アパートの賃貸契約を結ぶ際、保証人が必要になるケースがほとんどです。
しかし、中にはさまざまな事情で保証人がいないという方もいらっしゃることでしょう。
保証人がいない場合、アパートはどう契約したらいいのでしょうか?
ここでくわしく解説していきます。
アパートの契約にはなぜ保証人が必要?
アパートの賃貸契約を締結する際、保証人が必要になるケースがほとんどです。
そもそも、アパートを借りるのにどうして保証人が必要なのでしょうか。
アパートを借りると家賃の支払いの義務が生じます。
しかし、その家賃を滞納すると、そのアパートの所有者である大家さんや不動産会社の家賃収入がなくなるということになります。
このようなことがあった場合に、家賃分の補填をしてもらうことが目的で保証人が必要となるのです。
さらに、アパートの賃貸契約の場合、契約者の親が保証人になるのが一般的です。
ですから、大家さんや不動産会社としては「最終的に親御さんが保証してくれるから安心」となるわけですね。
ただし、だれでも保証人になれるわけではありません。
基本的には、
・契約者より年収が多い
・年齢が65歳未満
という条件があります。
しかし、中には保証人になってくれるような人がいないというケースもあります。
この場合、アパートはどう契約したらいいのでしょうか。
保証人になってくれるような人がいない場合のアパートの契約については改めて後述しますが、ここでいう「保証人」についてもう少し掘り下げていきましょう。
保証人と連帯保証人の違いは?①
アパートの賃貸契約を行う際は保証人が必要になるケースが多いですが、よく聞く「保証人」と「連帯保証人」の違いは何なのでしょうか。
実は、保証人と連帯保証人はまったく違います。
まず、保証人は下記のような三つの権利を有しています。
●催告の抗弁権
契約者が家賃を支払っていない状況で保証人が大家さんや不動産会社から家賃の返済などを求められたとき、その支払いを拒否できる権利です。
保証人は大家さんや不動産会社に、契約者に請求すべきと主張することができます。
●検索の抗弁権
保証人が大家さんや不動産会社から家賃の返済などを求められたとき、契約者に他の財産があるならそこから支払うべきと主張することができます。
●分別の抗弁権
保証人が複数いる場合、家賃未払いの合計額を保証人の人数で割った金額のみ支払いの義務が発生します。
これらの権利は、民法で定められています。
しかし、連帯保証人にはこのような三つの権利がないのです。
つまり、賃貸契約者本人とまったく同じ扱いとなります。
保証人と連帯保証人の違いは?②
もう少し詳しくご説明すると、賃貸契約者本人がお金があるのに家賃を支払わない場合、大家さんや不動産会社は連帯保証人に家賃の請求ができることになります。
そして、連帯保証人はその請求を拒否することが許されません。
アパートなどの賃貸契約を行う場合で保証人が求められる場合は、ほとんどがこの「連帯保証人」です。
大家さんや不動産会社の立場から考えると、家賃収入が途絶えるリスクは避けたいので、契約の条件に連帯保証人が必要なケースが多いということなのです。
連帯保証人には誰でもなれるわけではなく、審査基準を満たす必要があります。
言い換えると、審査基準を満たせば誰でもなることができるのです。
そのため、基本的には連帯保証人になるための基準を設定しているケースが多いです。
よくある基準は、
・契約者の親族であること
・家賃を契約者本人に代わって支払うことになった場合の支払い能力
・すぐに連絡が取れること
つまり、先ほどお話ししたように親御さんが連帯保証人になるケースが多いです。
ただし、契約者の同居人は連帯保証人にはなれません。
ここまで、保証人と連帯保証人の違いをご説明してきましたが、次の項からは保証人がいない場合のアパート契約についてご説明していきます。
(賃貸契約の場合の保証人は「連帯保証人」が多いですが、当記事ではどちらかということにかかわらず、「保証人」で統一してご説明していきます。)
保証人がいない!アパートはどう契約する?
ほとんどのアパートでは保証人が必要になるケースが多いですが、一部、保証人が不要の物件があります。
そのような物件であれば、保証人がいない場合でも審査を通れば契約することが可能です。
保証人をつける場合は、保証人になる人の押印や印鑑証明書、収入の証明書の提出が必要となります。
しかし、保証人不要の物件ではこれらのことも必要がないので、親御さんが他界していたり、保証人を頼めないような事情などがある場合は便利な物件とも言えます。
それでは、保証人不要の物件はどのような仕組みになっているのでしょうか。
一つずつみていきましょう。
●保証人の代わりに保証会社が家賃保証
保証会社に契約料を支払って利用することになります。
保証会社によって契約料の支払い方法は異なり、
・毎月、一定の金額を支払う
・2年間の契約で家賃の一か月分を支払う
・2年間の契約で家賃一か月分の何割か+契約更新時に一定の金額を支払う
などの方法があります。
保証会社はそれにより、保証人の代わりに家賃保証をしてくれるという仕組みです。
●家賃の支払いがクレジットカード
大家さんや不動産会社がクレジットカードで家賃の決済を行ってくれる場合があります。
この場合、保証人がいなくても契約できることがあります。
●UR賃貸
UR賃貸であれば、保証人がいなくても賃貸契約を結ぶことができます。
保証人がいない場合でもアパートの契約ができるケースの注意点
保証人がいない場合でもアパートの契約をできるケースをご紹介しましたが、それぞれ注意点があります。
●保証人の代わりに保証会社が家賃保証する場合
まず、すべての物件が保証会社と契約を結んでいるわけではないので、契約がある物件を探さなくてはなりません。
また、契約者の収入に対して希望物件の家賃がどれぐらいの割合なのか調査されることがあります。
さらに、支払いが滞っていないかということでクレジットカードの支払い状況をチェックされることがあります。
●家賃の支払いがクレジットカードの場合
クレジットカードには利用限度額があります。
家賃は大きな出費ですから、利用限度を超えていないか確認する必要があります。
●UR賃貸の場合
UR賃貸を契約する場合は収入または貯蓄が、ある一定の基準を満たしている必要があります。
保証人がいない場合でも契約できる物件は人気がない!?
先ほどもお話ししたように、アパートなどの賃貸物件の多くは保証人をつけなくてはならないことが多いです。
しかし、物件によっては保証人をつけなくても契約できるケースがあるというのはお分かりいただけたことと思います。
しかしながら、
●保証人の代わりに保証会社が家賃保証をする場合
●家賃の支払いがクレジットカードの場合
●UR賃貸の場合
を除いて、保証人がいなくても契約できる物件があります。
それは「不人気物件」です。
例えば、物件の近くに似たような物件が多くある場合や、立地条件が悪い、事故物件などです。
大家さんや不動産会社にとって空室は避けたいですから、入居のハードルを下げて保証人なしでもOKという条件を物件の付加価値としてつけるのです。
保証人がいない場合でも契約ができるものの、その分何かしらマイナス点があるかもしれないことを頭の片隅に入れておく必要があるでしょう。
保証人がいない場合でもアパートの契約は可能
アパートの賃貸契約を行う際、事情によって保証人がいないということもあります。
しかし、物件によっては保証人がいない場合でも契約できるケースがありますので心配なさらないでください。
ただし、そのような物件はワケあり物件のこともあるので、契約前に必ずチェックするようにしましょう。