アパート経営で考慮すべき点は沢山あります。
相場に合わせた家賃や、管理費の設定はもちろんですが、その他にもペットに関することなどの、入居者に守って貰う決まりが必要になります。
騒音問題もそのひとつで、たとえば音楽をスピーカーで聴く場合、何時まで認めるのかを決定しなければなりません。
そうしないと、住民同士のトラブルに発展しかねないからです。
では、何時まで認めるのがよいのでしょうか。
アパートに入居する平均的な家族は何時まで起きてる?
アパートに入居する人たちで多いのは、学生や若い社会人、あるいは家族ではないでしょうか。
ある調査によると、若い世代がパソコンやスマホを操作する最終時間は、深夜0時を超えるそうです。
また、社会人が帰宅する時間は19時を過ぎ、就寝はやはり0時頃だという結果もでています。
これを見る限りは、夜22時くらいまでなら音楽をスピーカーで聴いてもよさそうです。
しかし、もし隣人が家族なら、小さいお子さんがいることになるので就寝も早くなります。
その場合、22時まで音楽を聴くのは遅いと言わざるを得ないでしょう。
一般的に集合住宅では、夜21時を過ぎたら騒音になりうる音を控えるという決まりにしているオーナーが多いのです。
これは音楽に限らず、たとえば洗濯機の使用であるとか、テレビのボリュームであるとか、いろいろな音についても同様です。
所有するアパートだけが、何時までも音楽をかけているようだと、周りの住民からクレームがくる可能性があります。
そういった点を考えると、音楽をスピーカーで聴いてもいいのは、遅くとも一般的な21時までにするのが賢明でしょう。
アパートでの音楽が騒音レベル的に許されるのは何時まで?
音の大きさはdb(デシベル)で表します。
たとえば、テレビの音は1mの距離で60db、ピアノの音は1mで80dbだと言われています。
60db以上でうるさいと感じ、80dbを超えるとうるさくて我慢できないとなります。
普通の音で40dbから50db、静かな音は30db以下です。
50dbの音としては、家庭用クーラーの室外機や、換気扇が挙げられます。
30dbは、ささやき声や郊外の深夜レベルの静かさです。
これをみると、21時前でも60db以上の音は周りの迷惑になることが分かります。
音楽をスピーカーで聴くことはかなりの騒音になる可能性があります。
それを考えると、21時でも遅いとクレームがくるかもしれません。
また、何時まで大丈夫かという問題には、周りの環境も関係します。
繁華街に近いアパートなら、ある程度の音楽も大丈夫でしょうが、住宅地の真ん中にあるアパートでは、騒音に対しては特に気を付けるべきでしょう。
周りの住民に悪い印象を与えると、借り手がなかなか見つからなかったりもします。
しかし、音楽を遅くまで聴きたいという借り手もいます。
その場合も考えて、入居案内に「ヘッドフォンを使用するようにしましょう」とか、「極力小さい音で聴くようにしましょう」といったことを、あらかじめ記載しておくのがよいでしょう。
アパートでの騒音トラブルには音楽以外にこんなものも!
アパートを舞台にした騒音トラブルは、音楽鑑賞だけではありません。
騒音になりそうな生活音は何時まで可能か、入居案内に明記する必要があります。
意外と多いのが、上階の足音に関するトラブルです。
たとえ小さな子供でも、どたばた走り回ったらかなりの騒音となります。
また、ルームランナーやダイエット器具を使用した運動も、階下の住民にとっては騒音となる可能性があります。
テレビゲームはもちろん、普通のテレビの音声も、夜には控えてもらう必要があります。
こういった音は、ケースバイケースでいろいろな問題を引き起こします。
そのケースをすべて入居案内に記載するわけにもいかないので、大まかな決まりごとを決めておきましょう。
たとえば、「21時以降は特に生活音に気を使いましょう」とか、もう少し具体的に、「洗濯や音楽鑑賞は21時までにしましょう」などと記載をするのです。
そうしておけば、後からトラブルになった時に対処をしやすくなります。
ただし、あまり厳しくすると入居者がいなくなる可能性がでてきます。
入居者の希望とのバランスを考え、判断することが大事です。
アパートに施す防音対策について知っておこう!
もしアパートを新築するなら、音楽鑑賞は何時までと決めるとともに、あらかじめある程度の防音対策を施しておくと、騒音トラブルを減らせます。
まず床はフローリングではなく、防音カーペットを採用してみましょう。
全ての部屋を防音カーペットにできるならよいのですが、そうもいかない時には、居間だけでも防音カーペットにするのがよいでしょう。
居間以外の場所では、それほどに騒音が出ないからです。
また、床以外で音が侵入してくる場所としては窓があるので、窓に対する防音も大事になってきます。
窓の防音というと、二重窓がおすすめになります。
二重窓は防音だけではなく、防犯や結露対策としても有効です。
予算があるのなら、二重窓はとてもよい選択肢となるのです。
壁に関しては、防音パネルや吸音パネルを張り付けるという方法があります。
断熱と防音の両方の機能があるパネルは、値段が高くなりますが効果的です。
こういった防音処置を施した新築アパートなら、宣伝広告に防音対策済みと載せられるので集客効果も見込めます。
アパートの騒音で苦情が来た時の対処方法とは
どんなに入居案内に騒音についての決まりごとを記載をしても、騒音トラブルは起きる可能性があります。
もし所有するアパートで騒音トラブルが発生し、住民から対処を求められたらどうすればよいのでしょうか。
最初から強く注意をすると逆効果になることがあります。
最悪の場合、深刻な事件になるかもしれません。
もし重大な事件に発展したなら、部屋の借り手がつかなくこともあります。
そういった事態を避けるためにも、最初は穏やかに注意するぐらいに留めましょう。
騒音トラブルにもいろいろあるので、原因について個別に対処するしかありません。
たとえば足音がうるさいのなら、厚いスリッパを使用してもらうなどの方法があります。
また、ルームランナーの使用音が気になると相談された場合には、消音マットを設置してもらいましょう。
こうしたアドバイスをする際には、極力感情を荒立てずに対応することが大事です。
入居者同士が気持ちよく生活することができるように、お互いの話をしっかりと聞き、穏やかに接しましょう。
また、音楽を何時まで聴いてよいのかをあらかじめ決めておけば、音楽鑑賞トラブルを少なく抑えることができます。
そうした準備が、とても重要になるのです。
何時までも音楽を聴いている住民を立ち退かせることは可能?
もしも「アパートでの音楽鑑賞は何時まで」という決まりごとを無視して音楽を聴き、近隣住民とトラブルになった部屋の借り手がいる場合、立ち退きを迫ることは可能なのでしょうか。
アパートに限らず、借地借家法によって部屋の借り手は保護されています。
この法律はかなり強い効力を発揮するので、そう簡単には借り手を立ち退かせることはできません。
かといって、放置するだけではまたトラブルになって、アパートの評判を下げるだけになってしまいます。
もしも立ち退かせる場合には、正当な理由が必要になります。
そのためには、具体的な迷惑行為の回数や日時、迷惑度などの記録が必要になります。
現実問題として、オーナーがすべての情報を集めるのは困難なので、ある程度のクレーム案件をまとめ、話し合いに持ち込むのが先決です。
その話し合いにおいて、迷惑行為をやめることになれば一時様子をみましょう。
もし話し合いにも応じず、迷惑行為をやめることがないなら、立ち退き料を払ってでも立ち退いてもらいましょう。
ただ、立ち退き料金に関しては明確な基準がないため、専門家に任せるのが賢明です。
アパートのオーナーとして毅然とした態度が必要
音楽鑑賞にとどまらず、生活音から生じる騒音トラブルを防ぐには、入居時の契約が大事です。
たとえば、借り手との契約を「定期借家契約」にするという方法もあります。
そうすれば、最初にアパートの決まり事を明確にしておいて、どうしても守らない場合、契約期限が終了したら再契約を拒否できます。
契約時にそのことを伝え、毅然とした態度で臨むことが肝心です。