不動産投資で節税する!具体例をみて賢く運用しよう

不動産の仲介業者による営業で、不動産投資が節税になるといわれることが多くあります。

不動産投資をするということは、個人事業主になるということでもあり、場合によってはかなりの節税効果も期待できるでしょう。

特に、相続税の節約には不動産投資は心強いものです。

ここでは、不動産投資でどのように節税されるのか、その例をみながら解説していきましょう。

不動産投資と税金の仕組みを知る

不動産投資は、マンションや戸建て住宅、その他の土地などを貸したり売ったりすることで収益を得ます。

仮に個人的な規模で不動産投資を行っていたとしても、これは立派なひとつの事業として扱われるのです。

そのため、不動産投資で得られた収益は所得税として課税されます。

例として、不動産投資で年間100万円の収益を得たと仮定しましょう。

家賃収入などの不動産所得として得られた100万円の利益は、すべて他の所得と合算して税率が計算されます。

給与所得が200万円であれば、年収300万円として税率が約10%で計算されるでしょう。

基本的に所得税は、その年の収入によって税率が設定され、累進課税の法則にのっとり収入が高くなるほど税率も高くなるのです。

税率10%になるのは、年収が195万円超の330万円以下であるため、このケースでは、300万×10%-97,500で202,500万円の所得税が発生します。

この97,500円は基礎控除の部分で、こちらも年収に応じて変動するものです。

株式などへの投資であれば、その収益に関わらず税率は20.315%で決められています。

しかし、賃貸などによる不動産投資は所得に応じて税率が上がっていきます。

このことから、不動産投資はその所得が多ければ多いほど税率が上がるので、株式投資などからみると割高といえるでしょう。

仮に、不動産投資で1億円の利益が出た場合、所得税の税率は45%となります。

さらに、住民税を加えると合計で約5割もの税率になるのです。

所得税の税率は、前年の収益に依存しているため、1億円の利益がでた翌年の収益が思うように上がらなくても高額な税金になるのです。

引退したプロ野球選手などがわかりやすい例でしょう。

節税をしないと、資金繰りで思わぬ負担を強いられることがあります。

そのため、不動産投資でも税金の仕組みを把握しておくことは重要なのです。

なぜ不動産投資で節税できるのか

不動産投資で節税を意識するというのは重要なことですが、節税するために不動産投資を活用するとなるとよくわからないという人もいるかもしれません。

これは、事業において赤字になった場合に所得税を控除できるという仕組みを利用しているのです。

例として、年間の不動産収益が50万円でローンの金利返済部分や諸費用などの経費が100万円と仮定しましょう。

ここでいう不動産収益とは、家賃などによる不動産所得です。

この例では、赤字が50万円になります。

不動産による事業収益はマイナスということです。

この段階で、その年の所得税は控除されるでしょう。

これは、翌年分の国民年金や国民健康保険、住民税などあらゆる税金に影響します。

また、他の所得もある例では、その金額と合算することにより所得税を減額することが可能です。

上記の例でさらに年間200万円の給与があったのであれば、赤字分の50万円を差し引いた分の150万円がその人の年間所得として計算されます。

会社員などで給与をもらっているのであれば、還付金がもらえることもあるでしょう。

サラリーマンが不動産投資で節税できた例

不動産投資で高い節税効果が見込めるのは、高所得のサラリーマンでしょう。

実例としても、所得税を減らすために不動産を所有するように勧める営業マンは多いのです。

サラリーマンであれば、不動産の所有、経営において発生するコストを経費化して、給与と赤字部分を損益通算するという節税手法が使えます。

そのため、不動産事業によるコストをどれだけ適切に経費化できるのかという点が重要です。

経費の具体例として、不動産所有による固定資産税・都市計画税や各種手数料、物件にかかる火災保険や地震保険料、ローンの金利部分などが主なものになります。

他の例としては、不動産投資事業にまつわるセミナー費用や広告費用などです。

これらの経費を計上することで税金の還付が期待できますが、給与との損益通算のためには、不動産投資による所得を青色申告する必要があります。

簡単な帳簿付けだけで済む白色申告では、基礎控除がないだけでなく赤字の繰り越しや他の所得との損益通算もできなくなるのです。

白色申告は特に申請の手続きも必要がないため手軽ですが、節税を考えるのであれば青色申告にしておくことが望ましいでしょう。

節税目的には向かない不動産投資の例

不動産投資は、FXや仮想通貨などの不安定要素の大きい投資に比べると、手堅い投資であるといえます。

扱う金額も大きくなることが多く、収益性は高いでしょう。

しかし、節税をメインとして不動産投資をするのであれば、少し事情が変わります。

例として、年間給与100万円の人が節税目的といって不動産投資を始めた場合、生活資金がこげつくのは明白です。

例えば、月約8万円の低収入では、生活資金もままなりません。

日常生活を支えるのにも困る状況では、節税目的のためと不動産投資を始めるのには無理があります。

節税しようにも、所得自体が少ないからです。

投資資金が生活を圧迫しないようにするには、投資資金を余剰資金でまかなうことでしょう。

これは、給与に比べて割高な不動産を購入することにも同じことがいえます。

不動産の負債が大きすぎては、自分の生活が成り立たないかもしれません。

不動産投資で節税を狙うのは、あくまで余剰資金で税金が増えるのを防ぐ場合になります。

先立つ資金があってこその節税なのです。

相続税を不動産投資で節税した例

不動産投資を節税のために利用するきっかけとなるものに、相続税対策があります。

自分の持っている土地と建物をそのまま家族などに相続すると、多額の相続税が発生します。

しかし、賃貸用など事業用として相続することで、資産の評価額が下がるのです。

例を挙げると、5,000万円の土地に3,000万円かけて賃貸用物件を建てて相続するなどは相続税対策のための不動産投資といえるでしょう。

この場合、5,000万円の土地は事業用のため評価額が下がることに加え、3,000万円の賃貸用住宅をローンで購入することで負債を抱えています。

こうなると、相続税としてカウントされるのは、賃貸用住宅の購入費用をのぞいた価格になるのです。

これは、相続税計算における債務控除にあたります。

住宅用の土地を事業用に変えて相続することで、通常の相続に比べて半分かそれ以上の節税効果があるのです。

他の節税例としては、不動産の専業投資家としてのセミナーなどを開催して集客費用や広告費用として経費計上することで、不動産による利益を圧縮するなどがあります。

ホームページなどを利用して集客する場合は、それにかかる費用も経費計上可能であり、さまざまな角度からの節税が見込めるでしょう。

専業の不動産投資であれば、赤字になるというのは目指すべきではありません。

しっかりと収益をあげながら、最大限節税していくことが望ましいでしょう。

不動産投資の節税に失敗した例

不動産投資で節税をするのであれば、事前に資金計画と経費項目など収益と支出のバランスをしっかり把握しておくことが肝要です。

これらをおざなりにしてしまうと、節税どころか思わぬ損失を招く結果になるかもしれません。

少なくとも、最低限不動産の経営において経費化できるものは知っておくとよいでしょう。

よくある例では、ローンを全額経費に回そうとする人がいますが、ローンは金利部分しか経費計上できません。

物件価格自体は、保有資産として扱われるからです。

また、不動産投資の確定申告で青色申告の申請をしていない例などもあります。

青色申告は、自分から申請することで初めて認められます。

申請をしないと、自動的に白色申告となり、10万円、または65万円の基礎控除を受けられないのです。

そして、赤字分の損益通算もできません。

赤字を繰り越すこともできず、節税効果は半減します。

同じ青色申告でも、事業用と個人用とに口座を分けて資金の流れが明確に証明できないのであれば、65万円の基礎控除を受けることはできないため、日々の帳簿付けはまめに行っておくべきでしょう。

不動産投資で節税するなら副業がおすすめ

節税を狙っての不動産投資は、状況によっては効果的なものです。

相続税対策としての不動産投資などは節税のよい例といえるでしょう。

サラリーマンで給与をもらいながら、不動産投資で損益通算するというのも、賢い節税手法になります。

税金で損をしないためにも、不動産投資と節税の仕組みについて理解を深めておきましょう。