不動産登記のひとつには、「地目変更登記」というものがあります。
土地には地目が決められており、登記簿上と現況が一致していない場合、地目変更登記をしなければなりません。
この記事では地目変更登記について、そして地目変更登記を申請する際の必要書類についてお話をしていきます。
地目や登記って何?
地目変更登記についてお話をする前に、まずは「地目」と「登記」のそれぞれについてご説明をしていきましょう。
はじめは「地目」についてです。
地目とは、簡単に説明すると土地の種類といえるでしょう。
「宅地」「田」「畑」「公園」など全部で23種類あります。
土地ひとつひとつに地目がつけられており、各土地がどのような状況にあるかで、どの地目になるかが決まるのです。
22種類の地目のどれにも当てはまらない場合は、「雑種地」という地目がつけられます。
つぎに「登記」についてです。
登記は、権利関係などを公示するために、一定の事柄を登記簿に記載することをいいます。
登記にも種類があり、不動産登記や商業登記、船舶登記などが挙げられます。
不動産登記であれば土地を例に挙げると、「その土地はどこにあり」「どのような種類(地目)で」「どのくらいの広さがあって」「所有権は誰にあるのか」といった内容が登記簿に記載され、誰でも見ることが可能です。
このような一定の事柄を一般公開することにより、権利などの内容が第三者にも明確となり、取引の安全性をはかります。
登記簿は法務局で管理されているので、登記申請をする際は法務局で行うのが一般的といえます。
ちなみに不動産登記には、
・表示に関する登記:土地や建物の面積などの物理的な現況を公示するもの
・権利に関する登記:土地などの権利関係を公示するもの
の2種類あります。
どちらの場合でも、登記申請するには必要書類を用意しなければなりません。
地目変更登記とはどういうもの?
地目と登記についてお話をしたところで、地目変更登記がどういうものかについてお話をしていきます。
名前からも分かるとおり、地目を変更する登記のことを「地目変更登記」といいます。
先ほどお伝えしたように、登記簿にはその土地が「どのような種類(地目)で」あるかも記載がされていて、それは現況によって判断されます。
例えば、以前は地目が畑だった土地を、家を建てるための土地に開拓し、無事に家が完成したとします。
それまでは畑だったため、登記簿上の地目は「畑」となっていることかと思います。
しかし、土地を開拓して家を建ててれば、その土地はもう畑ではなく、「宅地」となるのです。
そのためこの場合だと、家ができたときに、「畑」から「宅地」に地目変更登記を行わなければなりません。
では地目変更登記をしたい場合、どうしたら良いのでしょうか。
また、必要書類はあるのでしょうか。
次の項からご説明していきます。
地目変更登記はどこで申請するの?
地目変更登記を申請するためには、まず必要書類を用意することからはじまります。
どのような書類が必要かは後述しますが、書類がひととおり集まったら、申請場所へ向かいます。
地目変更に限らず、不動産登記を行う場合は、管轄の法務局で申請します。
注意していただきたいのが、どこの法務局でも良いというわけではないということです。
法務局は全国津々浦々にあるのですが、各地域にはそれぞれ管轄の法務局が決まっています。
そのため、管轄以外の法務局で登記申請をしても受け付けてもらえません。
向かった先の法務局が管轄でなければ、ここまでの移動が無駄になってしまいますから、事前に管轄の法務局がどこなのかを調べておくと良いでしょう。
一番確実なのは、近くの法務局に電話することです。
土地の所在などを告げれば、どこが管轄の法務局なのかを教えてくれますから、あらかじめどこなのかを把握したうえで法務局へ向かいましょう。
地目変更登記をする場合の必要書類
登記申請でとても重要なのが、必要書類を用意することです。
必要な書類が不足していたり、書類に不備があったりすれば、また一からやり直しすることもあります。
再度法務局にも行かなくてはなりませんから、特に管轄の法務局が離れたところにある場合は二度も三度も行きたくはないでしょう。
ですから、必要書類は不備なく用意することが重要です。
では地目変更登記を申請する場合は、どのような書類が必要となるのでしょうか。
基本的な必要書類は、以下の2つです。
●地目変更の登記申請書
土地の所在や地番、登記上の地目、変更後の地目などを記載します。
記入内容は不動産登記法などで細かく規定されていますので、一言一句間違いのないように作成しましょう。
登記申請書に関しては、法務局のHPでひな形がありますので参考にしてみてください。
●土地の案内図
これは、法務局の担当者が現地に行くことができるようにするための地図です。
現地の位置がわかる地図を用意し、現地がどこにあるかを示しておくと良いでしょう。
ケースによって登記申請の必要書類は変わる
地目変更登記で基本的な必要書類は先ほどの2つといえますが、ケースによっては必要となる書類に違いがあります。
どのケースも上記の2つを用意し、追加で必要となる書類があるのです。
ここでご紹介していきましょう。
【登記上の土地の所有者が亡くなっているケース】
●登記上の所有者が亡くなったということがわかる戸籍謄本あるいは除籍謄本
●土地を相続する相続人の戸籍謄本と住民票
土地の所有者と相続人の関係性次第では、ほかの戸籍が必要になることもあります。
【土地の所有者の登記上の住所が、現在の住所と違うケース】
●土地の所有者の住民票あるいは戸籍の附票
注意しなければいけない点が、この書類の内容から、登記上の住所から現在の住所への経緯がわかる記載でなければいけないという点です。
どういう経緯なのかがわかる住民票、あるいは戸籍の附票を用意しておくと良いですね。
代理人に依頼する場合の必要書類は?書類が用意できたら法務局へ
【地目変更登記を代理人に申請してもらうケース】
・土地の所有者から代理人(土地家屋調査士など)への委任状
・代理人(土地家屋調査士など)が提出する場合にのみ必要となる書類
原則、登記は自分で行うものとされていますが、専門家に依頼する方も多くいることでしょう。
地目変更登記の場合は、司法書士ではなく「土地家屋調査士」に依頼をします。
単に地目変更登記をするだけなら、2つの必要書類を用意して管轄の法務局に提出すればいいですが、ここでお話しした3つのケースに該当する場合は、それぞれで必要な書類があるので頭に入れておくと良いでしょう。
必要な書類をすべて用意できたら、管轄の法務局へ行き、登記申請の手続きに進みましょう。
法務局の窓口で必要書類を提出すれば、あとは登記完了を待つのみです。
書類に不備がなければ約1週間ほどで登記手続きは完了するでしょう。
スムーズに地目変更登記ができるよう、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
必要書類を用意して登記申請をしよう
登記にはいくつか種類があり、その中でも地目変更登記についてこの記事でお話をしてきました。
必ず用意しなければいけない書類もあれば、ケースによって必要となる書類が違うこともあるようです。
とはいえ、必要書類を用意できなくては登記申請はできませんから、登記申請の際は、自分には何の書類が必要かを把握し、全てそろったうえで法務局の窓口に提出しましょう。