自分の土地と隣接した土地を明確にするには、境界を確定させる必要があります。
境界の確定は資格を持ったプロが測量を行い、費用を支払って、確定させてもらうものです。
また、測量は自分の土地の面積を明確にすることにも繋がります。
今回は土地の境界の確定を行うための測量について、費用やかかる期間などをご紹介していきます。
境界を確定させる理由とは?
境界を確定させるには、「境界確定測量」を行う必要があります。
プロに依頼するため、費用や時間がそれなりにかかりますが、まずは境界確定測量を行う理由として、どのようなケースがあるのかをご紹介していきます。
●土地の売買
最も多いのは土地を売買する際でしょう。
この場合、隣接した土地の所有者に立ち会ってもらい、境界を確定させたのち、実測面積を公表して土地を販売します。
境界が確定した証となる「境界確定書」を土地の購入者に引き渡すため、売買の前に境界確定測量を行っておくことが一般的です。
●土地の分筆
1つの土地を複数に分けることを分筆と言いますが、分筆登記を行う際も境界確定測量が必要となります。
これは地積測量図の明確化が関係しており、平成17年3月7日以降は、分筆する境界のすべてにおいて隣接の土地所有者との境界確定が必須となったのです。
●土地の物納
土地の物納の際にも、境界確定測量が必要となります。
物納するには「現況」と「測量図」と「登記簿」を一致させる必要があり、申告期限までに境界確定測量を行っておく必要があります。
●境界杭の復元
いつの間にか、隣の土地との間にある境界杭がなくなってしまったというケースもあります。
この場合、境界を再度確定させて、境界杭を設置する必要があります。
費用も気になる!境界確定測量は誰に依頼するの?
境界を確定させる境界確定測量ですが、費用を支払ってプロにお任せするというお話をしました。
この時、依頼するのは「測量士」や「土地家屋調査士」といった資格を持った人達になります。
測量士は測量はできても登記は行えず、土地家屋調査士は登記を目的とした測量を行います。
依頼した測量士や土地家屋調査士に加えて、隣接した土地の所有者にも立ち会ってもらい、境界の確定を行うのです。
もし、隣接した土地の所有者が立会いできない場合は、境界が決められないという事態になるため、円滑に進むように前もって挨拶しておきましょう。
また、費用がかかるからとプロに依頼せず、境界を確定しない方もいるでしょう。
その場合、境界杭のずれや、明確な境界が分からないという理由により、気づかないうちに自分の土地の面積が減ってしまう可能性もあります。
運よく土地を販売できたとしても、のちのち購入者からクレームを受けることも考えられます。
このようなリスクがあることも、事前に頭に入れて置きましょう。
費用も異なる?測量には「境界確定測量」と「現況測量」がある
測量の種類は、境界を確定するための「境界確定測量」だけではありません。
「現況測量」と呼ばれる測量もあり、測量機器を使って土地の地形などを測量して、地形図のデータを作成する測量もあります。
現況測量にも費用を必要としますが、新築時に行うことが多く、建築予定の土地の状態を調べるために必ず行う必要があるのです。
どのような構造の建物が建築できるか、敷地の形状などを調べることができます。
境界確定測量と現況測量の大きな違いは、隣接する土地の所有者の立会いが必要か・不必要かといった点です。
境界確定測量は隣接の土地の面積にもかかわる測量のため、境界確定に合意を得ることが必須となります。
しかし現況測量の場合は、直接隣接の土地には関係がなく、合意を得る必要ありません。
そのため、スムーズに作業が進む傾向があるようです。
境界確定測量の流れとは?
ここでは、境界確定測量の流れをまとめてご紹介していきます。
まずは土地の情報を集めることから始めましょう。
①資料の取得・調査
最初に、境界確定する予定の土地の資料を集めます。
役所や法務局へ出向き、「公図」「登記簿謄本」「共同担保目録」「地積測量図」「建物図面」を一式集めましょう。
②隣接の土地所有者と話し合う
次に、隣接の土地所有者に測量の事前説明をし、立会いの了承を得ておきます。
また、行政にも測量を行う旨を伝えておきましょう。
③現況の事前調査
最初に取得した資料を確認したのち、ここで現況測量を行います。
それにより、現況測量図が作成されます。
④境界の確定
依頼した土地家屋調査士、また隣接の土地所有者と一緒に境界確定測量を行い、境界の確定を行います。
⑤境界杭を設置
新しく境界杭を設置します。
もし、すでに境界杭があり、位置に問題がなければそのままにしておきます。
⑥境界確認書・図面などの作成
境界確認書や図面を作成します。
境界確認書は隣接の土地所有者の署名捺印が必要で、測量が完成した証となります。
2通作成されるため、隣接の土地所有者と自分が保管してください。
⑦登記する
境界確認書をもとに、法務局で登記を行います。
最初に取得した登記簿謄本と土地の面積が一致しているかを確認し、確認が取れたら境界確定測量は無事に完了したことになります。
続いては、気になる境界確定測量の費用相場について見ていきましょう。
境界確定測量にかかる費用とは?
ここでは、境界の確定にかかる費用がどのくらいであるかをご紹介していきます。
まず、一般的な土地は100坪以下が多いため、100坪以下と想定してお話しします。
・境界確定測量…60~80万円
・現況測量…35~45万円
上記は平均的な費用の相場になりますが、依頼する土地家屋調査士などにより金額は変動します。
新築する場合、境界確定測量と現況測量の両方を行うと、土地の買い手側は高額な出費となってしまいますよね。
しかし一般的に、境界確定測量は土地の売り手側が行うとされています。
そのため、買い手側の負担は現況測量のみとなり、そこまで大きくはなりません。
また、上記でご紹介した費用以上に、測量にかかる費用が高くなるケースがあります。
それは以下の理由があげられます。
・土地が広大で複雑である
・行政が立ち会う測量の場合
・近隣と紛争している地域
・相続にまつわる関係者が多い測量
上記の場合は、土地家屋調査士の手間も増えることから、高額な費用が発生する可能性があります。
当てはまる方は、まずは行政に相談することから始めてみましょう。
境界確定測量にかかる期間を把握しておこう!
費用がどのくらいかかるのかを踏まえたところで、境界確定測量にかかる期間がどのくらいなのか、事前に把握しておきましょう。
先に言うと、境界確定測量には「1ヶ月半~3ヶ月以上」くらいの期間がかかります。
意外と長くかかることに驚きますが、下記のようにさらに時間を要するケースも存在します。
・行政の立会いがある場合
・隣接の土地所有者が合意しない場合
行政の立会いにくる方はあくまで担当者になるため、その場で合意を得ることができません。
1度持ち帰ってから、時間を置いて承認されることとなるでしょう。
また、隣接の土地所有者が合意しない場合も、境界確定までは時間を要します。
協議が長引くほど境界確定が完了するまでの期間は長くなるため、土地の買い手に目星がついている場合は、特に注意が必要です。
境界の確定は余裕を持って行おう
基本的に、販売する土地は境界確定測量を行うことが多いため、まとまった費用が必要となります。
また、1ヵ月半~3ヶ月以上という長い期間を要するため、時間に余裕を持って行いましょう。
あらかじめ土地を販売したい時期を決めている方は、特に注意してください。
また、境界確定測量を行う場合は隣接の土地所有者の合意が必要となるため、スムーズに進めるためにも事前に挨拶やお話をしておくことをおすすめします。