ある日突然に、大家からアパートの家賃の値上げを通知されたらどうしますか。
実際に経験された方の多くは、突然のことだけにただ戸惑い疑問を抱いたまま受け入れたという意見が多くありました。
現在賃貸にお住いの方ならば、いつ自分の身に起こり得るかわからないことですよね。
いざというとき、冷静に対処できるよう、家賃値上げを通知されたときに対するある程度の知識をここで身に着けておきましょう。
アパートの家賃が値上がり!賃料増減額請求とは?
すぐには受け入れがたいアパートの家賃の値上げですが、もちろん大家の勝手な気持ちで行っているわけではありません。
そこには賃料増減額請求と呼ばれる条文が存在します。
まずは、その賃料増減額請求の内容を確認してみましょう。
〇租税等、負担の増減
土地や建物に対する租税等の増減によって、土地・建物の価格が変動したとき、現在の賃料が不相当となった場合
〇経済事情の変動
経済事情の変動によって、現在の賃料が不相当となった場合
〇付近の物件との比較
付近の類似物件との賃料を比較して不相当となった場合
これらは、借地借家法第32条1項に記載されている内容です。
つまりは、賃貸借契約書に賃料に関する値上げの取り決めをしていなくても、いずれかの条件を満たした場合には、家賃の値上げは請求できるということになります。
いきなり通知を受けると動揺してしまいがちですが、このようにきちんとした法的な理由があるのです。
借主もこのような法的な賃料の値上げに関する理由を知っておくと、いざというときに動揺することも少ないでしょう。
アパートの家賃を値上げしやすい時期は?
前項のような条件に当てはまっていれば、基本的にいつ家賃の値上げを通知してもいいことになっています。
それは極端な話、一か月前や10日前でも問題ありません。
しかしながら、実は大家が値上げを言い渡しやすい時期というのがあります。
その通知を受けやすいタイミングと理由を確認していきましょう。
〇更新時期
家賃の値上げの時期として、一番多いのは契約更新時になります。
大家側からしてみても、なるべく住人の方とトラブルにはなりたくないので、この契約更新のタイミングで切り出すパターンがほとんどです。
一般的にアパートの契約期間は2年になります。
もしも更新時期が近付いてきましたら、「増減額請求ができる時期」ということを思い出せるよう、頭の片隅にいれておきましょう。
いざ通知を受けた際にも、心構えがあるだけで違ってきます。
〇アパートのリフォーム
双方にメリットを持たせる意味で、リフォームを行うことを条件に家賃の値上げを通知することもあります。
こちらは、住人側としても理解がしやすい手段ではありますが、リフォームを行う場所が共有スペースや外観などだった場合には理解をしづらいという意見もあるようです。
拒否できる!?アパートの家賃の値上げ!
多くの方にとって家賃は、毎月の固定費の中でも一番に考えるべき出費となってきます。
急にアパートの家賃の値上げを打診されても、すぐには納得できないのが本音ではないでしょうか。
とはいえ、ほとんどの方がきちんと納得できないままに、家賃の値上げを了承せざるを得なかったという意見が多くありました。
しかしながら、どうしても納得がいかない場合には決してすぐに承諾する必要はないのです。
部屋を貸してもらってはいますが、借主側はしっかりと家賃を払っているので、立場としては対等と言えます。
ただし、反対運動のように「断固拒否」の姿勢を取るのとは違います。
まずは、やみくもに拒否するのではなく、理解し合うということを目的に一度話し合いをしてみてはいかがでしょうか。
きちんと双方が意見を出すことができる場を設けることがとても重要です。
また、値上げ請求を保留する際には、気をつけなくてはならないことがありますので、次の項でお伝えします。
家賃の値上げ保留時に気をつけたいこと
大家から家賃の値上げの通知を受け、これから話し合いの場を持つという場合もあるでしょう。
また、話し合ってもなかなかまとまらず、再度話し合いを調整中という場合も考えられます。
このような場合、とりあえず家賃の値上げは保留の状態になります。
そこで注意していただきたいのは、このように保留状態の時も必ず家賃は滞納せずに支払いをすることです。
住み続けている以上、支払うのは最低限のルールです。
もちろん、金額は今までのままの賃料で構いません。
大家と話し合いの場を持つ場合でも、滞納のない状態でなければ対等に話し合いをすることも困難です。
さらに、そのことが原因で話し合いにも支障をきたし、穏便な解決ができなくなる恐れもあります。
そのため、アパートの家賃だけはいかなる場合でも支払うようにしましょう。
専門家のサポートもときには必要!
できれば穏便に話し合いが進み、双方で納得できることが一番の解決策ですが、そうもいかないときがあるかもしれません。
話し合いが長引きこじれてしまうと、もはや話し合うことすら難しくなっていきます。
そんなときには、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
最近は、各地で無料の法律相談などを受けられる日を設けていたり、初回相談料が無料で本格的な相談を受けられる制度もありますので、ぜひ活用してみましょう。
家賃の値上げに関する問題は、意外に専門家が関与したというだけで簡単に解決できてしまうこともあります。
なるべくならば、誰もが大きなトラブルは避けたいものです。
無理にご自身だけで解決しようとせず、問題が大きくなりすぎる前に相談することも、早期解決へつながる方法と言えます。
また、このように専門家のサポートを受ける際にも、アパートの家賃の支払いが滞っていないことを前提でなければなかなか話が進みませんので注意しましょう。
値上げを請求されたら場合によっては引っ越しも検討してみる
ここまでの内容から、家賃の値上げに対する理由は理解できているでしょう。
しかし、その新しい家賃を払い続けていくことには少し納得のいかないという方もいるかもしれません。
家賃は生活費の中でも、かなりの割合にあたる出費になるのでその気持ちはなおさらです。
値上げ請求額にもよりますが、長い目でみた場合にはアパートを引っ越すことを考えてみるのもいいかもしれません。
また、契約更新の時期に家賃の値上げ請求をされたならば、引っ越しのタイミングとしても悪くはありません。
しかし、引っ越しにも色々と初期費用がかかってしまいますので、そのあたりの出費の計算も忘れずに行ってください。
そのうえで、やはり引っ越しするという決断をしたならば、契約書の通りに退去報告をしっかり行いましょう。
大家側も、引っ越しをさせたいために家賃の値上げ請求をしたわけではないので、できることならば、蟠りのない状態で退去をしましょう。
しっかり理解し合うことが大切!
お伝えしてきました通り、大家も単なる気まぐれで値上げ請求をするわけではありません。
しっかりとした理由があれば家賃の値上げは決して違法ではなく、状況として仕方なかった場合もあるのです。
ただ頭ごなしに否定するのではなく、きちんと理由を理解したうえで今後どうしていくべきかを考え、話し合っていくことが大切になってきます。