マンションの各部屋に取り付けられている通気口。
単純に「部屋の換気のため」と思われている方も多いのではないでしょうか。
もちろん通気口には換気の役割もありますが、ほかにもさまざまな役割があります。
そして、通気口の効果を得るためには、フィルター掃除が欠かせません。
今回は通気口の役割をはじめ、フィルターの掃除方法についてもお伝えしていきます。
また、通気口ならではのトラブルを改善するための策についてもお伝えしていきますので、最後まで目を通してみてくださいね。
近年のマンションに通気口が付いているのなぜ?
近年のマンションでは、高断熱・高気密の住宅が主流です。
高断熱・高気密であることで、外からの冷気や熱気を遮断して冬は暖かく、夏は涼しく過ごすことができます。
ただ、気密性が高いことで湿気や、シックハウス症候群の原因ともなる科学物質などがお部屋にこもりやすくなるといったデメリットがあるのも否めません。
シックハウス症候群とは、建築部材や家具などに含まれるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレンなどの科学物質が発散する有害なガスを吸い続けることにより、喉や目への刺激症状やめまい、頭痛などの症状が現れることを言います。
実際に、シックハウス症候群による健康被害が報告されており、このシックハウス症候群にならないためにも換気が非常に大切と言えるでしょう。
現在では、シックハウス症候群を未然に防ぐために新築住宅の建設時には「24時間換気システム」を導入することが義務化されています。
通気口はこの24時間換気システムの一環として付けられているのです。
24時間換気システムでは、まずリビングや寝室などの壁に取り付けられた通気口(吸気口とも言います)から新鮮な空気を取り込みます。
そして、室内の汚れた空気は洗面所やトイレなどに設けてある天井排気口から外に排気される仕組みとなっています。
通気口のフタは外せる仕組みになっており、中にはフィルターがあります。
このフィルターは、外部からの埃やチリをキャッチし、室内に綺麗な空気を取り込んでくれる役割を持ちます。
通気口は湿気を逃がしてカビや結露の発生を抑える!
先ほど述べたように、通気口は室内の空気を入れ替えるためにとても大切なものです。
24時間換気システムが導入されたことで、24時間新鮮な空気を室内に取り入れることができるようになりました。
これには、シックハウス症候群を未然に防ぐ以外にもさまざまな役割があります。
前項にて、近年のマンションは高断熱・高気密が主流であるとお伝えしました。
ただ、高断熱・高気密であるということは、室内の湿度の逃げ場がなく、湿気がこもりやすいためカビや結露が発生しやすくなります。
そこで通気口を設けることで、部屋の湿度を下げてカビや結露の発生を防止することができるのです。
ただし、この通気口の効果を得るためには、フィルターの掃除は欠かせません。
通気口は24時間換気システムの名のとおり、24時間フル稼働で換気を行っています。
そのため、フィルターは大変汚れやすく、埃やチリなどが積もれば正常に換気を行えない可能性もあるでしょう。
その上、汚れたフィルターを使用し続けると、汚れた空気を室内に取り込んでしまう恐れもあります。
外からの綺麗な空気をスムーズに取り入れるために、フィルターの掃除はこまめに行いましょう。
マンションの室内側の通気口・フィルター掃除をしよう
マンションの通気口のフィルターを一度も掃除したことがないという場合は、住んでいる期間にもよりますが、恐らくフィルターが汚れているでしょう。
このフィルターは実は簡単に取り外すことができますので、誰でも掃除を行うことが可能です。
通気口の掃除は、室内側と室外側とで分けることができます。
まずは室内側の掃除の仕方を見ていきましょう。
基本的に、室内側の通気口には、フィルターに被さるようにプラスチック製のカバーが取り付けられています。
フィルターカバーは回転式や上下取り外し式などがあり、いずれも簡単に外すことが可能です。
カバーを外したら、フィルターが見えると思いますが、このフィルターも簡単に外すことができますので取り外してみましょう。
フィルターには交換式のものと水洗いできるものがあります。
近年では水洗いできるタイプが多く出回っていますので、こちらのタイプであれば水洗いで汚れを落とすことができます。
もし水洗いができないタイプでしたら、掃除機で埃やチリを吸い取るか、汚れがひどければ交換してしまいましょう。
また、フィルターだけでなく、通気口周りも予想以上に汚れていることも多いです。
汚れが気になるようでしたら、濡れ雑巾などでしっかりと汚れを拭き取りましょう。
通気口やフィルターのお掃除手順
先ほどは、簡単にマンションの通気口のフィルター掃除の流れをご説明しましたが、ここからはさらに詳しく掃除方法をお伝えしていきます。
*ここでは水洗いできるタイプのフィルター掃除をご紹介していきます。
フィルター掃除を行うときは、フィルターを外す必要があることはお伝えしました。
フィルターを取り外すということは、汚れた空気が室内に入ってしまう可能性も高くなりますので、できるだけ風の弱い日に行うのがおすすめです。
また、埃が舞ったり手が汚れることが考えられるので、マスクと手袋の着用に加え、フィルターの下に新聞紙やいらないシートなどを敷いておくと安心です。
では早速フィルターおよび、周辺の掃除方法についてご紹介していきましょう。
はじめに、24時間換気システムをオフにします。
多くは脱衣所や洗面所にあるコントロールパネルの「24時間換気」とあるボタンを長押しすると停止させることができます。
続いて、フィルターカバーを取り外し、中のフィルターを外します。
フィルターの汚れがひどいときは、はじめに掃除機である程度汚れを吸い取っておくとよいでしょう。
ある程度汚れを吸い取ることができたら、水洗いしていきます。
このとき、ごしごしと揉み洗いのような洗い方をすると、フィルターの破損にも繋がりますので、なるべく水で優しく洗い流すようにしましょう。
歯ブラシなど、ブラシ状のものがあると絡みついた埃を効率よく取り除くことができます。
綺麗になったらしっかりと水分を吸い取り、乾くまで干しておきましょう。
次に、通気口周りの汚れた部分を濡らした雑巾で拭いていきます。
汚れが落ちにくいときは中性洗剤を薄めた液か、スプレータイプの洗剤を使うと便利です。
汚れが落ちたあとは、洗剤が残らないように水拭きをし、最後に乾いた雑巾で拭きあげましょう。
以上が、通気口とフィルターの掃除方法です。
フィルターを取り付けたあとは、必ず24時間換気をオンにすることを忘れないでくださいね。
マンションの場合、外側の通気口やフィルターは掃除しないほうがいい?
外側の通気口およびフィルターの掃除に取り掛かる前に、注意事項をお伝えしていきます。
マンションにお住まいの場合、外側の通気口が共有スペースにあることも珍しくありません。
例えばベランダや通路といったところでしょうか。
その場合、通気口も共有物と判断されることがあるようですので、掃除を行う前にまずは管理人や管理会社に相談してみたほうがよいかもしれません。
マンションによっては、ベランダがない場合もありますし、その場合掃除自体行うことが難しいことが考えられます。
また、外側の通気口カバーは大体ネジで留められていて、ドライバーなどで取り外しが可能です。
しかし、通気口およびフィルターの掃除中に通気口を破損してしまったり、ネジを紛失してしまったら、費用を請求されてしまう可能性もゼロではありません。
以上のことから、マンションの外側にある通気口の掃除は管理人および管理会社に相談してからのほうがよいと考えられます。
通気口からの音がうるさい!対策はある?
ここまで、マンションの通気口のフィルター掃除についてお伝えしてきました。
掃除を怠ってしまうと、通気口本来の役割が得られない可能性がありますので、なるべくこまめに掃除を行うように心がけましょう。
さて、現在ほとんどのマンションに取り付けられている通気口ですが、通気口を伝って外から聞こえてくる音が気になったことはありませんか。
実は、フィルターからの騒音問題は多くの方が悩んでいると言われています。
ここでは、音の問題を解決するための策をご紹介していきます。
●防音対策に!「防音スリーブ」
防音スリーブは、換気口の中に入れるスポンジ状のようなもので、取り外しが容易であることから、マンションでも設置が可能とされています。
購入するときは、マンションに付いている通気口の直径と防音スリーブの直径が合うものを選ぶようにしてください。
防音スリーブはネットでも購入が可能で、価格も400円~1,000円程度と手ごろですので、音に悩んでいる方は検討してみてはいかがでしょうか。
通気口のフィルター掃除はこまめに行おう
ここまでお伝えしたように、通気口には住宅および私たちの健康を守るためにも欠かせないものです。
そのためには、通気口のフィルター掃除が大切になってきます。
通気口周りの掃除は忘れがちな部分ではありますが、掃除を怠ると十分な換気ができない可能性もあります。
特にフィルターは汚れやすい部分ですから、定期的に掃除を行うよう心がけましょう。