「インフレ」と「デフレ」の違いはなに?どっちがいいの?

「インフレ」と「デフレ」にどんな印象を持っていますか?

なんとなく、「インフレ」は良くて、「デフレ」は悪いイメージを持たれている方も多いと思います。

それは、本当なのでしょうか?

「インフレとデフレはどっちがいいのか?」という議論は、時代を超え、繰り返し行われています。

今回は、そんな「インフレ」と「デフレ」について、ご紹介していきましょう。

「インフレ」と「デフレ」の違いを知ろう!

「インフレとデフレはどっちがいいのか?」という議論の前に、まずはインフレとデフレについて見ていきましょう。

インフレとは、インフレーションの略で「物価が高くなること」を言います。

一見、物価が高くなるのは、良くないことのように思いますが、景気が良いと物価は徐々に上がっていくので、「物価上昇=景気良好」とも言えます。

インフレの仕組みは、次の通りです。

消費者による商品やサービスの需要が増える

商品やサービスが売れるので値上げをする

値上げをすると企業がより儲かるので給料が増える

給料が増えたので商品やサービスを購入する

この繰り返しがインフレです。

この仕組みがほどよく繰り返されていれば、景気が良い状態だと言えるでしょう。

一方デフレは、「デフレーション」の略で、インフレの反対に「物価が下がること」です。

つまりインフレとは逆の現象が起こります。

消費者による商品やサービスの需要が減る

商品やサービスが売れないので値下げをする

値下げをすると企業が儲からないので給料が減る

給料が減ったので商品やサービスを購入しなくなる

この繰り返しがデフレです。

「インフレ」は良くて「デフレ」は悪いは本当?

インフレとデフレの仕組みがわかると、物価は高いが給料も高いインフレが良くて、物価は安いが給料も安いデフレは、悪いように感じるかもしれません。

しかし、インフレは違った見方をすれば、「お金の価値が下がった」とも言えるのです。

例えば、1965年に1,000円あれば、Aという商品が4つ買えたとします。

では、2015年ではいくつ買えるでしょう?

1965年以降、日本は繁栄し、経済は約4倍に成長したので、2015年ではAを1つしか買えません。

経済は4倍成長しましたが、お金の価値は4分の1になってしまったのです。

このように徐々に物価が上がり、貨幣価値が下がっていくのは適正であり、問題はありません。

しかし、災害や戦争、政府の財政が悪くなるなど、急激な物価の上昇が起こると、貨幣価値が一気に下がり「ハイパーインフレ」になります。

1988年のアルゼンチンでは、1年で物価が5,000倍になる「ハイパーインフレ」が起こり、トイレットペーパーを1つ買うよりもお札の枚数の方が多いという、信じられないような事態が起こってしまいました。

このようなことを目の当たりにすると、「インフレとデフレはどっちがいいの?」と聞かれてもわからなくなりますね。

「インフレ」と「デフレ」どっちがいい?

次は、デフレについて見ていきましょう。

デフレは物価が安いという特徴があります。

物価が安いのはうれしいのですが、その分給料も安いですし、場合によっては減ってしまうこともあるでしょう。

前述したように、給料が安いので消費者は「商品を買わない」または「商品が買えない」という状況になり、商品が売れなければ企業の業績が下がり、給料も下がります。

このような悪循環を「デフレスパイラル」と呼びます。

この「デフレスパイラル」は、消費者が商品をたくさん購入すれば解決するのですが、給料が安いのでなかなか上手くはいきません。

例えば、企業が頑張って給料を上げても、消費者が商品を買わずに貯金してしまうと、消費が進まず状況は悪化してしまうのです。

こうして、社会全体で見てみると、デフレよりも、適正なインフレの方が望ましく感じますね。

では、わたしたちが生活する上で「インフレとデフレはどっちがいいのか?」について見ていきましょう。

「インフレとデフレはどっちがいいのか?」メリット編

それでは、わたしたちの生活レベルでのインフレとデフレについて、そのメリットデメリットを見てみましょう。

まずは、メリットです。

【インフレのメリット】

1.景気が良くなる

2.給料が上がる

3.就職率が上昇し失業率が下落する

4.外国人観光客が増加する

1と2については、前述した通りですが、3と4について少しご説明しましょう。

3の「就職率が上昇し失業率が下落する」は、商品やサービスにお金を払う人が多くなると、企業は商品をたくさん作り、より良いサービスを提供し、売上を伸ばそうとします。

そのためには、今以上の人員が必要なので、企業は雇用に積極的になり、就職率が上がります。

4の「外国人観光客が増加する」は、インフレで円の価値が下がり、「円安」になり、海外の人が来日しやすくなるのです。

例えば、1ドル100円だったレートが、1ドル110円になると、同じ1ドルで110円分の買い物をすることができるので、円安になればなるほど来日しやすくなります。

【デフレのメリット】

1.物価が安くなる

2.外国に行きやすくなる

インフレのメリットの反対で「円高」になり、少ない日本円で多くの海外通貨に両替できるので、海外旅行に行きやすくなります。

例えば、1ドル100円のレートでは、800円を両替すると8ドルにしかなりませんが、1ドル80円のレートでは、800円で10ドル手にすることができるのです。

このようにメリットを見てみると、「インフレとデフレはどっちがいいのか?」という議論は、インフレに軍配が上がりそうですね。

「インフレとデフレはどっちがいいのか?」デメリット編

次に、インフレとデフレのデメリットを見てみましょう。

【インフレのデメリット】

1.物価が上がる

2.ハイパーインフレの恐れがある

1の物価が上がるについては、インフレのメリットで挙げた「給料が上がる」と合わせると相殺される事柄です。

また、適正なインフレでないと、ハイパーインフレになることは前述した通りです。

【デフレのデメリット】

1.給料が減る

2.就職難になる

3.格差が広がりやすい

2の「就職難になる」は、消費が減れば商品が売れなくなり、企業は利益を上げられなくなるので、新しい人員を増やすどころか、人員削減をすることにもなりかねません。

3の「格差が広がりやすい」は、デフレは貨幣価値が上がるので、お金持ちはただ金を持っているだけで、その価値が自然と上がっていきます。

反対にお金を持っていない人は、価値の上がってしまったお金を手に入れることが難しくなるのです。

こうして、インフレとデフレのメリットデメリットを知れば知るほど、「インフレとデフレはどっちがいいのか?」という議論の答えは、インフレの方が良く、デフレが悪いと結論付けられそうです。

資産運用で考える「インフレとデフレはどっちがいい?」

これまで、わたしたちの生活レベルで「インフレとデフレはどっちがいいのか?」か、ということを見てきました。

最後に資産運用から見た、インフレとデフレについてご紹介しましょう。

・株価:インフレ=上昇 デフレ=下落
・金利:インフレ=上昇 デフレ=下落
・為替:インフレ=円安 デフレ=円高
・貨幣:インフレ=下落 デフレ=上昇

インフレのとき、商品やサービスの需要が上がり、物価も上がるので、株価や金利も上昇して、為替は円安へと向かいます。

一方で、現金や預貯金などの貨幣価値は下がります。

反対にデフレのときは物価が安くなり、株価や金利も下がるので、為替は円高へ進み、貨幣価値は上がります。

このように、インフレやデフレによって、貨幣価値が変わるので、その特徴を活かせば、資産運用で貯蓄を増やすことができるのです。

【インフレの資産運用】

現金や預貯金などの貨幣価値は下がるので、株式、不動産、金、外貨などの分散投資がおすすめです。

物価の上昇よりも高い利回りを目指しましょう。

【デフレの資産運用】

株価や金利は下がりますが、現金や預貯金などの貨幣価値は上がります。

そのため、現金や預貯金などで資産を持っている方がリスクが少なくなります。

また、投資をする場合は、リスクの少ない個人向け国債や、低リスク低リターンの高格付け社債がおすすめです。

「インフレとデフレはどっちがいいのか?」議論の行方

「インフレとデフレはどっちがいいのか?」という議論は、ずっと続いてきました。

今回の記事でおわかりのように、見方によって一長一短です。

そのときどきの自分の置かれている状況も大きく影響してきます。

議論の行方はわかりませんし、結論は出せないでしょう。

インフレとデフレのそれぞれの特徴を理解して、資産運用などに活かして賢く乗り切りましょう。