公道・私道とは?地図から読みとる方法とトラブル対策

車両が通れる道路はすべて公道と考えている方は意外に多く、気付かずに私道を通ってしまいトラブルになってしまうといったことも少なくありません。

個人のものだと、道路上に「私道に付き…」というような看板や案内があったりしますね。

このような道路は個人所有であるので通行や侵入が制限されます。

こういった情報は地図上から読み取ることは可能なのでしょうか。

地図の道路はみんな公道?

公道とはどのような道路なのでしょう。

地図に示された道路はすべて公道なのでしょうか。

広い意味では、「公共一般に広く提供されている道路」を指します。

狭い意味では、国や地方自治体が指定・建設・管理している道路のことを指します。

一方で「道路」というと公道を指す場合もあり、「公道」が差し示すものはあいまいです。

法律上もきちんと定義されているわけではありません。

そのため、「私道と公道の区別はつかないのでは?」と考える人もいるでしょう。

道路における、公・私の別は誰が管理しているかによります。

ある道路Aの所有者が私人(一般人)であっても、その道路を管理しているのが国や地方公共団体であるなら、道路Aは公道になります。

この例のように、道路の公・私は管理者が誰なのかで決定します。

そして、一般道のほか高速道路や林道、農道なども、管理者により公道に準ずるものであり公道と呼ぶことができます。

これらの道路は道路交通法の適用を受けるので、車両を運転するには運転免許が必要になり、また、規定に違反する場合は道路交通法違反となります。

地図に載らない道もある!私道と公道のちがいとは

私道とは、前述のとおり、個人や企業、団体が管理している道路を指します。

これは、公道と呼ぶ道路に対するもので、例を挙げると工場内の機材搬入を目的とした道路や個人が所有・管理している道路や通路などがあります。

それらの通路の中には、地図に存在しないものもあります。

また、自動車教習所内の練習用コースも私道に当てはまります。

私道の管理・維持はその管理者や所有者が担うことになりますので、舗装や手入れなどは基本的には自費で行います。

ただ、自治体によっては私道の舗装工事に関して補助や支援を行っているところもあります。

補助金の交付について条件がある場合もありますので、事前確認をすることをおすすめします。

私道には自宅などへの通路としての道も含まれますが、これから新たに家を建てる場合には、建築物と道との関係も理解しておく必要があります。

建築物を建てるときには、必ず建築基準法をもとに設計や建築を行います。

そのうち道路に関しては、接道義務というものが関わってきます。

これは建築物の立つ敷地が、建築基準法の定める道路と2m以上接していなければならないという規定です。

この接道義務を満たすために、家と道路への通路として、幅2m以上の私道が設けられることもあります。

そして、こういった通路としての私道でも一般の地図に載っていることがあります。

公道のように私道で道路交通法は適用される?

地図上には公道・私道にかかわらずあらゆる道が掲載されています。

そのほとんどの道において、道路交通法適用の対象となります。

道路交通法における道路とは以下の3つに分類されます。

①道路交通法第2条第1項に規定する道路

②道路運送法第2条第8項に規定する自動車道

③一般交通の用に供するその他の場所

始めの項目で触れた公道は①に該当します。

私道が有料道路として運用されている場合は②に該当し、こちらも道路交通法の適用対象となります。

大規模な集合住宅等の敷地内に設けられる私道は③に該当することがあり、この場合も道路交通法の適用となる。

上記の道路で車両を無免許で運転することはできませんし、事故を起こせば警察への連絡義務が生じます。

一方で特殊な例として教習所の練習コースやサーキット場などは一般の車両や運転者が自由に通行する目的には沿わず、道路交通法の適用範囲外とされています。

このように、道路について考えるとき、公道と私道の違いと、道路を利用するうえで関わる道路交通法における道路の概念は全く別のものであることを理解する必要があります。

家の前は私道?公道?地図をつかって確認できる?

一般人が道路の種類について考える機会というのは、そう多くはありません。

しかし、マイホームの購入や建築には大きく関わってくる事柄ですので、すこしでも知識として持っていた方が良いでしょう。

自宅に繋がる道は公道になるのか、それとも私道か、だれが管理しているのか把握しておくことは住むうえで重要なことです。

家を建てる土地や周りの住宅、道路によって様々なパターンがありますが、前項でお伝えした通り、家の前から道路へとつながる道はほとんどが私道です。

このことを確実に見分ける必要が生じた場合は、公図と呼ばれるものを見て調べることができます。

公図とは土地の境目や建物が立っている位置を確定するための地図で、法務局や役所で回覧することができます。

手数料がかかりますが、写しを取得することもできます。

また、インターネットで公図を提供しているサイトへアクセスし、利用者登録をすることで公図をダウンロードすることもできます。

登録完了まで約一週間ほどかかるようですが、役所等に赴くことなく公図を取得することができます。

手に入れた公図に書かれた道路や土地の情報から公道か私道かを判断します。

公図から得た情報をもとに地積測量図や登記簿事項証明書を入手し、権利関係を把握することで所有者や管理者の特定をすることができます。

分譲地の私道は住民トラブルに発展しやすい

地図を眺めていると、住宅地の中にも多くの道路があることに気付きます。

私道の中でも住宅が立ち並ぶ場所にある道路には、近隣の住民との間でトラブルが起こりやすくなります。

幅員6mの市が管理する公道に接した私道を例に考えてみましょう。

この私道を利用するのは私道に面したひとつづきの土地を分譲している、A、B、C、D、E、Fの土地に住む住人です。

このA~Fの所有者が、6分の1ずつ私道持分として私道の所有権を登記しています。

公道と私道に面した土地がAとF、その隣がB、E、公道からみて一番奥の土地がCとDとなります。

この所有者のうちBの土地の所有者が売却をしたいと考えたとします。

土地Bは公道に出るにも上下水道、ガス管の工事をするにも、自分以外の土地の所有者に同意を得る必要があります。

一見、土地Bの状況を理解し、どの所有者も同意してもらえると楽観的に考えがちですが、実際は同意を得ることが難しく、さらには住人同士のトラブルへと発展してしまうことも多くあります。

また、普段から私道を使う際の住民間のとらえ方の違いによってもトラブルは起きてしまいます。

だれしも不要な争いは避けたいものですし、毎日のように顔を見る相手と気まずい思いはしたくありません。

どうすればこのようなトラブルを少なくすることができるでしょうか。

私道に関わるトラブルを回避するために

分譲地へガス管や水道管を引き込むための工事車両が他の住民の通行を妨げてしまったり、自宅の敷地の境界を越えてバーベキューなどを行い、共有スペースであるはずの私道を自分の庭のように使うなど、私道にまつわるトラブルの原因は多岐にわたります。

また、私道でも公道のように地図やカーナビにも載っているような道路では、一般の道路と勘違いした人が車で入り込んでしまったり、路上駐車をしてしまうこともあります。

このようなトラブルを回避する方法はあるのでしょうか。

私道を共有する住人同士の問題であれば、解決策として話し合いを重ね、ルールを決めるなどの方法が考えられます。

また、工事車両を入れる場合にも住人に理解してもらえるよう説得するなどの働きかけが可能な場合もあります。

一方で路上駐車をされ、こちらの注意に応じてもらえないときには、警察に対応してもらうことになります。

私道は道路交通法上の道路に該当しないため、路上駐車としてではなく、車庫法という車の保管場所の確保に関する法律のもとで対応してもらうことが可能です。

そのほかに車両の進入を防ぐためには、地図に私道を掲載しないよう依頼することでも効果が期待できます。

トラブル回避策は権利者や権利関係の把握にあり

公道では問題にならないようなことも、私道の上では大きな問題に発展してしまうこともあります。

近隣の住民との関係を壊さないためにも、私道に関する権利関係を把握し、コミュニケーションを十分にとり、ルールやマナーを守ることがトラブルの回避に繋がります。

対処を間違えないためにも、事前によく調べておくことが大切です。