マンションの窓はリフォームできる?その方法と注意点とは

マンションに住んでいると、特に室内の寒さに直結する窓の断熱対策をあれこれ考えますよね。

窓をリフォームすることができれば手っ取り早いですが、マンションにおいて窓のリフォームが可能かどうかについてはよく知らない方も多いことでしょう。

そこでこの記事は、マンションの窓をリフォームする方法やその注意点について詳しくお話していきます。

マンションの窓はリフォームすることができるの?

そもそも、マンションの窓をその居住者がリフォームすることは可能なのでしょうか。

結論から言うと、サッシを含めた窓自体をリフォームすることは難しい場合がほとんどです。

と言うのも、マンションにおけるの窓のサッシ部分は、マンションの「共用部分」と定められているからです。

建物の区分所有法では、マンションは以下のように「専有部分」と「共用部分」に分かれています。

・専有部分

室内である居住スペースで、天井や壁、床などの内側を指します。

・共用部分

専有部分に属さない独立性のない部分で、外廊下やエントランスホール、エレベーターなどが挙げられます。

国土交通省が提示するマンションの「管理規約」では、「専有部分」に限り居住者によるリフォームが可能と定めているのですが、専有部分と思われがちな「窓」は、共用部分として分類されます。

つまり、原則的に居住者によって窓自体をリフォームすることはできないのです。

しかし、窓に対するリフォームのやり方次第では可能で、そこでよく行われているのが「内窓リフォーム」です。

マンションの内窓リフォームとは?そのメリット

では、マンションで可能な「内窓リフォーム」とはどのようなものなのでしょうか。

「内窓」とは、既存する窓の内側にさらに設けられる窓で、二重窓や二重サッシとも呼ばれています。

マンションでこのような内窓を設ける場合、内窓は内装としてみなされるため、共用部分に対するリフォームと判断されることはありませんが、念のために管理会社に確認しておくとより安心です。

また、内窓は昔から寒冷地において断熱性向上のために用いられており、近年では省エネや防音対策としての側面にも注目が集まっています。

内窓の具体的なメリットについて、詳しく見てみましょう。

・断熱性

内窓を設ける二重窓では、窓と窓の間に空気の層が生まれるため、外部からの熱を遮断することが期待できます。

夏は暑い外気を、冬は寒い外気をシャットアウトすることで、冷暖房効果をより高めることができます。

・防音性

音は物や空気を通して伝わりますが、内窓を介することでその音量を抑えることができます。

・結露防止

窓と窓の間にできた熱を伝えにくい空気層により、結露防止の効果が期待できます。

・防犯性

家への侵入の多くは窓から行われますが、内窓を設けることで侵入までの時間を稼ぐことができます。

また、侵入へのタイムロスから発見されるリスクが高まる内窓は、空き巣のターゲットにもなりにくいと言われています。

以上のように、内窓には様々なメリットが備わっているため、内窓はおすすめできるリフォームです。

注目される内窓リフォームの断熱効果とは

マンションの内窓リフォームで得られる断熱効果について、さらに具体的に見ていきましょう。

前述したように、内窓という二重窓の構造上、空気の層によって断熱効果を図ることができるわけですが、実際、通常のペアガラスを内窓にすることで、「アルゴンガス入り複層3枚ガラス」相当の効果が得られることが分かっています。

アルゴンガスとは、空気中の約1%に存在する不活性(他物質と反応しない)ガスで、「気体の断熱材」と言われる程の優れた断熱効果を持っています。

通常、ガラス内部には空気が封入されますが、代わりにアルゴンガスを封入することで、複層ガラスの断熱効果を高めます。

このようなアルゴンガス入り複層3枚ガラスは、窓ガラスの中でも最も断熱効果が認められていますが、一般的なペアガラスでも二重窓にすることで同等の効果を享受できるというわけです。

ちなみに、たとえ仮にマンションの窓自体をリフォームすることが可能であっても、断熱性能の優れた窓ガラス費用、設置費用に加え、既存する窓を撤去する費用がかかってくるため、むしろ内窓を新たに設けたほうが安上がりになるというメリットも注目されています。

内窓リフォームのデメリットは主に手間

マンションの内窓リフォームのメリットについて見てきましたが、もちろんデメリットも存在します。

おすすめできる断熱対策とは言え、あらかじめデメリットも踏まえてからリフォームすることが望ましいです。

・メンテナンスの手間

既存する窓の内側にさらに窓を設けるため、掃除はその分大変になります。

また、狭い隙間から掃除をするのも難しく、掃除には余計に時間がかかってしまいます。

・初期費用がかかる

窓ガラスの種類やサイズにもよりますが、内窓の相場は10,000~50,000円となっており、さらにその設置をリフォーム会社に依頼するとなると、それ以上のコストを覚悟する必要があります。

以上のように、内窓のデメリットは主に手間です。

さらに、開け閉めに関しても億劫になる傾向があるため、室内の換気が疎かになるケースも少なくありません。

あらかじめこれらのデメリットを踏まえ、内窓リフォームの検討をしていくのが良いでしょう。

マンションの内窓リフォームでおすすめな窓ガラスは?

これまでに、マンションで内窓リフォームをするうえでのメリット・デメリットについてお話してきました。

では、マンションで内窓リフォームをする場合、具体的にどのような窓ガラスを選べば良いでしょうか。

前述したように、内窓として設置する窓ガラスは、一般的なペアガラスでも断熱効果を得るには十分ですが、最大限の効果を期待するのであれば、断熱性に優れた窓ガラスを選ぶべきでしょう。

特に、北海道や東北などの寒冷地では言うまでもありません。

おすすめできる具体的な内窓としては、一つ目に「LIXIL インプラス」が挙げられます。

LIXILが開発したインプラスでは、樹脂製のサッシが用いられており、一般的なアルミサッシよりも優れた断熱性能を発揮することができます。

さらに、LIXILだけの新技術として、業界初の「ダストバリア仕様」であることが注目されています。

ダストバリア仕様では、埃を寄せ付ける静電気を防止する特殊な樹脂が採用されているため、日頃の掃除をより楽にしてくれます。

断熱性だけでなく、苦労しがちな内窓の掃除デメリットがカバーされている点は、非常に魅力的と言えます。

内窓におすすめな「YKK プラマードU」とは?

マンションの内窓リフォームでおすすめできる窓ガラスには、「YKK プラマードU」も挙げられます。

YKKのプラマードUも、インプラスと同様に樹脂製サッシが用いられているため、既存するアルミサッシの断熱性を大幅にカバーすることができます。

また、プラマードUの引き違い窓タイプでは、オプションで「戸先錠」にすることができます。

通常の引き違い窓では、中央に錠があるのに対し、戸先錠では引手部分と鍵が一体化されています。

つまり、窓を閉めるだけで鍵がかかるようになっているため、鍵のかけ忘れを防ぐ防犯対策としてはおすすめできます。

さらに、リフォームに際する一窓あたりの取り付け時間は、わずか1時間で、あっという間に内窓を設置することができます。

仕事や家事で忙しく、なかなか内窓リフォームに時間をかけられない方は、ぜひ検討してみると良いでしょう。

内窓リフォームでより快適な暮らしを

マンションの管理規約では、共用部分とみなされる窓自体のリフォームは原則として認められていません。

しかし、既存する窓に内窓を設置する方法であれば、専有部分の内装と判断されるため、リフォームすることができます。

内窓を設けるだけで断熱性だけでなく、防音性や防犯性の向上も図ることができるため、ぜひ内窓リフォームの検討をしてみてください。