境界確定の測量で立会いの依頼を受けた!境界立会いとは?

私たちが普段生活している中で、「境界立会い」という言葉はなかなか聞く機会がありません。

そのため、突然隣家から「境界立会い」を求められると、ほとんどの方が戸惑ってしまいます。

そもそも境界確定の測量において、境界立会いは必要なのでしょうか。

そのような疑問を始め、この記事では、境界立会いの基礎知識や目的、その流れについて詳しくご説明していきます。

境界の測量で必要な境界立会いとは?その目的は?

隣地所有者から聞き馴染みのない「境界立会い」の依頼を受けたとき、多くの場合はその立会いに躊躇してしまいます。

と言うのも、隣家の土地に関して自分は無関係だと思うことが多く、仕事や私用を休んでまで立会う必要はないと考える方も少なくありません。

では、そもそも「境界立会い」とはどのようなもので、何を目的として行うのでしょうか。

まずは、それについて見ていきましょう。

「境界立会い」とは、その土地の筆界を隣接する土地所有者が確認するためのもので、境界確定の測量を行うためには必要な手順と言えます。

筆界とは、地番と地番の境であり、一筆(一つの土地)の範囲を示す「公法上の境界」で、その境界を確定する測量を「境界確定測量」と言います。

境界確定測量においては、この筆界を隣接地所有者同士で確認し合うことで、将来的な境界トラブルを未然に防ぐことができるのです。

つまり、境界立会いは、自分が所有する土地を認識・管理する上では非常に重要な機会と言えます。

境界確定測量は境界立会いが必要!具体的なケースとは?

境界立会いは、境界確定測量を行う際に必要な過程であることが分かりましたが、具体的にはどのようなときに行うのでしょうか。

境界立会いが必要になるケースとしては、主に以下の4つが挙げられます。

①所有地の売買

所有する土地を売買する場合、売買契約の成立条件として、売主は買主に対して売買する土地の「筆界確認書(境界確認書)」を提出する必要があります。

「筆界確認書」とは、隣接する土地の境界において、隣接地所有者の合意を証明した書面です。

つまり、依頼する側としては、境界立会いの不調によって売買契約が不成立になる場合があるため、隣接地所有者の境界立会いは非常に重要な意味を持つことになります。

②土地の分筆登記

「分筆」とは、一筆の土地を複数に分けることを指し、「分筆登記」はそのための登記手続きになります。

分筆された土地には新しく地番が付けられます。

ただし、この分筆登記を行う上では、その土地の境界確定が済んでいることが前提条件となり、筆界確認書と地積測量図が必要になります。

そのため、境界立会いを含めた境界確定測量を行わなければなりません。

③境界フェンスを正しく設置するため

境界フェンスや塀などを設置する際、所有地の境界を明らかにすることで、隣地所有者との境界トラブルを防ぐことができます。

しかし、境界確定がされている場合は、境界立会いが不要になります。

④境界標の復元

境界標は、杭やブロックなどで所有地の境界を示す標で、境界確定測量時に埋められます。

経年劣化で損壊したり、ズレが生じたりしているケースでは、必ず家屋調査士や境界立会いのもとに境界標を復元する必要があります。

以上のように、境界立会いは様々なケースによって求められることがあります。

上記のことを踏まえれば、境界立会いは決して他人事ではなく、自分が依頼する立場になることもあるのです。

境界確定測量における境界立会いの流れ

前項では、境界確定測量の立会いが必要となるケースについて見てきました。

では次に、境界立会いの実際の流れについて、依頼された側の視点でご説明していきましょう。

①境界立会いの依頼がある

電話、訪問、郵便のいずれかの方法で境界立会いの依頼があります。

仕事などの予定がある場合は、日時の変更をしてもらうこともできます。

②境界立会い当日までにしておくこと

境界立会い当日までに、自分の所有地の境界が分かる図面書類を用意しておきましょう。

手元になければ、法務局で測量図を入手することができます。

また、所有地の境界標も確認しておきましょう。

③当日

依頼者、土地家屋調査士、そして依頼を受けた隣地所有者で境界立会いが行われます。

測量や書類調査をもとに、確定された境界点が提示され、お互いの土地境界に相違がなければ立会いは合意で成立します。

ただし、自分が納得できない境界であれば合意する必要はないので、遠慮なく意見を述べましょう。

④書面交換

お互いに筆界確認書を取り交わします。

筆界確認書は大切に保管しておきましょう。

以上が境界立会いの流れになります。

境界立会いは10~20分ほどで終わりますが、将来的な境界トラブルを防ぐためにも、分からない点はしっかりと質問し、納得のいく立会いをしましょう。

境界立会いを依頼されたら?その心構え

前項では、境界確定測量における境界立会いの流れについて、おおまかにご説明してきました。

初めての境界立会いでは、どうすれば良いのか戸惑うこともありますが、せっかくの境界を見直す機会なので、当事者の一人として境界立会いに臨むのが良いでしょう。

境界立会いを依頼された側としては、立会いの心構えとして、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

①土地家屋調査士の名前の確認

境界測量を行った土地家屋調査士の名前をよく確認しておきましょう。

②境界をよく確認する

提示された境界の根拠について、土地家屋調査士の話をよく聞いておきましょう。

また、境界標がズレていないか、自分が所持する図面と整合しているかどうかも、土地家屋調査士によく確認しておくことが大切です。

境界塀の位置などを踏まえ、自分の所有する土地境界を具体的に主張し、隣地所有者と確認し合いましょう。

③署名、押印をした場合は、その写しを求める

確認承認の証として、境界立会いの最後に署名・押印をする場合があります。

その際は、その写しを隣接地所有者からもらい、今後の境界トラブルを防止するために保管しておきましょう。

境界立会いが不成立に終わることも!納得できる立会いを

境界確定測量における境界立会いでは、多くの場合が何事もなく合意に終わります。

しかしながら、前述したように、境界確定測量における境界立会いでは、仮に納得できない境界が提示されれば、立会人は必ずしも合意する必要はないため、立会い不成立で終わるケースもあります。

もし仮に、自分と隣地所有者の境界に相違がある場合は、自分の主張する境界について、プロである土地家屋調査士に判断してもらうのが良いでしょう。

隣地所有者が依頼する土地家屋調査士だからと信用できない方もいるかもしれませんが、土地家屋調査士は常に公平中立の立場です。

しかし、それでも相手の土地家屋調査士では不安がある場合は、自分で他の土地家屋調査士に依頼する方法もあります。

当然依頼する費用はかかってきますが、より納得のいく確実な境界確定ができるはずです。

また、境界問題相談センターという窓口も各地にあるため、不安のある方は相談してみるも良いでしょう。

近年増える境界立会い拒否トラブルとは

これまでに、境界確定測量における境界立会いについて、立会いの依頼を受けた側の視点でご説明してきました。

境界立会いでは、双方の境界主張に相違があるために、立会い不成立で終わる場合もありますが、近年では境界立会い拒否のトラブルも増えてきています。

この立会い自体の拒否トラブルには、大きな背景として隣接地所有者との不仲が挙げられます。

例えば、隣家の騒音問題や木枝の越境、社会的なマナーが悪かったりなど、様々な理由で境界立会いの依頼を拒否するケースがあります。

つまり、境界確定測量を行う上では隣接地所有者との関係が大切となるのです。

境界立会いは自分が依頼する可能性もあるため、隣地への依頼・協力はお互い様です。

隣接地所有者との関係を良好なものにできていれば、このようなトラブルもなく円滑な境界立会いができますね。

境界立会いで所有地の境界を再認識しよう

境界立会いは、境界を明確にする上では必ず必要になる作業です。

そのため、立会いの依頼を受けたことを機に自分の所有地を見直すことができ、今後の境界トラブルを防ぐことにも繋がります。

自分の財産でもある土地の境界を再認識するために、当事者の一人として境界立会いに臨みましょう。