マンションを購入すると、知らないうちに「管理組合の組合員」になっていて、総会に出席したり、役員が回ってきたり、何かと面倒です。
しかし、この「管理組合」という仕組みはとても重要で、マンションの資産価値を左右することにもなるのです。
面倒かもしれませんが、「自分たちの資産を守るために必要なもの」と考えると見方が変わってきませんか。
それでは、マンションの「管理組合」の重要性についてご紹介しましょう。
面倒なマンションの管理組合はなぜ必要?
マンションの管理組合は、そこに暮らす住民によって構成された組織のことです。
その目的は「マンション全体の運営に携わる活動を決定する」ためで、共有スペースの管理やマンション内のトラブルなどについて、住民で話し合い決定していきます。
つまり、「自分たちが暮らすマンションの管理を自分たちで行う」ということです。
住民は全員「管理組合員」となり、その組合員の中から理事や監事などの役員を選出し活動します。
以前は、管理組合の設立や加入は、任意で行われていたこともありました。
しかし、マンションを管理するには、管理費や修繕積立金などのお金が関わってきます。
そのお金のことで、管理組合の加入者と非加入者の間で面倒なトラブルになることが多くありました。
こうした状況により、「区分所有法」の改定が行われ、1983年からマンションに暮らす全ての住民に管理組合へ加入が法律で決められたのです。
したがって、マンションで暮らすには、誰でも必ず管理組合に加入し、管理組合員にならなくてはなりません。
マンションの管理組合は本当に面倒なのか?
先程お話しした「区分所有法」について、もう少し詳しくご紹介しましょう。
マンションを購入した時点で、購入者は「区分所有者」になり、「区分所有法」の対象になります。
区分所有法第3条では、マンションの住民全員で「建物やその敷地、また附属施設の管理を行うために団体を構成」することを定めています。
そして、この法律に従って「集会を開き、規約を定め、管理者を置くことができる」としているのです。
住民全員でマンションを管理するとしていますが、このことに加え「管理者を置くことができる」ともされています。
ここがポイントで、これは「マンションに専属の管理者を置き、管理を任せることができる」ということです。
そこで、多くのマンションでは、管理業務を専門の「管理会社」に委託しています。
したがって、日々の共有スペースやゴミ置き場の清掃、エレベーターや玄関エントランスなどの設備の管理などは、管理組合に委託された管理会社が行ってくれるのです。
新築マンションを購入した場合には、契約時に管理会社が決まっていることがほとんどで、契約の書類にもその旨が明記してあるはずです。
このように、共有スペースの清掃や設備メンテナンスなど、面倒な作業は自分たちで行う必要はほとんどありません。
マンション管理組合の重要な仕事は「資産価値の維持」
マンションは、大金と引き換えに手に入れた大切な資産です。
そのため、マンションの資産価値を維持することは、区分所有者にとって、とても重要なことです。
「マンションは管理を買え」と言われるくらい、管理の仕方が資産価値を左右します。
そのため、管理組合が正常に機能し、管理会社にきちんと働きかけ、管理組合が主体的に管理をしている物件は良いマンションと言えるでしょう。
日々のメンテナンスが、マンションの劣化に大きな影響を与え、十数年ごとに行われる大規模修繕が老朽化を遅らせます。
また、劣化を防ぎ、見た目が綺麗なマンションだけが管理が良いというわけではありません。
マンション内が規約に基づいて、きちんと管理されているかも重要です。
共有スペースの使い方、ゴミの出し方、ペットに関することなど、決められたルールが守られ、管理組合が正常に機能している「当たり前」の環境こそが大切なのです。
居住者間の良好なコミュニティーは、そこに住む「ヒト」、設備などの「モノ」、管理費などの「カネ」、この3つのバランスがポイントになります。
この3つを管理する「管理組合」の存在は、マンションの資産価値や住み心地に大きな影響を与えます。
「面倒くさい」なとど思わずに、積極的に参加しましょう。
マンションの管理組合員が知っておくべきお金の話
マンションのコミュニティー形成には、「ヒト」「モノ」「カネ」が重要だとお話ししました。
中でも、お金についてはトラブルになりやすく、何かと面倒です。
管理組合の組合員として、マンションのお金について知っておきましょう。
マンションを購入すると、「管理費」と「修繕積立金」を毎月支払うことになります。
「管理費」は、文字通りマンションを管理するためのお金で、その多くが管理会社に支払われ、管理業務に使われます。
「修繕積立金」は、いつか必ず行われる、マンションの大規模修繕工事のための積立金です。
ここで重要なのは「管理会社に丸投げしない」ということです。
マンションの戸数が多ければ、それだけ管理費や修繕積立金は多額になります。
そのお金がどのように使われているのか、管理組合で定期的にチェックすることが大切です。
「管理会社に支払われている金額は適正かどうか」「修繕積立金の金額は妥当か」「保守点検に掛かる費用は高くないか」など、自分たちの大切なお金の使われ方を知っておきましょう。
そして、もし問題があるのなら、総会を開いて住民で検討してください。
それが管理組合の機能です。
面倒なマンションの管理組合に入らない方法?
「そうは言っても、管理組合なんて面倒だから、どうにかして回避できないものか」と思う方も多いようです。
ネットの口コミなどで「管理組合に入らない方法」や「加入しなくても良い」などの情報が出ていますが、そんな方法はありません。
先述の通り管理組合に加入することは区分所有法第3条で定められているので、もし拒否をすれば法律違反になってしまいます。
「一戸建ては隣組や自治会など隣近所の付き合いが面倒」と考えてマンションにしたという方もいるでしょう。
隣組や自治会などは、町の住民が安心して暮らせるようにと組織されたものです。
自分たちが出したゴミを管理したり、お互い協力して防犯にあたったり、災害のときは助け合うという、昔から続いてきた、言わば「先人たちの暮らしの知恵」です。
では、マンションではどうでしょう。
マンションに暮らしていてもゴミは出ますし、災害にもあうでしょう。
社会の中で、誰とも関わらずに暮らすことは不可能なのです。
管理組合が機能しているマンションの選び方
最後に管理組合が機能し、きちんと管理されているマンションは、どこをチェックすれば良いのかご紹介しましょう。
中古マンションを購入するときには、購入しようとする物件を見たときに、外壁や内装などが修繕されずにそのままになっていたりすることもあるでしょう。
また、住人がルールを守らず生活している印象であれば、管理組合が機能していないと見ることができます。
こういった物件の場合、同じエリアで似た条件であっても、売却価格が大きく違うことがあります。
これは、きちんと管理されていないので「資産価値」が下がっているということです。
新築マンションを購入する場合は、まずは管理会社が管理を行うので次のことに気を付けましょう。
・管理規約…細かいルールが定められているか、違反者が出た場合の対処はどうなっているか
・管理費…相場と比べて、高すぎたり、低すぎたりしていないか
・修繕積立金…長期計画がなされているか、金額は妥当か
・日常の管理…マンションの規模と管理体制のバランスは取れているか
・管理会社の対応…管理者がいない場合の対処などはどうなっているか
また、マンションの地主など、特定の住民が権限を持っていないかも確認しておきましょう。
購入時から管理会社が管理しているマンションでも、管理の主体はあくまでも管理組合です。
管理組合や住民との関りを面倒くさがらないことが、快適なマンション暮らしに繋がります。
マンションの管理組合は面倒でも必要
マンションで暮らすためには、管理組合に加入することが義務付けられています。
いつか必ず行う大規模修繕工事に備えたり、日々快適に暮らすためには、管理組合が正常に機能していることが大切です。
管理組合の役員については、平等性を重視し、輪番制を採用しているマンションが多くなっています。
「役員は面倒なのでやりたくない」などと言わず、自分たちの大切な資産を守るためですから、積極的に参加してください。