賃貸での畳の張り替え費用の負担は?民法改正による原状回復

賃貸を退去する際、畳の張り替え代として高額な費用を請求され、原状回復をめぐってトラブルになることも少なくありません。

しかし、2017年に成立した民法改正により、畳の張り替えを含めた賃貸の原状回復について明文化されることになりました。

この記事では、民法改正によって明確になった原状回復を踏まえ、畳の張り替えの負担や手入れ方法について詳しくご説明していきます。

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畳の張り替え費用が発端に!賃貸の原状回復をめぐるトラブル

近年、フローリングの賃貸が増えている一方で、昔ながらの畳を採用している賃貸も多く見られます。

また、一室として畳の部屋が設けられている賃貸も少なくありません。

しかし、畳の耐用年数は6年と長くはなく、次の入居者が入る前に張り替えを必要とすることがほとんどですが、ここでトラブルとなるのが畳の張り替え費用です。

畳の張り替え費用をめぐるトラブルは、貸主からの納得のいかない高額な請求を発端として起こります。

国民生活センターによれば、このような賃貸の原状回復をめぐる相談は、年間1万件を超えて寄せられています。

なぜ原状回復をめぐったトラブルが多いのかというと、賃貸の原状回復においては民法上の規定や定義は特にないため、貸主によって対応が千差万別になるところがありました。

そのため、原状回復の費用については、負担範囲でない分まで借主に請求が行くことや、その反対に借主が負担すべき支払いを拒否されることで、裁判沙汰にまで及ぶケースもあります。

そこで、2017年に成立したのが「契約や金銭の支払いに関するルールを定めた民法の規定を見直す改正法案」です。

民法改正によって賃貸の原状回復が明確に!畳の張り替えは誰の負担?

トラブルが多いことを受け、2017年に成立した民法改正で、賃貸における原状回復や敷金のルールが明文化されることになります。

では、民法改正の具体的な内容を見ていきましょう。

まず、敷金は借主が契約する際に担保として貸主に預けるもので、契約終了後に滞納等がない場合は、原則的に返還するものとして明文化されています。

また、原状回復の負担については、借主の故意・過失といった通常の使用では生じえない損傷、損耗のみを借主の負担とすることが規定されています。

つまり、普通に住む上では避けられない自然消耗や経年劣化に対しては、原則的に貸主の負担義務になるというわけです。

例えば、畳をきれいに使っていても、経年とともに色あせてきたり、日光によって変色することがありますが、これが経年劣化として当てはまります。

したがって、借主の故意・過失による損耗を除いては、畳の張り替えは原則的に貸主の義務ということになります。

経年劣化の畳の張り替えは借主負担!ただし注意点も

前項では、自然消耗や経年劣化は貸主負担であることを述べてきました。

ただし、ここで注意したいことは、民法の中には「任意規定」と「強行規定」があるということです。

「任意規定」とは、法律の規定に関して、契約当事者で取り決めた別の特約がある場合、その特約のほうが優先される規定を指します。

それに対し「強行規定」とは、法律の規定に関して、契約当事者で取り決めた別の特約がある場合でも、その特約よりも優先される規定を指します。

民法改正においては、前者の任意規定となっているため、原状回復の負担範囲が特約として明記されていれば、その特約が有効となります。

そのため、例えば「ハウスクリーニング代の一律~円は借主負担とする」との特約があれば、それに合意した借主はそれに追従することになります。

ただし、以下のような特約は無効になる可能性が大きいです。

・借主の負担範囲が抽象的

・負担金額の予測性に欠ける

・負担費用が暴利的で常軌を逸している

例えば、「経年劣化・自然消耗の畳の張り替えは借主が負担する」という一方的な特約は認められません。

賃貸の契約をする際は、契約書内に記載された特約によく目を通し、あらかじめしっかりと把握しておくことが大切です。

賃貸における原状回復の範囲①貸主の負担

賃貸の原状回復の負担について、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をもとに、貸主・借主のそれぞれの範囲を具体的に見ていきましょう。

貸主の負担範囲は次の通りです。

【床】

・畳の張り替え

・家具の設置による床のへこみ、跡

・畳、フローリングの色落ち、変色

・フローリングのワックスがけ

【壁、天井】

・冷蔵庫等による色焼け

・画鋲やピンの穴

・エアコンのビス穴

・日光による変色

【その他】

・網戸の張り替え

・自然災害による破損

・経年劣化による付属設備の故障

普通に居住していることで発生した上記のような経年劣化、自然消耗は、貸主の負担範囲になります。

ただし、過失や故意によるものは、その限りではないため注意してください。

それについて、次項で詳しくご説明していきましょう。

賃貸における原状回復の範囲②借主の負担

次に、賃貸の原状回復について、借主が負担する範囲を見ていきましょう。

【床】

・カーペットや畳への飲みこぼしによるシミ、カビ

・手入れ不足によるサビ、カビ汚れ

・引っ越しや家具移動時に生じた傷

【壁、天井】

・ススや油汚れ

・手入れ不足によるシミ、腐食

・タバコのヤニ、変色、臭い

・エアコンの水漏れ放置による腐食

・落書き

【その他】

・ペットによる畳や床、壁等の傷、臭い

・手入れ不足による水回りの汚損

以上のような故意・過失によって生じた損耗、損傷は、全て借主の負担範囲になります。

特に、ペット可の物件の場合、ペットによる損傷や臭いの原状回復には大きな費用がかかることが多いので、注意が必要です。

例えば、犬や猫の排尿は畳の下まで染み込み、腐食させてしまうため、畳を張り替える必要がでてきます。

そのため、ペット可の物件の退去時にかかる原状回復については、平均的な費用をあらかじめ調べておくと良いでしょう。

畳の張り替えを回避するには?畳をこまめに掃除しよう

賃貸の原状回復における負担範囲についてお話してきましたが、退去の際はできれば敷金を多めに返還されたいものです。

自分のメンテナンス不足で畳の張り替えが必要になってしまえば、原状回復にかかる費用は増してしまいます。

では、畳をよりきれいに管理するには、日常的にどのような手入れが必要なのでしょうか。

畳を掃除する際のポイントについて、以下でご紹介していきましょう。

・乾拭きが基本

畳は「い草」という草の繊維でつくられているため、水気や湿気に非常に弱いです。

そのため、水を含んだ雑巾で拭き掃除をしてしまうと、カビが発生してしまう場合があります。

拭き掃除は「乾拭き」を基本とし、頑固な汚れがある場合に限り水拭きしてください。

ただし、水拭きする際は雑巾を固く絞るようにしましょう。

・掃除機は畳の目に沿ってかける

畳の目には埃や髪の毛が溜まりやすいため、その流れに沿って掃除機をかけてください。

乾拭きの後に掃除機をかけると、よりきれいになります。

以上のように、畳は「乾拭き」と「掃除機」で手入れをするようにしましょう。

特に、湿気の多い梅雨は、ダニやカビが繁殖しやすい季節なので、こまめに掃除するように心がけてください。

契約時の特約はよく確認しよう

賃貸の畳の張り替えは、経年劣化であっても借主の負担となることで、トラブルに発展することが多くありました。

しかし、民法改正によって、原状回復や敷金のルールは明文化され、原状回復の負担範囲ははっきりと分けられることになります。

ただし、この民法改正は任意規定であるため、トラブル回避のためにも、契約の際はしっかりと特約に目を通しておきましょう。