マンションの大規模修繕はどのくらいの年数で行われる?

購入したときは新築だった分譲マンションも、年数が1年増えるごとにさまざまな部分が劣化していきます。

劣化した部分をそのままにすれば、不動産としての価値は当然下がりますし、住民の生活にも悪い影響を引き起こす恐れも考えられます。

そうならないために、分譲マンションでは大規模修繕を計画的に実施しているのです。

今回は、マンションの大規模修繕に関するお話をしていきます。

築年数が増すごとにマンションは劣化していく

購入当初は新築のマンションでも、年数が経過していくうちに、さまざまな部分が劣化しはじめます。

劣化しているのに放置してしまうと、さまざまなリスクが引き起こされてしまうこともあります。

屋根を例に挙げてご説明すると、マンションの築年数が増えていくと、屋根の塗装や防水処理なども劣化していきます。

この劣化を放置してしまうと、雨漏りなどを引き起こすこともあるでしょう。

さらにマンションの外壁にいたっては、経年劣化によってひび割れやタイル破損などが起こることもあります。

そうなると、マンションの美観が低下したり、漏水を引き起こしたりすることも考えられます。

ほかの部分も劣化したまま放置しておくと、別のリスクを引き起こすことが考えられるでしょう。

こうしたリスクを回避するためにも、分譲マンションでは「大規模修繕」が計画的に実施されています。

では、この大規模修繕とはどのようなものなのでしょうか。

次の項でお話ししていきます。

ある年数になると行われるマンションの大規模修繕って何?

マンションの大規模修繕とは、マンションの年数が増えるごとに生じる劣化にあわせて実施される、計画的でまとまった修繕工事のことをいいます。

マンションには、定期的に修繕すべき箇所が数多くあります。

その中でも工事内容が大規模であったり、工事費が高額であったり、さらに工事期間が長かったりするものが、大規模修繕と呼ばれているのです。

分譲マンションでは管理組合が主体となって、長期修繕計画に基づいた計画的な修繕が行われています。

なぜこのような修繕を行うかというと、前述のとおりマンションやマンションの設備が経年劣化によって重大な不具合を起こさないためです。

さらに、マンションの資産価値を低下させないためでもあります。

ちなみにこの大規模修繕は、毎月支払う修繕積立金を充当して行われます。

ここで気になるのが、大規模修繕は具体的にどの部分に行われる修繕なのか、ということではないでしょうか。

これについては、次の項でご説明しましょう。

大規模修繕が行われるのはマンションのどの部分?

それでは、マンションの大規模修繕は具体的にどの部分に行われるのかを、ここでご紹介していきましょう。

【主要構造部】

・外壁
・屋根、ベランダ、バルコニー
・床
・鉄部等
・建具や金物
・共用部内装

【設備】

●機械系

・給水設備
・排水設備
・ガス
・消防設備
・エレベーター
・自動ドア
・機械式駐車場
・インターネットの設備

●電気系

・照明器具(共用灯や屋外灯)
・テレビのアンテナ、ブースターなどの共同視聴設備
・受電、変電設備
・避雷針

●土木系

・駐車場、駐輪場
・ごみ置き場
・ネットフェンスなどの外構
・マンションまでの通路
・汚水本管、雨水本管

以上のように、特にマンションの共用部分とされる箇所に、大規模修繕は行われます。

では、このマンションの大規模修繕は、どのくらいの年数が経つと行われるのでしょうか。

どのくらいの年数が経つと大規模修繕が行われるの?

ここまでお話ししてきたマンションの大規模修繕ですが、新築してからどのくらいの年数が経つと実施されるのでしょうか。

マンションの大規模修繕の時期は、築何年後に行なわなくてはならないと明確に決められてはいません。

マンションの劣化のスピードは、マンションの構造や立地などによって違ってくるともいわれています。

そのため、マンションの劣化具合によって、それぞれのマンションで築何年後に行うかを決められるかと思います。

とはいえ、大規模修繕を行う目安はあるようです。

国土交通省では、12年を目安に大規模修繕を行うことを推奨しています。

そのため、多くのマンションでは12年に一度、大規模修繕をしているようです。

ちなみに国土交通省が推奨している築12年後の大規模修繕は、下記のとおりです。

・屋根の防水工事

・外壁の改修工事

・鉄部塗装工事

・シーリングの打替え工事

このような大規模修繕が行われる際は、多くのマンションで住民向け説明会が開催されていますので、そこでどのような工事がどのくらいの期間行われるかを確認しましょう。

大規模修繕が行われるときはどこで生活するの?

ここまでマンションの大規模修繕はどのようなものなのか、どのくらいの年数が経つと行われるのかなどお伝えしました。

住民がマンションで快適な生活をし続けるためにも、大規模修繕は必要なものといえます。

この大規模修繕が、お住まいのマンションでも行われることになったとき、「自分たちはどこで生活することになるのか」と疑問に感じる方もいるかと思います。

大規模修繕はマンションの共用部分に行われることがほとんどですので、専有部分である住民それぞれの部屋の中まで工事が行われることはありません。

そのため、大規模修繕が行われている間も、これまでと同様に自分の部屋で生活できます。

とはいえ、工事によっては、専用使用権のあるベランダなどの使用を制限されることもあるようです。

これについては、次の項でお話しします。

大規模修繕で不便なことも!

築12年後などある年数になると、マンションでは大規模修繕が行われます。

前述のとおり、大規模修繕が行われるときも、これまで同様、自分たちの部屋で生活をすることになります。

もちろん工事業者も住民に配慮して工事を進めますが、それでも工事期間は少し不便な生活を余儀なくされることもあるでしょう。

影響を受ける箇所のひとつに、ベランダが挙げられます。

お伝えしましたように、ベランダも大規模修繕の項目のひとつです。

そのため、ベランダを修繕するときはベランダの使用ができなくなるでしょう。

ベランダに荷物を置いている場合は撤去しなくてはいけませんし、洗濯物をベランダに干している場合は、工事の期間は干せなくなるでしょう。

また、外壁の工事が行われるときも、塗料が飛び散ったり臭いがついたりしないよう、ベランダの使用が制限されることがあるようです。

ベランダだけでなく、駐車場の修繕をする場合も、一時的とはいえほかの場所に車を停めなくてはならないこともあるでしょう。

また、工事のために足場を設置する場合は防犯上、窓を閉めておく必要があります。

足場の外側にメッシュシートを設置する場合は、建物がメッシュシートで覆われてしまうため、日当たりが悪くなったり、風通しが悪くなったりする可能性があります。

このように、大規模修繕のときは使用の制限を受ける箇所がいくつかありますので、住民向け説明会などでくわしく話を聞き、確認しておきましょう。

大規模修繕で使用制限される箇所は説明会で確認!

マンションで快適に生活できるためや、マンションの資産価値を維持するためにも、ある年数が経つと大規模修繕が行われます。

主にマンションの共用部分に行われ、工事期間の間は使用の制限を受けることもあります。

その際は事前に開催される住民向け説明会で話があるかと思いますので、ここで確認しておくようにしてください。