マンションを購入すると、「管理費」と「修繕積立金」を支払うことになります。
これらは快適に暮らすために必要不可欠な費用ですが、この管理費が「高いのではないか」という声をよく聞きます。
そして、「管理費の金額は契約時に決められているので変更はできないもの」と思っている方も多いでしょう。
しかし、管理費は下げることができるのです。
それでは、「なぜ管理費を下げることができるのか」その理由をご説明していきましょう。
マンションの管理費が高い理由
マンションを購入すると、ローンの他に「管理費」と「修繕積立金」が掛かってきます。
多くの場合、このふたつの経費を合算して、「毎月数万円の支払いになる」と説明を受けることでしょう。
この合算が、高い管理費の隠れ蓑になっている場合があるので注意が必要です。
まずは、マンションの管理についてご説明しましょう。
マンションを購入すると、部屋を専有する「区分所有者」となります。
そして、マンションに暮らす場合は、区分所有者が全員で「管理組合」を作り、敷地や建物の維持管理をすることになります。
この区分所有者は法律で定められているので、本人の意思に関わらず、全員が管理組合の組合員にならなければなりません。
しかし、マンションの管理業務は幅広いので、自分たちで行うのは難しいところがあります。
そこで、管理組合がマンション管理を専門で行う、「管理会社」に委託してマンションの管理を行うことになります。
通常はこのような流れで管理会社に委託することになるのですが、現在では、マンション分譲時にはすでに管理会社が決まっています。
デベロッパーの系列会社や関係者会社などが、管理会社になるケースが多いようです。
つまり、管理組合が管理会社を選んでいないために、サービスや価格による競争がないのです。
マンションの管理費は最初から高い設定になっている!?
すべてがそうとは言いませんが、競争がないことから、管理会社は利益の元となる「管理委託費」を必要以上に高く設定することもできます。
そのため、管理費の金額にはマンションによって大きく違いが出ます。
また、多くのマンションでは、管理費の見直しを行っていません。
そのため、適正価格よりも高い管理費を支払っている場合があるのです。
しかし、管理費を多く支払っているからと言って、必ずしもサービスの質が良いというわけではありません。
「管理費と修繕積立金の合算が高い管理費の隠れ蓑になっている」と述べましたが、高い管理費に比べ、修繕積立金は低く設定されていたりします。
これは、マンション購入時に必要経費が高いと思われないよう、バランスを取っているからです。
すると修繕積立金は不足してしまうため、段階的に値上げされたり、修繕のときに一時金として徴収されたりすることがあるのです。
マンション管理費の内訳に注意
マンションを購入するときには、必要経費の内訳にも注意することが大切です。
「修繕積立金よりも管理費が高い」マンションには注意しましょう。
先程お話ししたように、修繕積立金が段階的に値上げされて、気が付いたら初期の契約の倍以上になっている可能性もあります。
また、月々の金額が低くても、大規模修繕のときに数十万円、数百万円の一時金を払わなければならないのは、とても負担になるでしょう。
本来であれば、マンションの資産価値を維持するためにも、必ず行わなければならない大規模修繕のために修繕費をしっかりと積み立てるべきなのです。
しかし、多くのマンションで管理費が高く設定され、その分将来必要な修繕費が抑えられているという状況は見られます。
そして、このことはマンションの資産価値を下げることにも繋がります。
マンションの価値は立地と管理で決まると言われていますが、「高い管理費と足りない修繕積立金」では、良好な管理をされているマンションとは言えません。
マンションの適正な管理費はいくらなのか?
それでは、マンションの適正な管理費とはいくらくらいなのでしょうか。
国交省の調査によると、管理費の全国平均の相場は「145円/㎡」ということです。
これをマンションの床面積に当てはめればおよその金額が出ます。
例えば60㎡の場合、次のようになります。
60㎡×145円=8,700円
この床面積であれば、管理費の相場は8,700円ということです。
地域や戸数、立地などで変わってきますが、この金額よりも極端に高い場合は、管理会社を見直した方が良いでしょう。
一説によると、ワンルームマンションの管理費はかなり割高で、ファミリーマンションの2.5倍にもなると言います。
また、同じ床面積のマンションでも、物件単価が高いほど管理費が高くなる傾向があります。
次に修繕積立金について見ていきましょう。
「マンション修繕積立金に関するガイドライン」によると、適正額は「200円/㎡」です。
先程と同じように、床面積60㎡のマンションにあてはめてみましょう。
60㎡×200円=12,000円
適正な修繕積立金は12,000円ですから、管理費と合算すると20,700円となります。
マンションの平均管理費は10,661円、平均修繕積立金は10,783円と言われているので、合算すると21,444円とそれほど大きな差ではありません。
しかし、管理費と修繕積立金を別々に考えると、管理費が高く修繕積立金が不足していることが分かります。
高いマンション管理費を見直す!
マンションの管理費は必要以上に高い場合があり、その分修繕積立金は不足しているので、適正に管理されていれば、支払う金額を変えることなく修繕積立金の不足分を補えることになります。
管理費を見直すにはいくつかの方法があるのでご紹介しましょう。
【管理会社の変更】
管理費の中で大部分を占めているのは、管理会社への管理委託費です。
そこで、管理業務に対する価格競争を持ち込むと、管理やサービスの質を下げることなく、マンションの管理費を削減することが可能です。
しかし、管理組合員である区分所有者の意見を聞く必要もあり、管理会社の変更には時間と手間が掛かります。
最近では、適正な管理費を調べて対応してくれる専門の業者もいるので、一度相談してみると良いでしょう。
【メンテナンス業者の変更】
エレベーターや自動ドアなど、メンテナンス業者にはメーカー系と独立系の2つの系統があります。
メーカー系は、エレベーターなどを製造しているメーカーがメンテナンスも行うので、当然自社製品について詳しく、メーカー系の方が安心ですが、一方でコストは一般的に高めです。
独立系はメーカー系とは違い、メンテナンスのみを行い、メーカー系に比べコストが安くなります。
まだまだ見直せるマンション高い管理費!
さらに管理費を見直す方法をご紹介していきましょう。
【電気設備系統の見直し】
電気設備を見直すと、管理費削減に繋がります。
例えば、スーパーや工場などで広く導入されている「電子ブレーカー」に変えることで、マンション全体の電気代の基本料金を下げることができます。
電気の使いすぎによる停電が起きないように電子ブレーカーで制御すれば、一時的に契約電力を超えても、電気用品安全法で定められた範囲まで利用できるというものです。
初期導入費は掛かりますが、導入した例を見ると、平均2~3年で償却できるようです。
長い目で見るとかなりお得な方法で、15年で200万円の管理費削減に繋がったマンションもあります。
【契約内容の見直し】
保険の補償内容を見直すことでも、保険料を削減できます。
保険の契約期間を1年から5年契約にするだけでも、多少ではありますが、保険料の削減になります。
また、メンテナンスの面でも、定期的に部品交換を行う「フルメンテナンス契約」から、必要な部品を部分的に交換する「パーツ・オイル・グリース契約」にすることでも経費を削減することができます。
これらの見直しは、すべてのマンションにあてはまるものではありませんが、マンションの管理費が高いと感じているならば、検討する価値はあるでしょう。
マンションの管理費が高いと感じたら見直しを!
マンションの管理を管理会社に委託していても、管理を行っているのは、あくまでも区分所有者で構成されている「管理組合」です。
そのため、管理会社をはじめとした、さまざまな見直しも管理組合は行うことができるのです。
自分の支払っている管理費や修繕積立金が適正かどうか見直し、もし、高いと感じるならば、長く快適に暮らすために、一度見直しをしてみませんか。