アパートの「賃貸契約書」はきちんと管理をしていますか。
退去時まで大事に保管しておかなければいけない重要書類ですが、紛失してしまったという方もときどきいらっしゃいます。
まずは、賃貸契約書がどのようなものなのかを再認識していきましょう。
その上で、紛失してしまった場合にどうなってしまうのか、また、その対処法についてお伝えします。
アパートの賃貸契約書は何のためにある?
アパートを借りる際、契約の段階で手渡される「賃貸契約書」。
賃貸契約書とは、「一体どのようなもので」「何のためにあるのか」をまずご説明します。
賃貸契約書とは、文字のとおり賃貸物件に入居する上で「契約書」の役割を果たすものです。
貸主と借主の双方の権利と義務の内容を明確にすることを目的として、あらかじめ条件などを細かく記載し、書面にしています。
そして、貸主と借主が1通ずつ保持することになります。
重要な書類のひとつであることは間違いありませんが、何より、トラブルや疑問が発生したときに役立つでしょう。
もちろん、退去するまで大切に管理するべきものなのですが、紛失してしまったという声も少なからず耳にします。
賃貸契約書にはどのようなことが記載されているものなのか、次項で詳しく見てみましょう。
賃貸契約書に記載してある内容とは?
アパートの賃貸契約書にはたくさんの事柄が記載されていますが、主にどのような内容であるのか見てみましょう。
■物件の情報
名称・所在地・構造・階数・号室・広さが記載されています。
■契約期間と契約更新について
物件の契約期間や更新手続きについて詳しく記載されています。
■賃料・管理費・共益費の支払いや滞納について
支払い方法や滞納した場合の遅延利息などが記載されています。
■設備について
物件についている設備(トイレ・浴室・エアコンなど)について記載されています。
■敷金について
敷金の金額や、退去時の精算について記載されています。
■禁止事項について
例えば、ペットの飼育、楽器演奏、同居人不可など、物件のルールや禁止事項が記載されています。
■原状回復、損害賠償義務について
原状回復の内容や退去時の修繕費用についての記載がされています。
■契約解除について
「禁止事項を破った場合には退去を命ずる」などといった契約解除に関する事項が記載されています。
■解約について
退去する際は、何日前に連絡するのか、その期日や手続き方法などが詳しく記載されています。
■クリーニング・カギについて
退去時に必ず請求される、クリーニング、鍵の交換などの費用が記載されています。
■特約事項について
例えば、物件の清掃に関する負担を誰がするかなど、貸主側の都合による事項が記載されています。
このような事柄が記載されている賃貸契約書ですが、紛失した場合どのようなケースで困るのでしょうか。
次項でお話しします。
アパートの賃貸契約書を紛失して困るケースとは?
アパートの賃貸契約書を紛失してしまった場合、誰しもが焦るものです。
しかし、賃貸契約書を紛失したからといって、契約が無効になることはありません。
また、退去時に契約書を提示したり、返却するなどの必要もまずありませんので、その点はご安心ください。
しかし、冒頭でも触れた通り、賃貸契約書があればトラブルを未然に防いだり、解決する手段になるのは事実です。
というのも、禁止事項や賃料に関する決まり、原状回復に関する定めなど、トラブルになりがちな項目はたくさんあり、実際にそのような場面に出くわす可能性も大いにあるからです。
そのような場合、契約書の内容を基準に対処していくことになります。
あやふやな認識では、貸主・借主双方の意見が食い違ったりすることもあるので、賃貸契約書は非常に重要な書類になります。
では、紛失してしまった場合には、どのように対処したら良いのでしょうか。
紛失した賃貸契約書は再発行してもらえる?
アパートの賃貸契約書を紛失してしまった場合、賃貸契約書の再発行という手段が頭をよぎるかもしれません。
しかし、これは少し難しいということを覚えておきましょう。
賃貸契約書を再発行するということは、もう一度署名・押印をしなおす必要があります。
さらに、再発行をすると発行日が紛失した契約書と異なり、本契約の内容を正確に証明できなくなってしまいます。
また、紛失した契約書と同じ日付で再発行した場合、貸主側が持っている「契約書A」と借主側が再発行した「契約書A’」の内容が少しでも違っていたら、どちらの契約書が有効であるか裁判で決着をつけることにもなりかねません。
貸主の立場から考えてみると、手間はかかることはもちろんのこと、再発行することでこのようなリスクを背負うことは避けたいものです。
そのため、再発行に応じてもらえない可能性が高いと認識しておきましょう。
アパートの賃貸契約書を紛失したらコピーをしてもらおう!
前項では、アパートの賃貸契約書を紛失してしまった場合、再発行はしてもらえない可能性が高いとお伝えしました。
では、どのような手段をとったら良いのでしょうか。
これまでにもお伝えした通り、原本を紛失しても契約は有効なため、アパートを退去しなくてはいけないなどということはありません。
だからと言って、紛失してしまったまま放っておくのはあまり良い判断とは言えません。
契約書には、賃貸契約の条件などが細かく記載されているので、トラブルを未然に防ぐためにも手元にあった方が安心です。
そのため、貸主側である管理会社や不動産会社が持っている契約書をコピーしてもらうことをおすすめします。
貸主側にとっても賃貸契約書は重要な書類であるため、厳重に保管をしてくれているはずです。
紛失してしまった事情を伝えれば、よっぽど問題のある入居者でない限り、コピーに応じてくれるでしょう。
賃貸契約書を紛失!原本が必要な場合はどんなとき?
アパートの賃貸契約書を紛失してしまった場合には、貸主が保管している契約書をコピーしてもらい、手元に置いておくことをおすすめしました。
大抵の場合、このような対処法で困ることはほぼありません。
とはいうものの、まれに賃貸契約書の「原本」が必要になる事例もありますのでお伝えしておきます。
●これから新たな事業を始める方
その事業に役所などの許可が必要となる場合、ほとんどの場合で契約書のコピーでは代用できず、原本の提示を求められることになります。
そのため、紛失してしまった場合には、許可がとれないということになります。
●保証金の預かり証が契約書に綴られている
保証金の預かり証が契約書にホッチキス止めをされていたり、一緒になっているケースもあります。
紛失してしまうと返還の際にトラブルになってしまう可能性もあります。
●家賃補助を受ける
会社の家賃補助を受ける場合、その申請に賃貸契約書の原本を求められることもあります。
原本を紛失してしまった場合には、コピーで代用できるか確認しましょう。
賃貸契約書は大切に保管しよう
賃貸契約書がどのようなものであるか、また、紛失してしまった場合の対処法をご説明しました。
紛失してしまっても、契約が解除されるなどということはないにしても、賃貸契約書をきちんと管理しておけば、いざというときにとても安心です。
また、新たな事業を始めようとする場合など、原本が必要になる場合も少なからずあります。
いつ何があり必要になるか分からないので、退去の日まで、大切に保管をしましょう。