自分の収入源を増やすためには、定期預金などに頼るだけではなく、投資をすることが有効です。
特に、不動産投資はストック性があり、長期的に収益を上げられる投資として注目を集めています。
そこで、一戸建て住宅を投資のために購入する場合、どれくらいの頭金が必要なのか、その平均金額などについて説明していきましょう。
一戸建てを買うのに必要な頭金の平均はいくら?
不動産投資のなかでも、区分マンションなどの部分的な物件所有とは違い、一戸建ての購入はそれなりに高額になることが少なくありません。
そのため、リスクも相応についてきます。
頭金を払っておくことは、返済の負担を下げることでリスク軽減に効果的です。
また、頭金を用意しておくことで金融機関の評価も高まり、支援を受けやすくなるでしょう。
一戸建てを購入するうえで強みになる頭金ですが、その平均はおよそ土地・物件を合わせた価格の2~3割程度と言われています。
たとえば、2,000万円で購入するのであれば、頭金は400~600万円ということになります。
頭金は、購入する土地・物件の価格によって変動するものであり、金額はさまざまです。
では実際に一戸建てを購入した人が、頭金をどれくらい用意したのかというと、最も多いのが1,500万円以上、次いで多いのが100~500万円というデータがあります。
このことから、一戸建ての価値が二極化していることがうかがえます。
一戸建てにおける投資用と住居用の違いとは
一戸建ての物件を購入する場合、投資用なのか住居用なのかでは扱いが違います。
投資用の一戸建ての場合は、物件を購入した本人が住むためではなく、賃貸にするか転売するかという用途になるでしょう。
一方、住居用は、購入者本人が住むためのものです。
これを再確認しておくことには理由があります。
それは、住宅ローンの問題です。
ローンにはいくつか種類がありますが、主に事業用と住宅用に分けることができます。
事業用のローンは割高な傾向にありますが、住宅用のローンは割安な金利や貸付期間の長いフラット35などがあり、借り入れしやすいのです。
おそらく、投資用の一戸建て購入であればやや不利な事業用ローンを組むことになるかもしれません。
しかし、フラット35はある条件を満たせば投資用住宅でも利用可能になります。
それは、購入者の転勤や転職などの事情により、状況が変わる場合です。
通常、住宅ローンの残高がある状態で他人に物件を貸すことは認められていません。
投資用で一戸建てを購入するのであれば、あらかじめフラット35で頭金を出しておきましょう。
そして、少しの期間住んだら転居し、一戸建ての残高は家賃収入でまかなうというのもひとつのやり方です。
平均的な収入でも、このような手法であれば破綻のリスクを抑えながらストック性の高い不動産を所有することができます。
一戸建てを買う人の平均年収は?
一戸建て購入の頭金は、1,500万円以上と100~500万円ですが、この結果からどの程度の年収の人が一戸建てを購入しているのかがわかります。
一般的に、物件価格の目安は頭金の5倍とされていますが、頭金を2割として計算すると、1,500万円以上の一戸建ては7500万円以上、100~500万円の場合は500~2,500万円になるのです。
ここでは、投資用に扱える物件について説明するため、コストが大きすぎる7,500万円以上のケースは省きましょう。
500~2,500万円の物件であれば、年収100~500万円で購入することができます。
年収負担率の20~25%が生活に支障のないローンの割合とされており、年収500万円の場合、100万円程度となります。
月額にすると8万円弱です。
35年ローンで計算すると、約3,500万円となり、十分返済が見込めるのです。
このことからも、一戸建てを購入する人の年収金額は、100~500万円が平均値といえるでしょう。
頭金だけじゃない!生活コストを考えた資金計画を
生活に必要な貯蓄として、給与の3ヵ月分は必要とされています。
一戸建てを購入するために、自己資金として頭金を投入することは有用な手段ですが、それで生活に必要な財源がなくなっては元も子もありません。
そのような事態を防ぐためには、住宅資金の他にもかかる費用を明確に把握しておくことです。
具体的には、教育費や老後の生活費などです。
住宅資金と合わせて「人生の3大費用」としてメジャーなものであるこれらの費用をバランスよく加味して、資金計画を立てる必要があります。
これらの他にも、一戸建てを購入する場合であれば、土地・物件の純粋な価格だけではなく、固定資産税・都市計画税や定期的な住宅の修繕費なども考慮しておくべきでしょう。
一戸建てを投資として扱うのであれば、ネガティブな要素も踏まえて計画を立てなければなりません。
賃貸用であれば、空き家リスクです。
空き家になると、家賃収入が滞ることになり、その期間はローンなどの費用は自分で負担することになります。
また、売却においては、土地・物件の価格下落リスクもあるでしょう。
平均的な相場の土地であれば激しい価格変動は少ないでしょうが、もしものケースを想定して計画を立てることで、堅実な資金繰りができるのです。
一戸建てを買う頭金はどうやって確保する?
一戸建て購入の頭金を確保するといっても、100~500万円もの資金は一朝一夕で貯まるものではありません。
平均的かそれ以下の収入であれば、このような金額はなかなか貯まらないでしょう。
それでも、住宅のためとコツコツ貯める人もいるのです。
そのような人は、さまざまな方法で頭金を貯めています。
たとえば、給与から天引きされる財形貯蓄です。
これは、本人ではなく給与の支払い主が貯金を代行してくれる仕組みです。
最低でも3年間は継続して積み立てることが必要で、開始から1年間は引き出すことができないという拘束力の強い貯金戦略になります。
この仕組みを利用すれば、手元に不必要な資金が入らないため、生活費などをスリム化することができるでしょう。
「気づいたら貯まっていた」くらいの感覚で資金を貯めるには、財形貯蓄は有効な手段だといえます。
また、収入を増やすことが目的であれば、投資信託などもひとつです。
NISAなどであれば、口座振替で自動的に貯まるように設定しておけば貯めやすいでしょう。
5年間は運用益が非課税というのも、NISAならではの利点です。
不動産投資に取り組む準備段階として、投資という行為自体に慣れておく意味でも有効な手段といえます。
サラリーマンの平均年収で一戸建て経営は可能か
平成29年度の厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の男性平均年収はおよそ330万円という結果になっています。
これは年齢、職業関係なく計算されたものです。
年齢別や職業別となるとさらにばらつきが生じますが、おおかたの平均値は約330万円になります。
一戸建ての住宅を購入する場合を年収負担率から計算すると、支出可能額は月額およそ5万円弱です。
これを35年ローンで返済するとなると、約2,100万円になります。
年収の5倍である1,500万円と年収負担率から計算した2,100万円程度の土地・物件であれば、生活に大きな支障なく物件を購入することができるといえるでしょう。
ここに頭金を加えると、もう少し融資を受けられる金額が増えることが見込めます。
つまり、サラリーマンなどの平均年収でも、一戸建ての大家になることは可能だといえるでしょう。
注意しておきたいことは、土地価格とは違って物件価格は上がらないということです。
土地と物件の状況、市場価格の動向などさまざまな要因を踏まえた上で、堅実な投資をしましょう。
自分の収入や貯蓄に見合った一戸建てを選ぼう
不動産投資としての一戸建て購入は、平均収入並みの所得でも不可能ではないのです。
敷居が高く思えても、実は年収100~500万円程度の収入でも一戸建てを購入している人は多いのです。
頭金や返済額の平均値も重要ですが、もっとも重要なのは、自分の生活にあった資金計画を立てること。
現状を冷静に見つめ直して、賢い不動産選びをしましょう。