世帯主とは何か、よく知らないという方もいらっしゃるかもしれません。
アパートの契約者になって一人暮らしをすると、「自分が世帯主になった」と思う方もいるかと思いますし、恋人と同棲する際に「誰が世帯主?」と迷うこともあるでしょう。
アパート契約と世帯主との関係についてご説明していきますので、参考にしてください。
アパートの契約者=世帯主?
アパートやマンションの契約者になったからといって、世帯主ということには結び付きません。
世帯主とは、「世帯の中心人物として世帯から報告された人」を指します。
住民票に世帯主として名前が書かれていることを確認すれば、誰が世帯主なのかハッキリします。
実家から離れて一人暮らしをする場合でも、アパート契約と同時に世帯が分離することはないのです。
住民票を新住所に移していなければ、アパートの契約者となったとしても、実家の世帯員のままです。
また、同じ住まいに住んでいて住所が同じでも、生計も住民票も別なら世帯は同じではなく、世帯主はそれぞれの世帯に存在します。
二世帯住宅やシェアハウスをイメージすると、理解しやすいかもしれませんね。
同居すると世帯が同じになるというのでは、おそらくシェアハウスは運営できないと考えられます。
あくまでも「世帯主は住民票が基準」と覚えればいいでしょう。
アパートの世帯主は契約者とは限らない
一人暮らしで誰が世帯主になるかは、アパートの契約者とは関係なく、住民票次第だとお伝えしました。
先述の通り、住民票が実家のままなら、実家の世帯主がアパートの世帯主と同一です。
「実家から出て自立している」と思っていても、世帯主になっていない場合があるのです。
しかし、単身赴任や大学進学などで、「いつかは実家に戻る」と考えている場合には、無理に移す必要はありません。
公的な書類の世帯主欄には実家の世帯主を書き、続柄として自分のことを「長男」「次女」「妻」などのように書けばいいでしょう。
一方、住民票をアパートの住所に移す場合には、世帯主になることができます。
公的な書類を提出する際にも、世帯主欄には自分自身の名前を書くことが必要です。
では、恋人や友人、仕事仲間と同居する場合はどうでしょうか。
さまざまなケースを考えつつ、次項からご説明していきます。
一つのアパートに世帯主が2人以上でもOK?
恋人と一つのアパートに同棲する場合、世帯主となるのは「どちらか片方だけ」と決まったわけではありません。
二人とも世帯主になることができます。
双方とも別に住民票を作り、それぞれが世帯主になる一番のメリットは、職場に同棲していることが知られないという点です。
仕事で公的な書類を提出する際に、世帯主欄に彼氏・彼女の名前があると、同居していることが分かってしまいます。
しかし、二人で世帯主になれば、それぞれ「本人」と書くことができます。
二人とも仕事をしていて、生計が別という場合もありますし、必ずしも結婚を考えているわけではないカップルもいますので、こうした形が選ばれることもあります。
注意するべきなのは、不動産会社には「同居する」ということを、事前に連絡・相談しなければいけないことです。
賃貸物件によっては、入居者数に制限がある場合もあります。
二人入居不可の物件なのに勝手に同棲をはじめてしまうと契約違反ということになり、契約者の責任が問われます。
それによって退去となることも考えられます。
不動産会社に連絡して同居が認められれば、二人分の住民票を出すことで契約が認められます。
「世帯主がどちらか片方」の同居スタイル
契約者も、そうでない方も二人とも住民票を移さずに、どちらか一人が世帯主となる場合もあるでしょう。
一人だけ住民票を移し、もう一人は実家の住民票のままということです。
実家とアパートが近く、頻繁に行き来する状態であれば、こうした形で住むこともあるのではないでしょうか。
このケースでも、主に住んでいる生活の拠点が実家ではなくアパートであれば、不動産会社に連絡するほうがいいでしょう。
このような同居の形なら、世帯主となったほうは公的書類に「本人」と書き、住民票が実家のままの方は実家の世帯主を書いてから、続柄を記入します。
一緒に暮らしているからといって、住民票をともにしていないパートナーを世帯主にして自分の続柄を書くことはできません。
このケースには注意点があります。
当たり前のことですが、実家の世帯のままで、実家とアパートの管轄が別の自治体だとすると、住民税などを納めるところが違ってきます。
同棲する期間が長いと不便に感じることになると思いますので、やはり生活の拠点となるところに住民票も移したほうがいいかもしれません。
住民票を一緒にするメリット
次に、未婚の夫(妻)、もしくは「同居人」として、住民票を二人一緒にするケースをご紹介します。
結婚していないとしても、住民票を同じくすることはできます。
アパートの世帯主をどちらかに決めて、もう一人は未婚の夫(妻)、もしくは同居人という風に届け出ます。
契約者が世帯主になるケースが多いでしょう。
公的書類を作成する際には、世帯主は同居人を書き、自分を「未婚の妻」「同居人」と書くようになります。
もし結婚して世帯を作り、その後離婚して実家に戻ってきたという場合でも、同じ住民票に入ることは可能です。
このメリットとしては、「扶養に入れる」ということや、「同居している人の住民票を取ることができるようになる」という点が挙げられます。
とはいえ、同棲しているカップルに別れる可能性があることを考えるとデメリットもあります。
一度相手の住民票に入ると、同棲を解消しても住民票に名前が残ってしまう場合があります。
別れて引っ越した先が同じ市区町村なら、住民票に元パートナーや元同居人の名前が残るということに注意が必要です。
転居しても同じ市区町村の場合には、住民票に上書きされていくということです。
アパートの契約者には責任がある
恋人や友人、仕事仲間と同居する場合、生活の中心となるアパートに住民票を移すことをおすすめしました。
契約者は、必ずはじめに目を通した契約内容を確認し、早めに不動産会社に連絡しましょう。
外国人労働者などで日本語が分からず、契約内容を理解しないまま住んでいると、母国から許可なく友人や家族を呼んで住み始めてしまうこともあるようです。
しかし、一人暮らし用の物件なのに勝手に同居しはじめたり、人数に制限がない物件でも大人数で住んでしまうということは、契約違反として厳しく注意されることになるでしょう。
賃貸契約を結んだという意識を持って、何かあれば貸主に相談しながら住むことをおすすめします。
同居をはじめる前に事前に不動産会社の許可を取り、どのような形で一緒に住むのか、同居する相手と相談することも大切です。
もし住民票を一緒にするなら、収入が多いほうを世帯主とすることが多いでしょう。
「世帯主は男性(女性)でなくてはいけない」という性別による縛りもありませんので、今後のことやお金のことなどを、よく話し合って決めることをおすすめします。
アパートの契約者が世帯主になるわけではない
アパートの契約で自動的に世帯主になれるのではない、ということを理解していただけたでしょうか。
実家から住民票を移さなければ、いつまでも実家の世帯員のままなのです。
同居する際には、実家から離れていて生活の拠点がアパートなら、住民票はそこに移したほうが便利でしょう。
ちなみに、結婚しても世帯主を別々にしておくことはできます。
夫婦それぞれに収入があって生計を異にする場合には、世帯を別にしておくこともできます。