかる費用が大きく変わってきます。
多くの場合、建て替えの方が高い費用がかかりますが、リフォームであっても、構造体の状態によっては改修費用が思いの他かかることもあります。
さらに仮住まい費用が必要か不必要かでかかる費用に違いが出てきます。
また、建て替えやリフォームで利用できる補助金や助成金も上手に活用してくださいね。