マンションで生活をしていると、気にならない音から、気になってしまう程の音まで様々な音が聞こえてきます。
マンションは床や壁を隔てて、隣・上下の部屋と距離が近いため、一戸建てよりも騒音トラブルが多く起こりがちです。
また、マンションの構造上、音がどこから来ているのかがわからないことも多く、騒音トラブルの解決に時間がかかってしまうこともあります。
音の伝わり方、その音がマンションではどのように響くのかをご紹介します。
マンションに多い音のトラブル
マンションでは、いろいろな人が住んでいるため様々なトラブルが起こりがちです。
その中でも、最も多いのが音によるトラブルです。
人が歩く足音をはじめ、子供が走る足音やペットが歩く爪の音もトラブルの原因となることがあります。
それ以外にも、掃除機や洗濯機などの生活音も時間帯によっては騒音となります。
マンションで生活する上で、ある程度の生活音は仕方がありませんが、あまりにも大きな音や長く続く音は気になってしまうものです。
解決しようと思ったとき、音の原因はすぐ上の階の部屋だと思ってしまいがちです。
確かにすぐ上の階の部屋からの音は響きやすいのですが、話しをしに行ったらその部屋が音の元ではなかったということがあります。
そのため、音がどこから来ているのか発生源がわからず、騒音トラブルがなかなか解決できないということもよくあります。
それはマンションの構造上、マンション特有の音の伝わり方があることが原因です。
音はどのように伝わる?
音には、2種類の伝わり方があります。
1つは空気から伝わる音で、空気伝搬音というものです。
これは、話し声やペットの鳴き声、壁や床に接しないで演奏する楽器の音などが当てはまります。
この音に関しては、窓を防音対策がされているものにしたりすると、軽減できるものもあります。
また空気伝搬音は、音の発生源から距離が遠くなるほど小さくなっていく特徴があります。
2つ目は、壁、床や天井が振動して伝わる音で、個体伝搬音というものです。
足音、扉の開閉音、掃除機などの音をはじめ、ピアノなどのように床に付いている楽器などが響く音のことです。
マンションで使われていることが多いコンクリートは、個体伝搬音を空気の15倍の速さで伝えることが実証されています。
そのため、コンクリートで部屋同士が繋がっているマンションは、壁や床を通して音が遠くまで響いていきます。
これが、音がどこから来ているか特定できない原因のひとつです。
音がどこから来ているかわからない原因のひとつ、太鼓現象とは?
マンションで気になる音がどこから来ているかわからない原因の中に、太鼓現象と呼ばれる音の響き方があります。
太鼓現象とは、二重壁や二重床のように壁と壁、床と床の間に空間があると、そこに音が集まって太鼓を叩いたときと同じように音が響いてしまうことです。
この太鼓現象が問題となり、最近の築年数の浅いマンションでは二重壁は使われていないことがほとんどです。
ただ、マンションでは配管を設置するために、配管の部分が空洞になっていることがあります。
そこの空間に様々な部屋が出した個体伝搬音がコンクリートを通して集まり、より響く太鼓現象を引き起こしてしまいます。
自分の部屋の真上でこの太鼓現象が起こると、その部屋の住人は真上で音がしたように聞こえます。
そのため、上の階が騒音の原因だと思ってしまうのです。
しかし実際には太鼓現象で、どこからか集まった音が響いているので、音がどこから来ているのかを特定するのは困難です。
このマンション特有の音の響き方が、騒音問題を長引かせる原因となっていることが多々あります。
マンションにおける生活音はどこから騒音になる?
マンションの構造上、音を完全にシャットアウトをするのは難しく、ある程度の生活音は仕方がないものです。
マンションでの生活音にはどのようなものがあるのでしょうか。
具体例を挙げると、足音、話し声、掃除機や洗濯機などの電化製品の音、エアコンやトイレなどの住宅設備からの音、テレビや音楽の音などがあります。
これらの生活音がどこから騒音になるのかは、個人の感覚の差にもよるので、線引きは非常に難しいと言えます。
個人の感覚だけでは、なかなか問題も解決できないうえ、更にトラブルが大きくなってしまうことが考えられるため、一般的な騒音の基準値が定められています。
その基準値では、昼間は55デシベル前後、夜間は45デシベル前後とされています。
エアコンの室外機で約40デシベル、大きさにもよりますが洗濯機で約55デシベル、犬の鳴き声は約90デシベルです。
外で様々な音がしている昼間と、周りが静かな夜間では、感じる音の大きさが異なります。
いくら生活音は仕方ないとはいっても、この生活音の大きさと基準値を考えると、やはり音を出す時間帯などには配慮が必要なことがわかります。
どこから来ているかわからないマンションの音トラブルの対処法
早朝や夜遅くに音がしていたり、日中であっても連続して音がしていたりすると、気になってしまいますね。
前述してきたようにマンションは構造上、音が響きやすいため、音がどこから来ているのかがわからない場合があります。
直接、騒音の元と思われる部屋の住人に話しをしに行くと解決できるような気もしてしまいますが、これはトラブルを大きくしてしまったり、解決を長引かせてしまったりする可能性があります。
なぜなら、音の発生源がその部屋だとは限らないからです。
そのため、騒音が気になってしまったら、まず第三者である管理会社に相談することをおすすめします。
相談する際には、どのような音がするのか、音がする時間帯、どのくらいの期間続いているのかを伝えるとスムーズです。
管理会社であっても、音がどこからしているのか、特定するのには時間がかかることもあります。
しかし、マンションの掲示板への貼り紙などで注意を喚起してもらうことはできるので、騒音に対する一定の効果は期待できます。
また、音の発生源が特定された場合も、苦情元を言わずに話しをしてもらえるので、それ以上のトラブルを避けることができます。
マンションで音トラブルを避けるためにできること
マンションでは、音がどこから来ているのかわからないということはお伝えした通りですが、自分が発する音もどこに行っているのかわからないのです。
騒音にならないように、少しでも音を軽減させるために工夫できることはあるのでしょうか。
まず、手を付けやすいのが床にカーペットやラグを敷くことです。
最近では、防音カーペットというものも市販されていて、そういったものを使用すると物を落としてしまう音などを軽減することができます。
また、フローリングで椅子を引く音も、かなり響きます。
椅子の足にカバーを付けたり、床と接する部分に防音シールを貼っておくといった対策が有効です。
足音に関しては、スリッパの裏が柔らかいものにするなどの工夫は効果がありますが、子供が走り回ったり、ジャンプしたりする音はカーペットやマットでは効果がありません。
日頃から挨拶をしたり、子供がいることを話しておくことで、トラブルを避けることができる場合もあります。
掃除機や洗濯機の音も騒音トラブルの原因になることがよくあります。
それは、掃除機や洗濯機そのものが問題になるというよりも、使用する時間帯によることの方がトラブルになりがちです。
洗濯機の場合は、洗濯機の下に防音ゴムを取り付けるという方法もあります。
自分できることはできる限りして、騒音トラブルの原因にならない工夫をすることも、マンションで気持ちよく生活するために重要です。
マンションは音が響きやすく、どこから音が来ているのかがわからない
マンションでよく使われるコンクリートは音を伝えやすいという特徴があります。
また、配管などの空間から響く音は、どこから音が来ているのかがわからないことも多くあります。
マンションで生活をするには、そういった構造を知っておくことも、トラブルを避けるために重要です。
構造を知っておくことに加えて、騒音トラブルは管理会社に相談すること、自分で騒音を軽減する工夫をすることもトラブルを大きくしないために大切です。