マンションなどを購入して利益を上げる不動産投資は、「安い時に買って高い時に売る」のが基本です。
それには、不動産相場の推移を見ていくことが重要になります。
しかし、相場は思わぬ要因で上下することがあるので、注意が必要です。
これまでの相場の推移を見ながら、売買のタイミングについて見ていきましょう。
近年のマンション相場の推移状況
不動産投資を行う場合、マンション相場の推移は大事な指針になります。
まずは、2002年~2017年の15年間のマンション購入の平均推移を見てみましょう。
・東京23区 1.51倍
・首都圏 1.47倍
このようにマンションの購入相場は右肩上がりになっています。
これまで、マンションの購入の目安は年収の5倍と言われていましたが、今では現実的な数字ではないようですね。
また、相場が上がっているということは、需要があるということでしょう。
では、新築マンションの販売状況はどうなっているのでしょうか。
ある調査では、2018年の新築マンションの販売数が前年の同じ月と比べて12.8%の減少しているそうです。
契約率に至っては、68%と決して高い数字ではありません。
通常、契約率は60~85%の間を推移しながら、80%超に落ち着きます。
また、一戸当たりの販売相場は、約6,200万円と依然として高水準ですが、前年と比べると5.7%下がっています。
このことから、マンション市況は相場は上がっていても、それほど好調ではないようです。
マンション相場の推移をもう少し詳しく見てみよう
先程、15年間のマンション相場の推移をご紹介しましたが、もう少し詳しく見ていきましょう。
2002年~2006年まではマンション相場は徐々に上がっていましたが、2006年以降は「ファンドバブル」と呼ばれる、不動産ミニバブル期に入り、不動産は高騰します。
これは、国内不動産を活性化させるために、「不動産投資信託」などの商品が販売され、個人でも気軽に不動産投資ができるようになったからです。
しかし、2008年に「リーマンショック」が起こり、ファンドバブルは泡と消えました。
その後、マンション相場はやや低迷するものの、2012年ごろから徐々に右肩上がりになっていきます。
そして、2013年にはマンション相場が4,000万円台の半ばで推移し、その年の後半になると、5,000万円台になり、2017年には6,000万円台まで推移することになるのです。
ここまでは、マンションの需要があり、市況も好調だったと言えます。
それは景気が上向き、所得が増加し、株式市場も長い目で見ると上昇傾向で、景気改善が長期化することで将来に対する不安もなくなりつつあったということでしょう。
また、金利が低水準なことから、住宅ローンが組みやすく、利便性の高いタワーマンションなどの増加もあり、マンション需要が高まったことが要因として挙げられます。
相場は高水準で推移もマンション市況が不調な理由
先述までの流れに対し、ここにきてマンション市況が振るわなくなってきています。
これは、マンション相場が高水準で推移していることが原因と考えられます。
先程お話ししたように、現在の新築マンションの販売相場は6,000万円台です。
厚生労働省の国民生活基礎調査を見てみると、2017年の「住宅購入層の平均年収」は、1世帯約700万円です。
この住宅購入層の人たちが、新築マンションを購入しようとしたら、年収の約8.5倍となってしまいます。
前述したように、マンション購入の目安は年収の5倍ほどなので、かなり無理のある数字ですね。
年収700万円の5倍ですと3,500万円ですから、高くても4,000万円前後のマンションであれば無理なく返済ができる計算になります。
このように、マンションの相場が高くなりすぎてしまい、買いたくても買えない、契約したいけど契約できない、という現象が起こっているということです。
不動産投資を考えた時、この状況を頭によく入れておきましょう。
このまま推移?マンション相場の今後
現在、好景気と言われていますが、1世帯当たりの年収はそれほど増加していないようです。
年収が増加しないことには、マンションの相場と世帯年収の関係は改善できません。
しかし、契約率の上昇はあまり望めませんが、低金利は長期化しそうなので、マンションの需要は今後も続いていくと考えられます。
では、次にマンションの在庫率という側面から見てみましょう。
2001年以降のマンション在庫率は、10%~40%の間で推移し、平均は20%と言われていますが、現在の在庫率は29%と平均よりも多くなっています。
このことから、低金利が続き、マンション需要がある間は相場は高いままで推移すると考えられますが、少しでも需要が落ちてくれば、販売価格が調整される可能性もあるでしょう。
また、新築マンションの相場が高水準で推移していることで、中古マンションの相場も上がってきています。
2016年には、首都圏の中古マンションの成約件数が、新築マンションの件数を超えました。
中古マンションの相場は、2013年から現在まで変わらず上昇していて、2018年の成約平均価格は3,300万円で、前年比+6%以上です。
相場だけで見ると、中古マンションは新築マンションの半分ほどですが、築年数は平均21年ですので、リフォームなどのことを考えるとどちらが良いかは一概には言えません。
マンション相場の推移を見てタイミングを見極める
これまで、マンション相場の現状と推移を見てきました。
では、不動産投資をする場合、この相場推移をどのように見極めていったら良いのでしょうか。
それには、不動産相場の周期を知る必要があります。
不動産相場は、ここ50年の推移を見ると「15年周期で高値を迎える」などと言われていて、右肩上がりで続いていくのではなく、これまで高値の後は下落してきました。
1980年代は不動産バブルに沸き、アメリカのビルを次々と買収していましたが、政府の金融引き締めにより、バブルがはじけました。
2000年以降は「不動産投資信託」が、2005年以降は「外資系不動産ファンド」が現れ、2014年以降には「異次元の金融緩和」が行われることで、不動産の相場が大きく動いてきました。
現在は、大きな変化はありませんが、右肩上がりに推移しています。
マンションなどの不動産の相場は、不動産を買う時に「相場よりも少し高い価格」で取引する人が増えると、相場が高く推移していき、反対に「相場よりも少し安い価格」で取引する人が増えると、相場は低く推移していくことになります。
イベントが行われたり、人気のエリアであれば、皆が欲しがり、相場は高値で推移していくでしょう。
しかし、その波に乗ってしまっては高い買い物になってしまいます。
そのエリアでの相場に照らし合わせて、妥当な購入価格なのか冷静に判断しましょう。
また、時代の流れによって一時的に人気があるエリアなのか、ブームが去ったあとに売却できる物件なのか見極める必要があります。
不動産投資は売却が決め手!
マンションなどの不動産投資で利益を得るためには、家賃収入だけを考えていてはいけません。
売却までを見越して購入しましょう。
マンションは経年劣化します。
劣化による家賃の下落率は、年間約1%と言われているので、時が経てば家賃も下げざるを得ません。
家賃が下がるということは、売却価格の値下がりにも繋がります。
そこで、購入した時に、いつ売却すれば収支が合うのか計算しておくことをおすすめします。
前述したように、不動産投資は「安い時に買って高い時に売る」のが基本です。
そして、金融機関が積極的に融資してくれるかどうかも、購入の見極めポイントになります。
これまで見てきたように、相場はさまざまな要因で推移していきます。
大きな流れを見るには、相場の推移はとても参考になりますが、相場に大きく左右されない不動産選びをすることも大切です。
マンション相場の推移を見てわかること
マンションなどの不動産相場の推移を見てみると、大きな流れがわかってきます。
そして、これまで推移を見ると、不動産相場は高騰し過ぎると下落する傾向があります。
このことを考慮し、購入時はエリアの相場に合ったものを選び、売却までを考えながら、相場に大きく左右されないものを選ぶことをおすすめします。